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二度とこの手を離さない
鹿住 槙著 / ライトグラフIIイラスト
フロンティアワークス
ダリア文庫 (2006.5)


渡部雅則は、高校の頃クラスメイトだった藤井圭介と一度だけ関係を持ってしまった過去がある。
気まずいまま卒業し、複雑な想いを抱え続けていた雅則は、他社から引き抜かれてきた圭介と再会する。
そして流されるままに再び身体を重ねてしまうが、圭介には既に恋人がいた。圭介を好きだったことに今更ながら気づいてしまった雅則は諦めようと決意するが…。
藤井圭介(ふじいけいすけ)×渡部雅則(わたべまさのり)
同い年、26歳


再会ものです。
高校時代、その場の空気に流されて寝てしまった二人ですが、雅則は気まずさから、それ以来藤井を避け続け、結局そのまま卒業し離れ離れになってしまう。
自分が無視したのに、そのあとも渡部はずっと藤井のことが心に引っかかっていました。
そして就職して4年目、渡部の会社に藤井が中途入社してきて再会することになります。

とてもよくあるパターンです。キライではないですけど。
再び目の前に現われた藤井(攻)がグイグイ押してくるのかなと思ったんですが(そういう展開が多いから)、そういうわけでもないんですよね。動揺する渡部に、もう大人なんだから過去を引き摺るのはやめて普通に接して欲しいなどとのたまう。
気にしていたのは自分だけか…と何故か落胆するものの、普通に接しようとする渡部ですが、気持ちは複雑。
若い初恋の頃には自分の気持ちがよくわからず、男同士ということにビビッて尻込みしてしまった恋に、あとになって気づく、これも定番ですね。

しかし、お互いが気持ちを隠して「同僚」として普通に接しようとしているところが、ちょっと珍しいかも。だいたい再会したとたん攻が強引に迫ってくるのが多いんだけど(笑)。
お互いが誤解してるせいもあるんですけどね。藤井はある理由があって左手薬指にプラチナの指輪を嵌めており、渡部はそれをパートナーがいるからだと思ってるし、渡部も半年前までつきあっていた彼女と別れたことを、詮索されたくないため社内の誰にも黙っていたのが藤井の耳に入り、「渡部には婚約者がいる」と思ってしまってるから。
このあたり、お互い誤解していく課程が、うまいですよね。
男が結婚もしてないのに左手薬指にプラチナの指輪をするという理由って考えても思いつかないけど、そのあたりも無理がなく、納得できる理由でなるほどと思いました。

お互いに相手がいるとなると、かなり切ない状況だと思うんですが、何故かあまり切なさを感じなかったのはなぜでしょう。
本心を抑えて普通に接し合ってはいるものの、藤井が過労で倒れてしまったときは、人間弱ってると箍が外れるもんで再び寝てしまうんですが、そのあと切なさに身を裂かれるような思いをするかと思えば、「大人なんだからもう避けたりしない」とまた普通に戻ってる(笑)。
心の中は普通ではないんですが、表面は普通に会話してるし、藤井にいたっては仕事のファイルに「困らせてごめん。でも、日陰の身でかまわないので、おそばにいさせてね」などと書いた付箋を貼り付けて寄こしたりして…。この時点で、真剣さ、誠実さをちょっと疑いましたね(笑)

結局激情に駆られて泣きながら本心をぶちまけヒッシと抱き合うのではなく(たいていそういうヤマがありますよねぇ)、居酒屋で差し向かいで酒を飲みつつお互い打ち明け話なぞして誤解をとくという、妙に盛り上がらない告白となっておりました。
まあ、声を荒げて好きだと叫ぶのが日常だとは思わないから、これはこれで常識的な社会人の行動だと思いますが、あれ?と肩透かしを食らった気がしたのは確かです。

高校時代の二人のエピソードにしても非常に浅くて、その頃から現在にいたるまで忘れられなかったという想いのそれほどまでの熱が全然感じられなくて、たいへんアッサリした雰囲気でした。
本自体薄いので、いろいろ限界もあったんでしょうが。
全体的に本当にさっぱりした印象でした。
でも意外とキライじゃなかったんですね、これが。
ドラマティックな展開で山あり谷あり切なさてんこ盛りな話に比べると、かえってリアルなのかもしれない。

藤井が高校時代から渡部を好きで避けられたことで傷つき荒れに荒れ、それなのに今でも渡部を好きなことを知っていて、そんな藤井に片思いしながら後輩の顔をして同居している山科(やましな)くん。この立場は相当辛いんではなかろうか。
かなり修羅場になってもよさそうだけど藤井と渡部がうまくいったことを知ると、あっさり身を引いてしまう。(あ、このときも渡部vs山科の対決は、お酒を飲みながら話し合ってましたね。) 
山科君が、いい人を見つけて幸せになってくれるといいと思います。
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