fc2ブログ
BL読書感想日記※※※ 詳しくはカテゴリーの「このブログについて」をご覧下さい。

2023/081234567891011121314151617181920212223242526272829302023/10

エレベーターで君のとこまで。
鳩村 衣杏著 / 笹生コーイチイラスト
海王社ガッシュ文庫 (2006.6)


高校卒業時の「絶交」以来、音信不通だった元親友同士が7年ぶりに再会した。
長身に見合わぬ乙女心を持つ能島平は少女漫画家、身体は華奢だが男前な窪田修里はIT会社のサラリーマンになっていた。
絶交中もずっと修里に片思いしていた平。その愛は修里をモデルに漫画を連載するほどで、平は再会を機にどうにか関係を修復、そして恋人へと進展したいと考えるのだった。
一方修里は、そんな平の想いを初めて知らされて戸惑い…。
能島平(のじまたいら・25歳)×窪田修里(くぼたしゅり・25歳)
同級生、再会ものです。

「エレベーターで君のとこまで。」雑誌掲載
「社長さんのお気に入り」書き下ろし
「恋の振動」書き下ろし(ショートストーリー)の三編です。

IT企業(株)グッド・ビットの引越しの日、同ビル内に入る他社に手土産を持ち挨拶に行った修里は、ビルの5階にある(有)タイラーズで、高校の同級生・能島平と再会します。
久しぶりの再会に思わず喜びの声をあげる修里でしたが、自分たちが実は過去に喧嘩をして以来、絶交状態だったのをはたと思い出します。
動揺しつつも、ずっと忘れたことのなかった大好きな親友だった平と仲直りしたい修里ですが、実は平の方も…。
という二人の関係。

視点が【修里】【平】と交互に代わり、同じ高校に入る前、中学の頃からお互いとも相手を知っていて、「絶交」するまで、そして「再会してから」どんな風に感じていたのかがわかりやすく伝わってきます。

身長190に近い長身で、口数は少ないもののクールな雰囲気が学生時代から女性にモテた平。身長162cmと小粒なものの、元気で明るく真っ直ぐでちょっと短気だけれど可愛い修里。
平は高校生の時から密かに修里に恋心を抱いていました。「クール」に見られがちの平ですが、実はただの口ベタ。高校時代は男同士でもあるし、気持ちを伝えて親友という関係さえ壊れてしまうのが怖くて何も言い出せませんでした。
絶交の原因となった平のある一言も、どういう意味だったかはすぐわかるんですが、口がうまくないため修里にちゃんと説明できなかった。
それを説明するとなると自分の気持ちを打ち明けなければならなかったし、実らない恋を忘れるためには、このまま離れてしまったほうがいいと思い、怒った修里に弁解も連絡もしなかった。
しかし、再会して修里の変わらなさに、蓋をしていた恋心が溢れ出してしまいます。

再開後、自分のオフィスに戻って「可愛い可愛い可愛い可愛い」と枕にあたって悶える平が、それこそ可愛いです。
「乙女攻め」というやつらしいですよ。
修里に対する恋心が、なんともいじらしく初々しい。修里の勤め先の社長が修里に馴れ馴れしく触れるのをみて、いかる平も可笑しい。
高校生の時から自分と修里を主人公にした「おっきいくんとちっちゃいちゃん」という4コマ漫画日記を大学ノートにつけていて、漫画家になったいまは、修里をモデルにした女の子のバレーボール漫画を描き、売れっ子になっています。

修里の方がちょっと短気でハッキリものを言うので、タジタジとなった口ベタの平は何も言えなくなり、誤解に誤解を重ねてしまうんですが、切ないというよりとってもじれったい可愛い恋のお話になっていました。
乙女でヘタレな平ですが修里のピンチにはきっちり修里を守り、男らしいのがいいですね。
「エレベーターで君のとこまで。」って、そのまんまなんですが、ベタだけどウキウキするような気持ちが伝わってきてちょっといいかも。


書き下ろしの「社長さんのお気に入り」は別カップルのお話で残念な気もしますが、修里の勤めるIT企業社長・大庭憲太郎(おおばけんたろう)×平のアシスタントチーフ兼マネージャー・斎賀珠紀(さいがたまき)のこのカップルが、実は主役を食うよなオイシさです(笑)
こっち二人の方が好みというかたもいるかもしれない。
ヘラヘラ男×クール美人という考えただけで噛みあわなそうで、受にストレスが溜まりそうな組み合わせ、面白そうですよね。
これだけでも面白いですが、せっかくだから別本で出したらどっちもより楽しめたのに。

「恋の振動」は平と修里のショートストーリー。
可愛らしい、ラブラブバカップルの二人。
「恋の振動」ってタイトル、内容を読むとちょっと笑ってしまいます。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/330-dd9ad3b1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック