「いきがるな。もっと俺に甘えろよ」
両親を亡くし、幼い弟と二人暮しの乙部竜城は生活のために掛け持ちでアルバイトをしている。
昼のバイト先・カフェで知り合った常連客が市ノ瀬組幹部・石神龍一郎と知ったのは、夜のバイト先にホストクラブ。トラブルに巻き込まれ怪我をした竜城を自宅まで送ってくれたのがきっかけで、石神は何かと理由をつけてアパートにやってくるようになる。
人に頼るまいと肩肘を張ってきたはずの竜城だが、その優しい一面に心を奪われて…。
両親を亡くし、幼い弟と二人暮しの乙部竜城は生活のために掛け持ちでアルバイトをしている。
昼のバイト先・カフェで知り合った常連客が市ノ瀬組幹部・石神龍一郎と知ったのは、夜のバイト先にホストクラブ。トラブルに巻き込まれ怪我をした竜城を自宅まで送ってくれたのがきっかけで、石神は何かと理由をつけてアパートにやってくるようになる。
人に頼るまいと肩肘を張ってきたはずの竜城だが、その優しい一面に心を奪われて…。
石神龍一郎(いしがみりゅういちろう・36歳)×乙部竜城(おとめたつき・20歳)
ヤクザと子持ち(弟)
タイトルが『龍と竜』ですし、ヤクザですし、表紙は妖しく華麗な亜樹良さんだし、著者は綺月さんだしでビビりましたが(綺月さんだとまず条件反射でビビる)、あらすじを見たら大丈夫そうだったので購入。
でも「ほのぼの家族系」だとまでは思いませんでした(笑)。クスッと笑わされ、ほのぼのさせられ、ハラハラさせられて、ジーンとさせられる。大変面白かったです。
竜城は、父親の違う年の離れた弟・颯太(そうた・4歳)と二人きりで暮らしています。大学を中退しカフェでアルバイトをしていますが、そのカフェの常連客なのが石神。
この石神ですが、よくある「カタギには見えないけれど一般人にはないオーラを放つ、一見企業家のような経済ヤクザ」とは違って、まず見た目からして「やくざでござい」というタイプというのが、ちょっと珍しいと思いました。亜樹良さんのイラストはとても素敵に描かれていますが、喋りだけだと、最初チンピラかとおもいましたですよ(笑)
そして石神は「エコロジーやくざ」です。カフェに行くときはマイカップを持参し、口を拭くのは紙ナプキンではなく自分のハンカチ。タバコも吸わない。環境汚染を心配したりする。
そんな石神に「やくざは嫌い」と思いながらも、つい微苦笑を禁じえない竜城でした。
カフェの仕事は気に入っているものの、それだけでは生活のできない竜城は、新たに「ホスト」としてアルバイトをすることにします。
そのホストクラブが、偶然市ノ瀬組、つまり石神と関係のあるクラブだったんですね。
前向きで負けん気の強い頑張りやの竜城は、きちんと気働きのできる、とても純粋でいい青年です。けれど、そのせいでクラブのNO.2に目をつけられてしまいます。
襲われて怪我をした竜城を見た石神は、竜城から相手を聞き出し、助けてくれます。そして家まで送ってくれて、竜城が幼い弟と二人で暮らしているのを知り、それ以来、何かにつけて訪ねてくるようになり、颯太をとても可愛がってくれて、颯太も石神を大好きになる。
3人で小さな食卓を囲み、一緒にお風呂に入ったり、石神の車(リムジン、周りはベンツの護衛つき)でサファリパークに出かけたり。擬似家族とはいえ、3人の間には本当の家族のような安らぎがあり、暖かい幸せがある。
しかし竜城は、石神がヤクザであること、誰かに頼りたくないという気持ちに拘って、「もっと甘えろ」という石神に素直になることができません。颯太と二人きりになった竜城は、颯太のために、得られなかった家庭や幸せを自分が作ってやろうと人一倍の責任感を感じているんですね。自分の力で颯太を護りたいと考える竜城の気持ちがとてもよくわかります。実の両親にさえ省みられなかった竜城は、自分がきちんとしないうちに誰かに頼って、もしその誰かがいなくなってしまったらと思うと、とても素直に人に甘えることはできないんだと思います。まして石神はヤクザですから。
