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傷痕
中原 一也著 / 石田育絵イラスト
笠倉出版社
クロスノベルス(2006.6)


麻薬取締官の黒木は、ずっと追っていたヤクの売人「翡翠のピアスの男」に近づくことに成功する。
潜入捜査のために危険を承知で男と行動を共にする黒木だったが、男の持つ孤独と怒りに共鳴し自らを重ね、犯罪者だとわかっていながらも急激に惹きつけられてしまう。
そんな黒木の不安定な弱さを危うく思っていた刑事で幼馴染の赤嶺は、黒木を取り戻すため実力行使に出るのだったが…。
赤嶺和利(あかみねかずとし・34歳)×黒木竜平(くろきりゅうへい・27歳)
刑事×麻薬取締官

黒木は血の半分だけ繋がった兄・哲平(てっぺい)に密かな恋心を抱いています。しかしそんなことを告げられるわけもなく、弟として接し気持ちを隠しているんですが、そんな黒木の気持ちを知りつつ、以前から黒木を好きなのが兄の親友・赤嶺。
赤嶺の方も黒木に想いを伝えることもなく、幼い頃から会えば黒木をからかったりとちょっかいを出していたので、黒木は赤嶺を苦手としています。
赤嶺はラスト近くまで気持ちを告白はしないんですが、赤嶺の気持ちは手に取るようにわかります。

しかし兄がとうとう黒木に婚約者を紹介する事態となり、黒木は兄の結婚式の夜、浴びるように酒を呑んでいるところを赤嶺に家へ連れ帰られ、「愛欲に溺れてみろ。楽になるぞ」と無理矢理抱かれてしまいます。
そしてそれと前後するようにして、黒木が仕事で追っていた「翡翠のピアスの男」の情報が齎され、黒木はそれを追い始めます。そして偶然、その男・田代銀(たしろぎん)と出会い、黒木は田代の中の闇に共鳴するように、どんどん惹きつけられてしまうんですね。
それを知った赤嶺は黒木を引きとめようとするんですが黒木はどんどん泥沼に入り込んでいってしまいます。

田代は薬中だった男狂いの母に愛されずに育ちました。同じように兄を愛しながら愛されることのなかった黒木は、自分を重ねてしまうんですね。
麻薬取締官がヤクの売人の元締めに惹かれて闇の世界にハマっていってしまうって結構ハードだと思うけど、なぜかお話全体はあまりハードな感じはしなかったのはなぜなのかしら。
切羽詰った感じはしなかったですね。
田代もあんまり悪そうじゃないですしね(笑)。実際悪いことしてる男なんですけど、黒木に対して乱暴なところがないからかな。よくいる強引な攻タイプですよね。
赤嶺の存在がなかったらこっちでもいいじゃないかという…(笑) 
犯罪者だからそれはマズイか。そうなったら一挙にハードになりますな。

田代と一緒に闇の世界で生きていこうと、崖っぷちギリギリまで行ってしまう黒木ですが、赤嶺は命の危険を顧みず黒木を取り戻しに来ます。
それまでちょっと影薄くないですか?(笑)
無精ひげでだらしのない、いい感じのオヤジで、ずっと「好き」と言わないでいるという可愛らしい男なのにもったいないなぁ。

実の兄に報われない恋をしているとか、闇の世界に落ちそうになるとか、悲愴な雰囲気がありそうなものなのに、あんまり感じられなかったのはなぜなのか。
田代がワルにしては甘いのと、赤嶺の何があっても慌てないふてぶてしさが頼もしいから?(笑)

意外とサラッと読めてしまいます。
「恋人」じゃなくて「俺の疫病神」といってちょっと笑う、最後の黒木は好きかも。
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