選び抜かれた御曹司たちだけが集う、エーゲ海の島『エリュシオン』。
その若きオーナー・美王唯杜は、日本屈指の名家の子息・中垣嘉仁と出会う。
他の御曹司たちを拒む嘉仁の冷たい態度に、最初は唯杜も戸惑うのだが、嘉仁の瞳が湛える悲しみの理由を知って、どんどん嘉仁に惹かれていく。
だが・・・嘉仁は唯杜の身体を残酷な取引で弄び…!?
その若きオーナー・美王唯杜は、日本屈指の名家の子息・中垣嘉仁と出会う。
他の御曹司たちを拒む嘉仁の冷たい態度に、最初は唯杜も戸惑うのだが、嘉仁の瞳が湛える悲しみの理由を知って、どんどん嘉仁に惹かれていく。
だが・・・嘉仁は唯杜の身体を残酷な取引で弄び…!?
中垣嘉仁(なかがきよしひと)×美王唯杜(みおうゆいと)
二人とも20歳くらいです。
「檻の中の楽園。」
「彼という名の海。」の二編。
日本国内だけでなく世界に名を轟かす大財閥「美王グループ」の跡取り・唯杜。
唯杜は今、美王グループが開発した、エーゲ海に浮かぶ島「エリュシオン」のセレブのためのリゾート地に、プレミアオープンとして選ばれた100人の御曹司たちを向かえ、取締役として持て成すという仕事をしています。
唯杜は美王家に生れ落ちたその時から跡取りとして英才教育を受けてきましたが、「自由」はまったくなく、父の言いなりの云わば「人形」。優しい唯杜はそれも自分の運命と、唯々諾々とそれに従っています。「美王」の名はあまりに大きく、唯杜の回りはいつも取り巻きが囲み、少しでも美王との繋がりを持とうとする御曹司たちでいっぱいでしたが、いくら人に囲まれていても、それは皆「美王」の名に引き寄せられた者たちばかりで、唯杜自身を求められてのことではなく、唯杜には友人といえる人間は誰もいませんでした。
嘉仁は、「天神(てんじん)家」という皇室とも縁戚関係を持つ元華族の家柄の出です。しかし嘉仁は天神家当主の妾腹でした。孤児で中垣家に引き取られ幸せに暮らしていた嘉仁の母は、その美しさを天神に見初められ、強引に愛人にさせられ嘉仁を生んだのです。皇室と縁のある「血」に重きを置く天神家が、どこの馬の骨ともしれない嘉仁の母と、いくら天神の血を引くとは言え、そんな母との間に生まれた嘉仁を暖かく迎えるはずもありません。母と嘉仁は天神家の離れに半ば幽閉のような形で住まわされ、過酷な苛めを受けてきました。その心労が祟ったのか、母は6年前に他界。何度も天神家から逃げ出そうとした嘉仁ですが、そのたびに連れ戻され、今回無理矢理に「エリュシオン」に来ざるを得なくなり、そこで二人は出会うことになります。
唯杜は「美王」という大きな檻の中で大切に育てられ、意志を抑えて父の教えの全てに従ってきた従順な小鳥。嘉仁は、「天神」というやはり大きな檻に、鎖で繋がれた獣…というところでしょうか。
形は違えど、二人とも「檻の中」に囚われて生きています。
しかし嘉仁には唯杜が何不自由なく生きてきた、恵まれた苦労知らずのお坊ちゃんにしか見えません。嘉仁の怒りは天神家だけでなく、多くの資産家と言われる金持ち連中にも向けられており、それは唯杜にも同じように蔑みと憎しみとなって現れます。もともとこんな島になど来たくもなく、天神家の発展を望むわけでもない嘉仁は、到着時から「エリュシオン」内で揉め事を起こします。他の御曹司たちからは、いっぺんに冷たい目を向けられることとなりますが、嘉仁は頓着しません。
しかし唯杜だけは、嘉仁の瞳の中の哀しみに気がついてしまうんですね。
乗馬中、危険な行為をした嘉仁を咎めた唯杜は、俺のものになれば問題を起こさずにいてやるという嘉仁の言葉を呑み、嘉仁に抱かれます。しかし、唯杜の本当の心はそんな約束のためではなく、嘉仁の孤独を癒し、本当の姿に触れたいという一心からでした。
どんなふうに乱暴に抱かれても、決して嘉仁を避けず、変わらない優しい笑みを湛えて手を差し伸べ話しかける唯杜に、嘉仁も戸惑います。唯杜は、たとえ契約のためであれ、彼に触れることで心にも触れることができるのでは…という期待の方が、身体を差し出す屈辱よりずっと大きかったんですね。
