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カミングホーム
榊 花月著 / 山本小鉄子イラスト
幻冬舎コミックス
ルチル文庫(2007.5)


男ばかりの兄弟5人組で暮らす夏目家の三男・夏目晶紀は高校三年生。
家事を一手に引き受ける晶紀は、社会人の一実、大学生の嗣人、中学生の真生、小学生の楓の世話で忙しい。
そんなある日、一実が同僚の波柴一郎とともに帰宅する。
親しげに話しかけてくる波柴を最初は胡散臭いと思っていた晶紀だが、次第に波柴の優しさに惹かれていて――!?
波柴一郎(はしばいちろう・27歳)×夏目晶紀(なつめあき・17歳)
サラリーマン×高校三年生。

晶紀の家は、父一人、兄弟五人の父子家庭です。父はロスに単身赴任中。
長男の一実(かずみ・25歳)はサラリーマン、次男・嗣人(つぐと)は大学四年、四男・真生(まお)は中学2年生、五男・楓は小学三年生。
父のいない男ばかりの兄弟のみの生活の中で、三男である晶紀が、家の家事を一手に引き受けて『お母さん』をしています。

中学時代好きだった陸上は、高校進学とともに諦め、毎朝皆が起きだす前に近所を走っています。帰ってから朝ごはん、昼の弁当のしたく。兄弟それぞれにご飯を食べさせ、末っ子の楓の着替えを手伝ってやり、中学生の真生の学校で必要なものを揃えてやり、最後に自分もご飯を食べて洗物をして学校へ登校します。
放課後は、友人に誘われてもなかなか一緒に行くことはできません。スーパーによって夕飯の買い物をして、夕飯を作り、下の二人とともに夕食を囲んだあとは、それぞれバラバラの時間に帰って来る社会人の長兄と大学生の次兄のために、その都度テーブルを整えてやる。
週末はたまった掃除や洗濯に追われます。
母が亡くなってから、晶紀の生活はずっと、そんなルーティンワーク。そんな日々に、ある晩、突然長男の一実が同僚の波柴を伴って現れます。

夕食を共に囲んだ波柴は、明るく人懐こく、しかしどことなく軽い感じの男。最初の印象はあまり良くありません。
けれど、兄弟のために一生懸命な晶紀の苦労をわかってくれる、さりげない優しさに気づく。何度か接触するうちに、いつのまにか晶紀は波柴に惹かれていきます。

しかし、お話の中心は、好きな陸上も辞め女の子とつきあうことも自分の将来のことも考える暇なく兄弟のために尽くしてきた晶紀の反乱(?)が中心という感じでした。
晶紀は家事が嫌いなわけではなく、むしろ好きで引き受けてきたはずなんですが、自分の進学や、友人に彼女ができたことなど、ちょっとした転機や変化をきっかけに、晶紀は、自分にすっかり頼りきる兄弟たちの『犠牲』になっているような気がしてきます。

ワガママばかり言う下の弟たちに、合コンだサークルだと大学生活を気ままに謳歌しているような次男、クールで家のことをあまり顧ない長男。
末弟が熱を出した際、ちょうど友人に女の子を紹介してもらっている最中だった晶紀は、真生から電話をもらっても、お前がなんとかしろと言ってしまうのですが、どうしても気になって帰ってみれば、真生が波柴に連絡して病院に連れていったあとで、真生にさも薄情なものを見るように非難の目で見られてしまう。そこでまた自己嫌悪と「何で僕だけ」という不満ループに陥ってしまうのですが、進路を決めていないことを長男に責められて、とうとう爆発してしまいます。

晶紀は、毎日家族のために家事に頑張るお母さんのようです。家族はご飯が出てくることや家が整っていることを当たり前だと思いがちで、心の中では感謝していても、なかなか改めてありがたがられることはありません。家事は目に見える形で正等な対価が支払われないので、その価値を忘れられがちだし、やってる本人もその大切さや重要さを見失いやすいんですよね。家族のために、と自分が進んで愛情持ってやってるはずでも、自分の時間を削って働くお母さんが、時々「なんで私だけ」と愚痴をこぼしたくなるのはしかたない。
時々ストライキ(笑)でもしてガス抜きするのも必要だと思いますので、晶紀の思いはワガママでもなんでもないと、思います。しょうがないよ、しょうがない。頑張ってるよ、と誰かに言ってもらえれば、また元に戻れるくらいのこと。

気持を兄弟に聞いてもらえて良かったと思うのですが、さて、恋愛面はどうだったかというと、こういった家族問題の影になり正直物足りないです。波柴は夏目家の男たちのせいで霞んでいたように思います。これといった、惹かれる大きなきっかけや事件があるわけではないので、ラストで結ばれるのも「いつのまに」という感じがしてしまいました。最後になんとかそういうシーンを詰め込んだという感じ。それまで大したアクションも起こさない、良き理解者みたなポジションの攻めが、受けに告白されたとたんにHに雪崩れ込むというのもなんか不自然な気がするし。

でもこういうホームドラマ的なお話は好きなので、雰囲気はおおむね楽しかったです。
で、男兄弟がたくさんいると、つい「総○モ」を期待してしまうんですが、下二人は個人的には難ですけど、上二人あたりはなんかありそうですか?(笑)
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