新人挿画家の由宇斗を幼い頃から見守り続けてきた二人の男―IT業界の覇王こと高津、そして検事の成瀬。
彼らは天逝した由宇斗の兄、可威斗の幼馴染で親友だった。
かつて可威斗と共に企業を興し、業界トップにまで押し上げた辣腕・高津だが、由宇斗が密かに想いを寄せる成瀬が東京地検に異動になった時から運命の砂時計は零れだして…。
捩れていく3人の関係と捜査の行方。
彼らは天逝した由宇斗の兄、可威斗の幼馴染で親友だった。
かつて可威斗と共に企業を興し、業界トップにまで押し上げた辣腕・高津だが、由宇斗が密かに想いを寄せる成瀬が東京地検に異動になった時から運命の砂時計は零れだして…。
捩れていく3人の関係と捜査の行方。
成瀬紘一郎(なるせこういちろう・32歳)×汀由宇斗(みぎわゆうと・23歳)
小野田さん二冊目の本です。
デビュー作は警察、今回は検察と、事件を絡めたBLがお得意のようです。
表紙イラストやタイトルから想像するのとは違って、中身は硬派です。
数ヶ月前世間を騒がせたIT企業の実際の事件を題材にしていて、そっちに詳しくない私は正直言うと詳しいことはわかりませんでしたが、ニュースは散々見ていましたので、おぼろげながらも頭に概要が浮かびやすかったです。
はっきりいって色気は足りませんが、面白かったですよ。
三歳の頃、父を事故で亡くし、更に母を癌で亡くした可威斗(かいと)と由宇斗の兄弟。そして不幸なことに兄までもが、母と同じ病で亡くなり、由宇斗は天涯孤独の身となってしまいました。
そんな由宇斗を幼い頃から知り、ひとりになった由宇斗をずっと気にかけてくれたのは、兄の親友だった高津(たかつ)と成瀬(なるせ)。高津は兄とともに起こした会社を引き継ぎ、破竹の勢いでITの大企業として成長させ、現在もITだけでなく様々な分野にその手を広げようとしています。成瀬は検事となり、仕事柄異動が多く、今は大阪にいるはずでした。
しかし突然成瀬から連絡があり、東京地検に異動になったと聞かされます。
実は由宇斗は成瀬に密かに恋心を抱いていました。
成瀬が戻ってくることに喜びを覚える由宇斗ですが、成瀬の突然の異動にはわけがあり、それが高津、由宇斗、成瀬の関係を狂わせていきます。
華やかで行動的な高津、寡黙で思慮深い成瀬が、IT企業の社長、検事ときて、「あの事件」が題材と来ればだいたいのところは想像ができると思います。
そこに、亡くなった可威斗、高津、成瀬、そして由宇斗の、過去から続く友情や愛情が絡みます。
4人の仲は、それこそ由宇斗が本当に小さかった頃からのもので、それぞれに抱く思いはとても深いんですね。だからただ不正の告発という事件の面白さだけでなく、その裏にある想いが切なさを加えるわけです。
由宇斗と成瀬の恋愛は、由宇斗が意を決して告白をして、成瀬も実は同じ気持ちで、すぐに成就してしまうので、くっつくまでのすったもんだがメインではありません。
由宇斗と成瀬にとって、そして亡くなった兄にとっても大切な人だった高津の罪についてがメインになりますが、罪と友情の狭間で悩む部分というのはほとんどないんですよね。どちらかというと高津の罪を明らかにして、償って欲しいという気持ちの方が成瀬も由宇斗も強いです。ですが、その裏にある思いは当然複雑なわけで、そのへんを想像するとやはり切ないと思うのです。
由宇斗視点で進みますので、検察側の推理とか捜査や成瀬の気持ち、検察の動きを探る高津の思いなどがあまり書かれていないのがちょっと残念な気もしました。その辺が書かれていたら、さらに緊迫感も加味されていたでしょうにね。
だけど、一番切ないのは多分高津だろうと思います。
その辺は本編のあとにあるSS「千年の嘘、久遠の恋」を読むとわかるんですが、高津の気持ちを考えると、本編で語られた高津の罪を、また違う観点から考え直してしまうんですね。