しかしそんな思いを知らない嘉仁には、唯杜が「エリュシオン」のために自分に抱かれたとしか思えません。そこまでして金を守りたいのかと、侮蔑は募るばかりですが、少しずつ嘉仁の心にも唯杜の存在は入り込んできます。
しかし、ある出来事が二人の間の誤解を更に深めることになります。そのせいで二人は自分が抱いている相手への想いが「愛情」だと気づくのですが、そんな気持ちを理解しあえることは更に難しくなってしまうのです。
二人の立場がもたらす、切ない擦れ違いのお話でした。
でも、唯杜が精神的にタフというか心が広いというか、嘉仁の行為にもグズグズ悩んだりすることなく、とても慈愛深い、まるで「マリア様」のようで(笑)、おぼっちゃんと言ってもただ翻弄されるだけの自主性のない男ではないのが、いい感じでした。
決して押しが強いわけでなく、どちらかというと儚いタイプだと思うんですが、心底の優しさが強さにも見えるというか。芯は確かに強いタイプですけどね。
嘉仁はこういう設定によくいるタイプだと思います。先日の「棘の住み処」の攻にもちょっと似てるかも。憎しみで相手が見えなくなってしまって、あとで後悔するやつ(笑)。
けっこうベタなお話でした。
想いが通じ合う桟橋のシーンはジーンとしてしまったけど(笑)。
すごく乙女チックなシーンなんですけどね。
「彼という名の海。」は三年後、御曹司二人はお家を出てしまい、二人で仕事を始めています。
天神家で疎まれていた嘉仁は、天神当主が亡くなったことで親類からこれ幸いと縁切りを言い渡され、晴れて自由に。嘉仁は望むところなので痛くも痒くもないです。
唯杜は勘当状態。しかし、父が倒れ、妹が唯杜を呼び戻しにくるのですが…唯杜はきっぱりしています。こういうところにも強さが見えますね。
短いお話なので、グダグダ言ってる暇はないのは確か。
父との間にも和解の色が見え、両家ともお家存続に問題のないハッピーエンドとなっています。
「檻の中の楽園」「彼という名の海」タイトルの言葉が綺麗にお話に絡んでいました。
舞台がエーゲ海ということから想像するとおり、甘くて切ないおとぎ話のようでございます。
二人とも20歳くらいです。
「檻の中の楽園。」
「彼という名の海。」の二編。
日本国内だけでなく世界に名を轟かす大財閥「美王グループ」の跡取り・唯杜。
唯杜は今、美王グループが開発した、エーゲ海に浮かぶ島「エリュシオン」のセレブのためのリゾート地に、プレミアオープンとして選ばれた100人の御曹司たちを向かえ、取締役として持て成すという仕事をしています。
唯杜は美王家に生れ落ちたその時から跡取りとして英才教育を受けてきましたが、「自由」はまったくなく、父の言いなりの云わば「人形」。優しい唯杜はそれも自分の運命と、唯々諾々とそれに従っています。「美王」の名はあまりに大きく、唯杜の回りはいつも取り巻きが囲み、少しでも美王との繋がりを持とうとする御曹司たちでいっぱいでしたが、いくら人に囲まれていても、それは皆「美王」の名に引き寄せられた者たちばかりで、唯杜自身を求められてのことではなく、唯杜には友人といえる人間は誰もいませんでした。
嘉仁は、「天神(てんじん)家」という皇室とも縁戚関係を持つ元華族の家柄の出です。しかし嘉仁は天神家当主の妾腹でした。孤児で中垣家に引き取られ幸せに暮らしていた嘉仁の母は、その美しさを天神に見初められ、強引に愛人にさせられ嘉仁を生んだのです。皇室と縁のある「血」に重きを置く天神家が、どこの馬の骨ともしれない嘉仁の母と、いくら天神の血を引くとは言え、そんな母との間に生まれた嘉仁を暖かく迎えるはずもありません。母と嘉仁は天神家の離れに半ば幽閉のような形で住まわされ、過酷な苛めを受けてきました。その心労が祟ったのか、母は6年前に他界。何度も天神家から逃げ出そうとした嘉仁ですが、そのたびに連れ戻され、今回無理矢理に「エリュシオン」に来ざるを得なくなり、そこで二人は出会うことになります。
