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甘くなくても
火崎 勇著 / 朝南 かつみ〔画〕
オークラ出版
プリズム文庫(2006.8)


外川は勤め先のスポーツメーカーで念願の営業へと異動になった。
前の部にいるとき、電話でよく口論になった取引先の「城」という男。天敵とも言えるその男に担当として直接会うことになってしまう。
重くて低い声、野性的な容貌の男は、接待のあと「取引だろう?お前が望んだことじゃないか」と酒に酔った外川の身体を強引に拓き、舐り、貫く。
仕事の取引を身体の取引と誤解された外川は、それでも城が与える快楽に抗えず翻弄されてしまう。
城栄重(じょうさかえ)×外川(とがわ)
年齢は設定されていません。外川の名前は…あったかな?すみません、失念しました(笑)
あとでわかったら追記しときます。

バジルノベルズから発売された「風でなくても」のリンク作品です。
今回の「甘くなくても」は他社から文庫で登場。
「風~」で、攻めの野々宮(ののみや)に強気にガンガンつっかかっていたのが外川でした。
でも「風~」を読んでいなくても大丈夫。

視点は外川、いつもどおり一人称です。
それまで所属していた在庫管理部から、野々宮の薦めで営業部に異動となった外川。
しかし、営業部では一応新人扱いで、同期入社の根岸(ねぎし)が指導係につけられます。同期で、しかも碌な仕事もできないくせに先輩風を吹かし、偉そうなことをいう根岸。営業先を一緒に周ってもきちんとした説明もできないのに、外川の押しで契約が取れると、そこから口を出して自分の手柄にしてしまう。
うんざりしつつも、自分を抑え、今はまだ…と外川は我慢しています。

そんなある日、根岸の担当である「ガイズ・スポーツ」というショップに外川は根岸とともに訪れます。「ガイズ・スポーツ」には、外川が在庫管理にいたころ、いつも丁々発止のやりとりをしていた男がいました。
実際顔を合わせるのは気まずいと思っていた外川ですが、そんな思いをよそに、外川は初めて電話の相手・城と顔を合わせます。しかし相変わらず要領を得ない根岸の代わりに商品説明をした外川を城は認めてくれ、外川を名指しでもう一度詳しい説明をしてほしいと言われます。
初めて単独での営業のチャンスが訪れ、この仕事を掴めば根岸からひとり立ちできると決意に燃えて接待に臨む外川。
しかし夜、再び会った城は態度が微妙に変わっていて、飲めないといった日本酒を飲まされ前後不覚となり、目覚めてみるとホテルのベッド。しかも両腕は縛られており、すでに全裸で、外川は城に無理矢理抱かれてしまいます。

電話で話すだけで顔を見たこともなかったものの、お互いに、仕事では一歩も引かない、一筋縄ではいかない相手に有能さを感じていたし、興味も抱いていたんですね。
やりにくい相手だと思いながらも、相手の仕事に対する真摯さや姿勢を認めあっていた。だから、初めて顔をあわせたとき、多少の気まずさはあっても、仕事に関してはある種の信頼や尊敬を抱いて相手に対峙していたわけです。
しかし、ここに他人の悪意ある嘘が入り込み、二人の出会いは最初から間違った方へと行ってしまいます。城にとっての外川は「仕事のために身体を差し出す男」として貶められ、外川にはその城の蔑みが伝わります。

外川が自分をどう見ているのかを知り、その理不尽さや、強姦に対する怒り、そして何より仕事のできる男として認めていた城に、自分が蔑まれていることに耐えられず、城に誤解だと告げ、自分を強姦したことを糾弾するのですが、間違った思い込みをしている城には伝わりません。城は、外川に対して、「身体を取引に使う」ということもそうですが、実は他にも真っ赤な嘘を吹き込まれていて、実はそれに怒っている方が大きいんです。
後半からラストへの山まで誤解は解けませんので、じれったいこと!

しかし外川はグルグル悩んで堂々巡りを繰り返して打ちひしがれる弱いタイプではないのがとても良かったです。
堅物でクールで、歯に衣着せぬ物言いのプライドの高い男ですが、口先だけではなく、仕事に対する意欲も向上心も責任感も人一倍強く、負けまいとする強さがあって、めそめそしてばかりでない姿が気持ちいいです。真摯に仕事をする姿がちゃんと書かれていて、プライドを持った、きちんとした男だな~と思える。
弱い部分ももちろんあるんですが、それを押して頑張るバランスがいいと思う。

そして城ですが、彼は一見強引で自信家でちょっと偉そうな男に見えますが、やはり仕事に関してはとても誠実で、明かされるエピソードからも、とても優しく、高潔な考えを持っているということがわかります。
でもラストまで読むとわかりますが、結構暴走型(笑)。
誤解したままキれて突っ走ってしまい、嘘をつかれていたと知ると、その相手に向かって大暴れ。マジでキれてますよ。
しかし、全ての誤解が溶け、外川に謝る段になると…真摯ではあるんですが、ちょっとちゃっかりしてます?(笑)
「どこが謝ってるんですか!」と言われ土下座して、「自分の勝手な思い込みで、どうせなら最後の思い出に一発キメちまおうと思って手を出しました。ごめんなさい」って。
「ごめんなさい」ってのが…なんとも可笑しくて可愛かったですね。大の男が(笑)。

城に誤解されていることに耐えられず、自分を認めて欲しいと思い続けた外川も、きっと初めから城に惹かれていたんでしょうね。違う出会い方をしていたら、もっと早く仕事でも認め合い信頼し向上しあえる、いい恋人になれていたのかも。
だから「やり直させてくれ」という城の言葉は、とても深く伝わってきました。

城はかなり押しが強いタイプですが、外川はいつも言い負かされてしまうとは言っても、気の強いタイプですから、かなり面白い二人になると思います。
仕事も一緒にすることになるようですし、なんだかいい仕事しそうなコンビですよね。
二人とも魅力的なキャラでしたし、お話も面白かったです。ここ最近の火崎さんの中ではかなり好き。

外川の元上司、「風でなくても」の野々宮(攻め)も少々登場しています。
相変わらず穏やかで人が良く、純朴で爽やか。
前作ではこの「いい人」ぶりが押しの弱さとなっておりましたが、彼はホントにいいです。私、大好きなんです、野々宮(笑)

朝南さんのイラストも素敵。
考えてみたら朝南さんのイラストを好きになったのも「風でなくても」からでした。
「風~」との共通点は「傷」ですね。
城の顔の火傷跡に惹かれる外川の気持ちにすごく共感します。うん。セクシーだ(笑)

「風でなくても」「甘くなくても」どちらも大好きです。
ただ今回、誤字脱字が異常に多かったです。
いくらなんでも、かなりひどいと思いますよ。

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風でなくても
火崎 勇著 / 朝南かつみイラスト
ドリームメーカー
バジルノベルズ(2005.7)

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