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その腕の中の優しい夜
こたに みや著 / タカツキノボル画
オークラ出版
アクア文庫 (2006.7)


クラブでナンパをされたサラリーマンの耕太。その相手は大学生の泉。しかも男。
最初は当然断っていたのだが、酔いが深くなり途中で記憶を失くしてしまう。
次の朝目が覚めると、目の前には学生服姿の泉がいて…!
高比良泉(たかひらいずみ・17歳)×田淵耕太(たぶちこうた・26歳)

ノベルズを加筆修正し文庫化。
「ソナタ」
「その腕の中の優しい夜」の二編。

普段アクア文庫って買わないんですよね。
これは攻が高校生で、「普通の恋愛」っぽいかなと思って手に取りました。普通が読みたい時だったので。表紙の雰囲気もちょっといい感じで。

会社帰り、先輩につきあって訪れたクラブで、どこかに行ってしまった先輩をほおって一人飲んでいた耕太は男に声をかけられます。顔立ちの小奇麗な耕太は男にそんな声をかけられるのも珍しいことではなく。
今まで一度もついていったことなどなかったし、その時も適当にあしらっていたのですが、「高比良泉」と名乗った大学生風の男に場所を変えて飲みなおそうと言われ、何故かその気になってついていってしまう。
しかしその後の記憶はぷっつりと途切れ、朝目が覚めると見知らぬ部屋の見知らぬベッドの中にいて、身体には違和感がありあり。
酔ってつぶれたあげく、泉のマンションに泊まり、いたしてしまったということを知り、唖然とする耕太。
しかも、大学生だと思っていた泉は、学生服を着て部屋に立っており、「高校生、17歳」であることが判明します。

酔ってつぶれて、してしまって…と、とってもよくありがちな導入です。
だけど、このあとがちょっと違う…。
二人で目覚めた朝はちょうど土曜日で耕太は会社が休み、泉は学校があったのですがサボッてしまい、二人は一日を泉のマンションで過ごします。
「ソナタ」はこの土曜日一日、泉のマンションの中だけで話が終わってしまうんです。
驚き戸惑いつつシャワーを浴び、泉の作ってくれた朝ごはんを食べて、泉の弾くピアノを聴き、またHしてちょっと眠り、お昼ご飯を食べてCDを聴いて、夕飯の買い物に出て帰ってきて夕飯を作りそれを食べ、コーヒーを飲んで、夜、耕太が家に帰る。
その間もちろん二人の会話があって、何のへんてつもない日常の話だったり、家族の話、音楽の話が続きます。

そんな中で、実は泉が毎朝通勤通学の駅で耕太を見かけていて、ずっと憧れていてクラブで偶然会ってチャンスだと思って声をかけたということも語られます。
耕太の方は初めて泉を知ったわけですが、最初に出会った時から泉に対して抵抗感がなく、男とヤッてしまったという嫌悪もなく、どうしてなのかな~と思いながらも、一緒に過ごす時間を楽しいと感じている自分に気づく。
朝、目覚めてから夜になるまで、二人っきりで過ごし、話をして、そろそろ帰ろうかな…という時刻には、耕太の方も、泉がなんとなく好きになっている。
「ソナタ」はそういうお話で、くっつくまでの波乱万丈たっぷりのBLに比べると珍しいですよね(笑)
“普通が読みたい”と思っていたが、本当に普通に生活してました。
何が起きるわけでもなく…何かが起こるのは心の中で、そちらを追っているお話なんですね。

「その腕の中の優しい夜」も、ほとんど外に出ません。
駅、繁華街のシーンがちょこっとありますが、あとはどちらかの部屋。
というかこの本の登場人物ははっきりいって二人だけです(笑)

恋人同士としてつきあい始めたものの、学生の泉と社会人の耕太は時間的に擦れ違いが多くなります。
特に耕太は仕事が忙しく帰宅も遅くなり、二人で会っても疲れている。学生の泉は自分の全部をぶつけてくるし、また耕太の全部を欲しがるようなところがあり、反面、耕太は、仕事の事情とか、Hのときローションやゴムを使おうとしない(若い男にありがち)泉にちょっと困ったなと思ってても言い出せなかったり、少し温度差…というか擦れ違いが起きてくるんですね。
億劫だとか面倒だとか思っているわけじゃないのに、気持ちが上手く伝わらない。泉を好きなことに間違いはないのに、社会人の耕太はどうしても自分に付随する余計なものを多く抱えていて、たとえば一緒に住もうという泉の言うことにも頷けない。
そして小さな言い争いになり、ぶつかったり誤魔化したりしながら過ごしているうちに溝が深まっていく。
ある日、耕太が嘘をついたことが泉にばれてしまうと…泉は耕太と会うことを辞めてしまいます。
泉と会えなくなった耕太は、泉の存在の大きさに気がつく…よりも先に、気力を失くして、なんとか仕事をする他は、食べることも部屋の掃除も、何もできなくなってしまう。
最後にはちゃんと泉が来てくれますけどね。

煮詰まったり変化したりしていく「心の中」が中心。
あくまで淡々としていて、ストーリー上、山も谷も特になく、やってることは「日常生活」。
耕太の気持ちにノれるかどうかで大きく感想が変わると思います。
私は最近精神的に疲れてたので(笑)、この平坦なお話に普通についていきましたが、こういう何も起きない話ってどうなんでしょうね。
「つまんない」と紙一重だと思うなぁ(笑)
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