石神ももちろん、ヤクザの自分が関わることで竜城や颯太に危険が及ぶかもしれないことはわかっています。けれど、石神にとっても竜城と颯太、そして自分も含めた暖かい「家庭」は、かけがいのないものになってしまったのです。だから、危険な自分のそばに置くのなら、何があっても、どんなことをしてでも守り、竜城の負担を軽くしてやりたい、自分も手を貸してやりたいと思っているんですね。竜城のことももちろん「家族」という形も大切にしようとしているのがわかります。
やがて、竜城のかたくななな心も溶け、石神を受け入れようとしたとたん、石神と竜城の仲を知ったホストによって颯太が拉致され、不幸な偶然が重なってその直後アパートが全焼してしまいます。
「あんたのせいだ」と詰る竜城に「全部俺の責任だ」と言う石神。そして石神の元に颯太を拉致した相手から電話が入り、石神はひとり颯太を助けにいくのですが、相手は自分と寝ることを要求してきます。
石神は登場時、マイカップを持参し、「キャラメル・ラテ、ミルク多め」などとヤクザらしからぬものを好み、竜城を「兄ちゃん」と呼び、ヤクザでございな格好をして環境問題を説く「エコやくざ」という、たいへんお茶目な男として登場します。その言動には笑いを誘われるんですが、竜城のアパートへ通うようになると、大変子煩悩な「父ちゃん」のように、暖かく優しい人柄を感じさせるようになります。土地開発で立ち退きを要求する際も、とても人情家な一面も見せていました。
しかし、敵対するものには半端ではない冷徹な男になるんだろうなと、「ヤクザ」としての恐ろしい面を伺わせるところもあるんですね。颯太を拉致したホストに対する彼の怒りは…ホントのこというと、もっとやっちゃって欲しかったです(笑)
そして颯太の前では決してそんな顔は見せないように気づかっている、そういうところがとてもいいですね。
ひとりで頑張ろうと肩肘を張ってきた竜城ですが、優しく包容力もある石神と、そして颯太と、3人で暮らす様子を考えるとほのぼのしてきます。何かあったときも、石神がきちんと守ってくれるだろうと安心感も感じられる。
Hはラスト1回だけなのですが、気丈な竜城の強がりがとても可愛いです。
激しい綺月さんがお好きなかたは物足りないんでしょうか。
私はそっちは駄目なのですが、これは大満足でした。
なぜ綺月さんだとビビってしまうかというと、「獣シリーズ」の印象があまりに強すぎるからです(^^ゞ
ヤクザと子持ち(弟)
タイトルが『龍と竜』ですし、ヤクザですし、表紙は妖しく華麗な亜樹良さんだし、著者は綺月さんだしでビビりましたが(綺月さんだとまず条件反射でビビる)、あらすじを見たら大丈夫そうだったので購入。
でも「ほのぼの家族系」だとまでは思いませんでした(笑)。クスッと笑わされ、ほのぼのさせられ、ハラハラさせられて、ジーンとさせられる。大変面白かったです。
竜城は、父親の違う年の離れた弟・颯太(そうた・4歳)と二人きりで暮らしています。大学を中退しカフェでアルバイトをしていますが、そのカフェの常連客なのが石神。
この石神ですが、よくある「カタギには見えないけれど一般人にはないオーラを放つ、一見企業家のような経済ヤクザ」とは違って、まず見た目からして「やくざでござい」というタイプというのが、ちょっと珍しいと思いました。亜樹良さんのイラストはとても素敵に描かれていますが、喋りだけだと、最初チンピラかとおもいましたですよ(笑)
そして石神は「エコロジーやくざ」です。カフェに行くときはマイカップを持参し、口を拭くのは紙ナプキンではなく自分のハンカチ。タバコも吸わない。環境汚染を心配したりする。
そんな石神に「やくざは嫌い」と思いながらも、つい微苦笑を禁じえない竜城でした。
カフェの仕事は気に入っているものの、それだけでは生活のできない竜城は、新たに「ホスト」としてアルバイトをすることにします。
そのホストクラブが、偶然市ノ瀬組、つまり石神と関係のあるクラブだったんですね。
