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熱情のロジック
坂井 朱生著 / 冬乃 郁也イラスト
フロンティアワークス 
ダリア文庫 (2006.5)



涌井真人は友人を介して知り合った設計士・仁木久芳と勢いと成り行きまかせで寝てしまう。仁木は真人の身体が気に入ったらしく「しばらくつきあおう」という提案をしてくる。
真人は次第に仁木に惹かれていくが、仁木の「しばらく」という言葉が気になり、いつかくる終わりの日に怯えて素直になれない。
そんなある日、仁木の昔の恋人が現れて…。
仁木久芳(にきひさよし・30歳)×涌井真人(わくいまひと・27歳)

真人の弟・千智(ちさと)編「誘惑のプロセス」のリンク作品なんですが、気がつかないで買いました。
そちらは読んでおりません。

過労とストレスによる内臓疾患で入院を余儀なくされ辞職、やっと退院した今は千智の恋人、柏倉(かしわくら)の元でリハビリを兼ねてアルバイトをしている真人。
ある日柏倉と食事をした際、柏倉の友人である仁木に偶然出会います。柏倉から紹介され挨拶をしたのに、仁木は興味もなさそうに一瞥するだけ。しかしゲイの真人は偉そうで傲慢な仁木のような男が実はタイプ。見た目も真人好みのハンサムな仁木のことがそれ以来なにかにつけ頭に浮かんでくるようになる。
しかし自分に欠片の興味も愛想も見せなかった仁木に脈はなさそうだし、二度と会うこともないだろうと思っていたのですが、仕事で書類を届けた設計事務所で偶然再会します。

それ以来「飲み友だち」になる二人。
ある日、顔色が悪く疲れた様子の仁木を飲んだ後送っていった真人は、その場の雰囲気と勢い、成り行きで仁木と寝てしまいます。
そして仁木から「しばらくつきあおう」と言われる。
その「しばらく」という言葉が真人の心に引っかかってしまいます。

いつも傲慢で自分勝手な男ばかり好きになり、自分を抑えて振り回されて言いなりになった挙句、相手の増長に耐え切れずに爆発し別れるというパターンを繰り返してきた真人。
わかっているのにどうしてもそういう男に惹かれてしまうのは、自分を捨てた実父の面影を追っているのかなと思わせます。そして伯父の家で育った真人は自分を無条件で受け入れてくれた千智にとても深い愛情を抱いています。ファザコンでブラコンなわけだ。
自分を実子のように育ててくれた千智の両親は亡くなり、千智と二人きりになった真人は千智のために生きているようなものでしたが、千智には恋人ができてしまった。弟離れしなくちゃと思いながら寂しさは否めない。もしかすると千智の恋のお話では障害としてお邪魔君だったのかもしれませんね。
実父に捨てられ、千智には安心して任せられる恋人ができて、真人はひとりきりになったと感じます。そのせいか、尻軽というわけではありませんが、自分を大事にできないようなところもあります。病後の自分を心配する千智はなかなか恋人にも会えないでいるようで、千智にそういう気づかいをさせるのももう心苦しい。
それで、仁木の「しばらくつきあってみないか」などという軽い誘いにも乗ってしまうんですね。

展開はとてもよくある感じで目新しさとか目立つ部分は感じないんですが、いろんな出来事がからんだ真人の複雑な心境は理解しやすく共感しやすかったです。結構いろんな感情が重なりあってるのに、サラッとしてるのは真人が外見さっぱりしたタイプだからかしら。

実父に似た男を好きになり、その勝手さが厭になり別れ、そしてまた似たタイプの仁木に惹かれて。
ところが仁木は偉そうな態度とは裏腹に、実は恋人には気配りと優しさと甘さの人なんですよね。今まで気づかわれたり優しくされたり甘やかされたことなど生まれてから一度もない真人ですから、仁木にどんどん惹かれていってしまう。その辺の気持ちはよくわかります。

ただ自分の気持ちを自覚してからが非常に後ろ向きでじれったい。
曖昧な関係で始まった二人ですが、仁木の方も本気になり、そのことはちゃんと真人に伝えるし態度にも出してくれています。
しかし「失い癖」のついている真人は、父や千智やそれまでつきあった男たちが自分から離れていったように、仁木が離れていく日が来るのが、本気になればなるほど怖い。
あげく失踪しようとしてしまう…。
よくある展開ですが、こういう停止の状態が長いと流れがもたついたように感じられます。そしてラストで前向きになったとたん、それまでの悩みが綺麗さっぱり消えうせるのが常なので、なんだったんだ…と思わされ力が抜けてしまいます(笑)。

仁木は恋人にベッタリなタイプだし、甘えたくても甘えられなかった真人が重たくなるほど仁木に甘えても望むところな男なので、これからは相当なバカップルになるんじゃないでしょうか。

これだけでも読めましたが、千智編の経緯なども多少出てきていて、そちらを読んでいたらもっと楽しめるのかな、と思いました。
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