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犬ほど素敵な商売はない
榎田 尤利著 / 志水 ゆきイラスト
大洋図書
SHYノベルズ (2006.6)


三浦倖生は、暑い夏のある日、会員制のデートクラブ「Pet Lovers」から『犬』として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。
そこで倖生を待っていたのは、厳格な主人・轡田の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして身体の奥底に感じる正体不明の熱。
次第に深みにはまっていくふたりだったが…!?
轡田清巳(くつわだきよみ)×三浦倖生(みうらゆきお・23歳)
轡田は推定30代後半。

家庭に恵まれずに育ち、母とは死に別れ親戚で育てられるも高校を17で中退し、家を出て独りになって以来、バーテンをやったり場末のホストをやったり、キャバクラ嬢のヒモとなったりして、だらしないろくでなしの人生を生きてきた倖生。
紹介されて登録したデートクラブ「Pet Lovers」で、さっそく客からの指名がかかります。

「Pet Lovers」では登録された男娼はみんな犬に喩えられているんですね。倖生はその容姿から「ボルゾイ」。
客は自分の気に入った「犬」を指名して、飼い主となるわけですが、やることはベッドの相手。そう思っていた倖生ですが(私もですが)、轡田が倖生に望んだのは、文字どおり「犬」になることでした。
首輪を付けられ、犬のように四つんばいになり、言葉は禁じられるのはもちろん、手を使ったりするのも駄目。飼い主の命令は絶対で、轡田の家に出向いた初日、二時間の約束の間に、倖生は、それこそ「座れ(sit)」「立て(up)「伏せ(down)」「待て(stay)」と「犬」としての躾を繰り返し強要されます。
いくらお金を貰っての仕事とは言え、本当の犬のように唯々諾々と従わなければならないのは人間にとって屈辱です。倖生も大変な反発を覚え抵抗しますが、やがて「犬」としての自分を受け入れていく。

凄く倒錯的な世界ですよね。
一応言っておくと倖生は「犬」なのでHはしません。だからいい、というか、轡田の想いを余計に感じることができるんですが。
轡田は、倖生をまるで本当の自分の愛犬のように扱います。言うことを聞かなければ叱ったりはしますが、決してぶったりしません。
言われたとおりのことができれば手放しで褒めてくれ、清潔な寝床を用意し、きちんと食べ物を与え、四つんばいで歩く倖生が間違っても怪我などしないように家の中や庭を清潔に過ごしやすく保ち、、時には自分の身を挺して倖生を守ります。

「犬」扱いされて喜ぶ人間などいるはずもないのに、倖生はそれを受け入れ、やがて轡田の呼び出しを待ちわびるようになります。
常人では理解できないような世界なわけですが、倖生がなぜそんな状況を受け入れることができるのか、また轡田が何故、人間を「犬」として飼おうなどと考えるのか、その辺がしっかりと書かれていて、“「変なプレイ」をしている人たち”には全くなっていません。
SM好きだとか(実際にSMな場面はないです)、調教に萌えるとか、そういう人たちではないんですね(笑)

確かに轡田はかなり変わった人であることは確かですが、その中にある深すぎる愛情や寂しさ、臆病さがきちんと伝わってくる。
そして倖生が「愛情」をどんなに欲していたのかもよくわかります。それがたとえ「犬」への愛情であっても、倖生にとってかけがえのないものであることが伝わってきます。

なのでつい「犬になれ」などとあるのを見て「変なプレイ」を想像し身構えてしまったのは間違いでした。
変わってはいるけれど、寂しがりやの二人が本当に強くお互いを求め合う恋愛のお話なのでした。
いくら人間を犬として扱っても、本物の犬になれるわけではありません。お互いに「犬」と「飼い主」として以上の、愛情が芽生えてくる。そうなったとき、轡田は倖生との契約を解いてしまうのですが…一度飼ったら動物は死ぬまで飼いましょう…じゃなくて。
このあと倖生が拉致されて、身代金を要求されるという事件が起き、そこに轡田が助けに来てくれるわけですが、この展開はなんかちょっと…ありきたり過ぎ? 捨てた犬を助けにくるということで、轡田の本当の気持ちがわかるわけですが、そこまでの奇妙な二人の関係に比べると、いかにも「お約束」のような気が、ちょっとしました。
二人がちゃんと「人」と「人」として、お互いを必要とし愛するようになれて、ホントに良かったなと思います。

轡田の臆病さが、ちょっと誤った方にいってしまったのかな、という感じもあります。ちょっと変な人なのは間違いないとは思う(笑)
ラストの二人はごく普通の恋人で、轡田の独占欲は可愛らしいじゃありませんか。
嵐のように激しすぎる愛情を持つ故、相手にとって重たすぎて別れを告げられ傷ついた轡田ですが、一方の倖生はどんなに望んでも得られなかった愛情のためカラカラに乾いた砂漠のような心を持っています。
砂漠に嵐が起き、どんなに雨が降り注いでも、砂は全てを吸収して、まだ足りないと言うでしょう。お互いにとってこれほどピッタリの相手はないですよね。

普通ではない「犬」と「飼い主」という状況で始まった二人が、ちゃんと普通の恋人になっていて違和感がない。榎田さんの面白さと上手さを感じます。
恋人同士になった二人は周りからみると…かなりのバカップルに見えそうです(笑)
面白いのでどんどん読んじゃいました。
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