前向きで負けん気の強い頑張りやの竜城は、きちんと気働きのできる、とても純粋でいい青年です。けれど、そのせいでクラブのNO.2に目をつけられてしまいます。
襲われて怪我をした竜城を見た石神は、竜城から相手を聞き出し、助けてくれます。そして家まで送ってくれて、竜城が幼い弟と二人で暮らしているのを知り、それ以来、何かにつけて訪ねてくるようになり、颯太をとても可愛がってくれて、颯太も石神を大好きになる。
3人で小さな食卓を囲み、一緒にお風呂に入ったり、石神の車(リムジン、周りはベンツの護衛つき)でサファリパークに出かけたり。擬似家族とはいえ、3人の間には本当の家族のような安らぎがあり、暖かい幸せがある。
しかし竜城は、石神がヤクザであること、誰かに頼りたくないという気持ちに拘って、「もっと甘えろ」という石神に素直になることができません。颯太と二人きりになった竜城は、颯太のために、得られなかった家庭や幸せを自分が作ってやろうと人一倍の責任感を感じているんですね。自分の力で颯太を護りたいと考える竜城の気持ちがとてもよくわかります。実の両親にさえ省みられなかった竜城は、自分がきちんとしないうちに誰かに頼って、もしその誰かがいなくなってしまったらと思うと、とても素直に人に甘えることはできないんだと思います。まして石神はヤクザですから。
石神ももちろん、ヤクザの自分が関わることで竜城や颯太に危険が及ぶかもしれないことはわかっています。けれど、石神にとっても竜城と颯太、そして自分も含めた暖かい「家庭」は、かけがいのないものになってしまったのです。だから、危険な自分のそばに置くのなら、何があっても、どんなことをしてでも守り、竜城の負担を軽くしてやりたい、自分も手を貸してやりたいと思っているんですね。竜城のことももちろん「家族」という形も大切にしようとしているのがわかります。
やがて、竜城のかたくななな心も溶け、石神を受け入れようとしたとたん、石神と竜城の仲を知ったホストによって颯太が拉致され、不幸な偶然が重なってその直後アパートが全焼してしまいます。
「あんたのせいだ」と詰る竜城に「全部俺の責任だ」と言う石神。そして石神の元に颯太を拉致した相手から電話が入り、石神はひとり颯太を助けにいくのですが、相手は自分と寝ることを要求してきます。
石神は登場時、マイカップを持参し、「キャラメル・ラテ、ミルク多め」などとヤクザらしからぬものを好み、竜城を「兄ちゃん」と呼び、ヤクザでございな格好をして環境問題を説く「エコやくざ」という、たいへんお茶目な男として登場します。その言動には笑いを誘われるんですが、竜城のアパートへ通うようになると、大変子煩悩な「父ちゃん」のように、暖かく優しい人柄を感じさせるようになります。土地開発で立ち退きを要求する際も、とても人情家な一面も見せていました。
しかし、敵対するものには半端ではない冷徹な男になるんだろうなと、「ヤクザ」としての恐ろしい面を伺わせるところもあるんですね。颯太を拉致したホストに対する彼の怒りは…ホントのこというと、もっとやっちゃって欲しかったです(笑)
そして颯太の前では決してそんな顔は見せないように気づかっている、そういうところがとてもいいですね。
ひとりで頑張ろうと肩肘を張ってきた竜城ですが、優しく包容力もある石神と、そして颯太と、3人で暮らす様子を考えるとほのぼのしてきます。何かあったときも、石神がきちんと守ってくれるだろうと安心感も感じられる。
Hはラスト1回だけなのですが、気丈な竜城の強がりがとても可愛いです。
激しい綺月さんがお好きなかたは物足りないんでしょうか。
私はそっちは駄目なのですが、これは大満足でした。
なぜ綺月さんだとビビってしまうかというと、「獣シリーズ」の印象があまりに強すぎるからです(^^ゞ
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