高津の心はたぶんまだ癒されていないんでしょう。
その苦しみを考えると辛くなります。
本編ではある意味悪い役となってしまっていますが、実際は高津の話なのかもしれないです。
エロ面も期待できませんが(笑)硬派な感じがお好きならいけると思います。
楽しんで読ませていただきました。
小野田さん二冊目の本です。
デビュー作は警察、今回は検察と、事件を絡めたBLがお得意のようです。
表紙イラストやタイトルから想像するのとは違って、中身は硬派です。
数ヶ月前世間を騒がせたIT企業の実際の事件を題材にしていて、そっちに詳しくない私は正直言うと詳しいことはわかりませんでしたが、ニュースは散々見ていましたので、おぼろげながらも頭に概要が浮かびやすかったです。
はっきりいって色気は足りませんが、面白かったですよ。
三歳の頃、父を事故で亡くし、更に母を癌で亡くした可威斗(かいと)と由宇斗の兄弟。そして不幸なことに兄までもが、母と同じ病で亡くなり、由宇斗は天涯孤独の身となってしまいました。
そんな由宇斗を幼い頃から知り、ひとりになった由宇斗をずっと気にかけてくれたのは、兄の親友だった高津(たかつ)と成瀬(なるせ)。高津は兄とともに起こした会社を引き継ぎ、破竹の勢いでITの大企業として成長させ、現在もITだけでなく様々な分野にその手を広げようとしています。成瀬は検事となり、仕事柄異動が多く、今は大阪にいるはずでした。
しかし突然成瀬から連絡があり、東京地検に異動になったと聞かされます。
実は由宇斗は成瀬に密かに恋心を抱いていました。
成瀬が戻ってくることに喜びを覚える由宇斗ですが、成瀬の突然の異動にはわけがあり、それが高津、由宇斗、成瀬の関係を狂わせていきます。
華やかで行動的な高津、寡黙で思慮深い成瀬が、IT企業の社長、検事ときて、「あの事件」が題材と来ればだいたいのところは想像ができると思います。
そこに、亡くなった可威斗、高津、成瀬、そして由宇斗の、過去から続く友情や愛情が絡みます。
4人の仲は、それこそ由宇斗が本当に小さかった頃からのもので、それぞれに抱く思いはとても深いんですね。だからただ不正の告発という事件の面白さだけでなく、その裏にある想いが切なさを加えるわけです。
由宇斗と成瀬の恋愛は、由宇斗が意を決して告白をして、成瀬も実は同じ気持ちで、すぐに成就してしまうので、くっつくまでのすったもんだがメインではありません。
由宇斗と成瀬にとって、そして亡くなった兄にとっても大切な人だった高津の罪についてがメインになりますが、罪と友情の狭間で悩む部分というのはほとんどないんですよね。どちらかというと高津の罪を明らかにして、償って欲しいという気持ちの方が成瀬も由宇斗も強いです。ですが、その裏にある思いは当然複雑なわけで、そのへんを想像するとやはり切ないと思うのです。
由宇斗視点で進みますので、検察側の推理とか捜査や成瀬の気持ち、検察の動きを探る高津の思いなどがあまり書かれていないのがちょっと残念な気もしました。その辺が書かれていたら、さらに緊迫感も加味されていたでしょうにね。
だけど、一番切ないのは多分高津だろうと思います。
その辺は本編のあとにあるSS「千年の嘘、久遠の恋」を読むとわかるんですが、高津の気持ちを考えると、本編で語られた高津の罪を、また違う観点から考え直してしまうんですね。
高津の心はたぶんまだ癒されていないんでしょう。
その苦しみを考えると辛くなります。
本編ではある意味悪い役となってしまっていますが、実際は高津の話なのかもしれないです。
エロ面も期待できませんが(笑)硬派な感じがお好きならいけると思います。
楽しんで読ませていただきました。
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