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昨日の敵は明日の恋人
綺月 陣著 / 紺野けい子イラスト
プランタン出版
プラチナ文庫 (2006.6)


嫌々行ったお見合いパーティー。若手プランナーの一世は、凄いイケメンに出会う。
タキと名乗る彼は、性格も笑いのツボも、身体の相性までもが、すべて好みの男。
やっと見つけた運命の恋人。―のはずだったのに。
憎んでも憎み足りないアイツだなんて!!
そして一世の正体を知ったタキも態度が一変。
二人は大喧嘩になってしまうが…!
石原隆行(いしはらたかゆき・28歳)×江上一世(えがみいっせい・27歳)

先輩に頼み込まれて行ったお見合いパーティーで、一世は超イケメンの好みド真ん中の男に出会います。「女」が苦手で困り果てていたところを、その男に救われ、相手も乗り気でなかったパーティーを抜け出し、二人で酒を飲むうちに、見る見るいいムードに。
お互い見詰め合った瞬間から恋に落ちてしまったんですね。
まるで運命の相手そのもの。お互いの考えていることが言葉にしなくても通じ合う。笑いのツボも、食べ物の好みも、今何をしたいかも、考えることは一緒。身体の相性も文句なしで、二人は急速に蜜月へと高まっていきます。
本当にお互いのために作られたかのような見事な一対で、その熱々ぶりは幸せ一杯胸いっぱいが歩いているよう。名前も住んでいるところも仕事も、そんな瑣末なことはいらない。心と心、存在と存在が引き合って惹かれあって、それだけでいい。
しかし、恋に浮かれ熱に溺れて相手の素性を確かめなかったことが、大きな落とし穴になります。

実は、タキは、一世の勤めるファッションンビルと駅を挟んで反対側にある、日本一の売り上げを誇る老舗百貨店のやはりプランナー。一世が今の仕事についた二年前から、老舗百貨店に追いつけ追い越せと考え出した数々の売り出しやイベントプランと同じような、そして更に魅力的なプランを考え出し、ことごとく先を行っていたのが、老舗百貨店の同じ仕事につく「石原」でした。
「石原」の前にことごとく敗れ去った一世は、いつしか「石原」を敵視し、憎むほどに。
タキが「石原」だと知った一世の怒りとショックは尋常ではありませんでしたが、一世が「江上」だと知ったタキも、やはり「あの江上?」とまるで汚いものを摘むような言い方をし…二人は大喧嘩になってしまいます。

甘~い甘~い前半に比べると、中盤から後半にかけての、まるで犬の吼え合いのような喧嘩は…面白いんです、これがまた。
二人きりで話し合おうとホテルで合い、言い争ってはいるものの、なんだか…ノロケ合戦みたい(笑) ネクタイの掴み合いになり、ツバが飛びそうなほど顔を接近させて言い合ううちに、これまた何故かお互い唇が吸い寄せられ、そのままベッドへなだれ込んで、熱く甘く激しいHになってしまう。
終わったあとは、また喧嘩。そして再び話し合おうと日を改め会うのですが、またまた同じ流れに。
どうしてこうなるんだ!?と、理性では憤懣やるかたないのに、「運命の相手」で「相性ぴったり」の二人は、見詰め合ったら心と身体が引寄せられちゃうんですね(笑)

とても軽快でユーモアある語り口で、最初から最後まで面白く楽しめるリーマンラブコメディでした。
一世の仕事に対する意気込みや、意地やプライドも、いい感じでしたね。仕事に真剣だから、自分の上を行くタキに、なかなか素直になることができないんでしょうね。
そしてタキも一世を認めているからこそ、一世の敵愾心が不本意なんだと思う。プライドと、同じくらい強い相手への愛情との綱引きは、とても面白かったです。
二人はかなり「バカップル」ですね(笑)

綺月さんは初めて読みました。
いろいろと怖い(笑)お話もあるようなので、ちょっと避けておりましたが、この手はOK。
大変楽しめました。
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