唯杜は「美王」という大きな檻の中で大切に育てられ、意志を抑えて父の教えの全てに従ってきた従順な小鳥。嘉仁は、「天神」というやはり大きな檻に、鎖で繋がれた獣…というところでしょうか。
形は違えど、二人とも「檻の中」に囚われて生きています。
しかし嘉仁には唯杜が何不自由なく生きてきた、恵まれた苦労知らずのお坊ちゃんにしか見えません。嘉仁の怒りは天神家だけでなく、多くの資産家と言われる金持ち連中にも向けられており、それは唯杜にも同じように蔑みと憎しみとなって現れます。もともとこんな島になど来たくもなく、天神家の発展を望むわけでもない嘉仁は、到着時から「エリュシオン」内で揉め事を起こします。他の御曹司たちからは、いっぺんに冷たい目を向けられることとなりますが、嘉仁は頓着しません。
しかし唯杜だけは、嘉仁の瞳の中の哀しみに気がついてしまうんですね。
乗馬中、危険な行為をした嘉仁を咎めた唯杜は、俺のものになれば問題を起こさずにいてやるという嘉仁の言葉を呑み、嘉仁に抱かれます。しかし、唯杜の本当の心はそんな約束のためではなく、嘉仁の孤独を癒し、本当の姿に触れたいという一心からでした。
どんなふうに乱暴に抱かれても、決して嘉仁を避けず、変わらない優しい笑みを湛えて手を差し伸べ話しかける唯杜に、嘉仁も戸惑います。唯杜は、たとえ契約のためであれ、彼に触れることで心にも触れることができるのでは…という期待の方が、身体を差し出す屈辱よりずっと大きかったんですね。
しかしそんな思いを知らない嘉仁には、唯杜が「エリュシオン」のために自分に抱かれたとしか思えません。そこまでして金を守りたいのかと、侮蔑は募るばかりですが、少しずつ嘉仁の心にも唯杜の存在は入り込んできます。
しかし、ある出来事が二人の間の誤解を更に深めることになります。そのせいで二人は自分が抱いている相手への想いが「愛情」だと気づくのですが、そんな気持ちを理解しあえることは更に難しくなってしまうのです。
二人の立場がもたらす、切ない擦れ違いのお話でした。
でも、唯杜が精神的にタフというか心が広いというか、嘉仁の行為にもグズグズ悩んだりすることなく、とても慈愛深い、まるで「マリア様」のようで(笑)、おぼっちゃんと言ってもただ翻弄されるだけの自主性のない男ではないのが、いい感じでした。
決して押しが強いわけでなく、どちらかというと儚いタイプだと思うんですが、心底の優しさが強さにも見えるというか。芯は確かに強いタイプですけどね。
嘉仁はこういう設定によくいるタイプだと思います。先日の「棘の住み処」の攻にもちょっと似てるかも。憎しみで相手が見えなくなってしまって、あとで後悔するやつ(笑)。
けっこうベタなお話でした。
想いが通じ合う桟橋のシーンはジーンとしてしまったけど(笑)。
すごく乙女チックなシーンなんですけどね。
「彼という名の海。」は三年後、御曹司二人はお家を出てしまい、二人で仕事を始めています。
天神家で疎まれていた嘉仁は、天神当主が亡くなったことで親類からこれ幸いと縁切りを言い渡され、晴れて自由に。嘉仁は望むところなので痛くも痒くもないです。
唯杜は勘当状態。しかし、父が倒れ、妹が唯杜を呼び戻しにくるのですが…唯杜はきっぱりしています。こういうところにも強さが見えますね。
短いお話なので、グダグダ言ってる暇はないのは確か。
父との間にも和解の色が見え、両家ともお家存続に問題のないハッピーエンドとなっています。
「檻の中の楽園」「彼という名の海」タイトルの言葉が綺麗にお話に絡んでいました。
舞台がエーゲ海ということから想像するとおり、甘くて切ないおとぎ話のようでございます。
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