イラスト/亀井高秀
伯父に引き取られた田辺広明は、3つ年下の瀧頭翔一郎を義弟として可愛がっていた。
しかし翔一郎は、広明を独占しようとし、無理矢理身体の関係を結ぶ。いけないと思いながらも拒むことができずに関係は続き、伯母にばれたことをきっかけに、広明はニューヨークに逃げてきた。
それから3年―広明のもとに翔一郎が現れる。動揺する広明は―。
しかし翔一郎は、広明を独占しようとし、無理矢理身体の関係を結ぶ。いけないと思いながらも拒むことができずに関係は続き、伯母にばれたことをきっかけに、広明はニューヨークに逃げてきた。
それから3年―広明のもとに翔一郎が現れる。動揺する広明は―。
瀧頭翔一郎(たきがしらしょういちろう・20歳)×田辺広明(たなべひろあき・23歳)
母子家庭で育った広明は、母の失踪をきっかけに母の姉の家に引き取られます。伯母の家には、従兄弟にあたる翔一郎、亜子がいて、広明は二人の弟妹の兄として、本当の瀧頭家の実子のように区別されることなく育ちます。
弟妹とも本当の兄弟のように仲良くしてきましたが、翔一郎が高校生になった頃から、翔一郎の自分を見る目に特別な熱が籠っていることに、広明は気づくようになります。
その意味がわかるからこそ、広明は翔一郎を遠ざけようとしましたが、ある日言い争いの末に、広明は翔一郎に無理矢理抱かれてしまいます。
いけないことだと思うものの、自分の中にも特別な想いは確かにあり、翔一郎に押し切られると抵抗できず、数回、身体を重ねてしまいますが、しかし、ある日伯母にそれを目撃されてしまう。
今まで育ててくれたことの恩をアダで返したこと、「汚らわしい」と言われたことにショックを受ける広明。
その後、まるで家から追い出そうとするかのように伯父からアメリカ留学を薦められ、広明は、それを受け入れて逃げるようにアメリカへとやってきます。
それから3年、大学を卒業後、アルバイトをしながらハーレムに住み、教会の手伝いをして暮らす広明の元へ、突然、翔一郎がやって来ます。
視点が広明、翔一郎と交互に代わるので、お互いがどれほど相手を想っているか、会いたくてしかたがなかったかがよくわかります。
気持ちは真っ直ぐにお互いに向いているのに、しかし広明の方がそれを認め受け入れることができないんですね。
正真正銘の従兄弟なので血が繋がっているんですが、そのことについてはそれ程悩んでなかったです(笑)。
そういうことよりも、自分を拾って育ててくれた伯父や伯母への感謝、瀧頭家(貿易会社を営むお金持ち)の名誉を傷つけないようにと自分を律して生きてきたのに、裏切ってしまったことへの申し訳なさ。
翔一郎の将来を案じ、こんな関係に幸せな未来などあるはずがないと思っています。
そういうものが広明を押しとどめているんですが、実は心の奥の本当の理由は、実の母に捨てられたというトラウマ。母に愛されなかったという思いは広明の心に影を落していて、一番怖いのは、母のように翔一郎が自分を捨てていってしまう日がくることなんです。
もしそんなことになったら生きていかれない、それが怖くて仕方がない。そう頑なに思わせてしまう背景がいっぱいあるわけです。
広明が翔一郎を愛していることに、翔一郎も気づいているんですよね。なのに、広明の固い殻は自分を跳ね返し、受け入れようとしてくれない。
力で押して失敗した過去から、今度は広明から心を開いてくれるようにと自分を抑えているのに、それでも拒否される。
視点が交互に代わるので、そのへんの広明、翔一郎の辛さがよくわかって切ないです。
広明もちょっとハッキリしなさ過ぎなんで、翔一郎が可哀相かもしれない。再び受け入れておきながら、我にかえったら慌てて真っ青になってしまうんでは、翔一郎はジェットコースターに乗らされてるか、天国から地獄に落とされちゃったみたいですよね。
しかしこれ、切ないお話というわけでもないんですよね。
翔一郎は実は日本ではちょっと有名なシンガーになっていますす。しかしTVにも出ないしコンサートも開かない、露出はCDだけなんですが、噂が噂をよんでかなり売れている。
けれど翔一郎は、それ以上に売り出すことには全く興味がなく、歌の上手さを買われてシンガーになったのも、自分の歌をどこかで広明が聴いて、会いにきてくれるかもしれないと思ったから。子供のころ、初めて自分の歌を褒めてくれたのが広明で、自分の歌を好きだと言ってくれた広明一人のために歌を作り、広明だけのために歌っていた。
広明の手伝っている教会で、広明のハーレムのアパートで、翔一郎は広明だけのために歌を歌う。
なんともロマンティックな設定が、切ない中にも、甘~い雰囲気を漂わせていました。
翔一郎がピアノを弾きながら歌う「アメージング・グレース」、想像するとゾクゾクしてしまいますね。アパートでは一日一曲、広明のために作った愛の歌を歌う。
そして極めつけは初めてのコンサートの舞台上から定番の愛の告白、そして手に手をとって逃亡。ハズカシイー(笑)
瀧頭家の面々も、妹は兄二人の関係に当初から好意的だったようだし、伯父はどちらかといえば実の息子が狂犬となって、考えなしに「可愛い広明」を喰ったと思っているようで、アメリカ留学を薦めたのも、広明を猛獣(笑)から守るためのようなんですよね。
この関係に拒絶反応を示していたのは伯母だけなんですが、この伯母も夫の会社で重役として辣腕を振るうデキる女なので、現状はちゃんとわかっている。
母としての部分で、どうしても手放しで賛成はできないけれど、苦笑して諦め受け入れてくれるくらい、軟化してくれて…。関係者もみんな祝福してくれてますがな。
終わってみたら、幸せな甘さだけが残ってました。
読後に思うに、このすったもんだは、切ないというより、じれったい二人のお話という感じですね。
あんまり周囲に迷惑かけないようにね。
母子家庭で育った広明は、母の失踪をきっかけに母の姉の家に引き取られます。伯母の家には、従兄弟にあたる翔一郎、亜子がいて、広明は二人の弟妹の兄として、本当の瀧頭家の実子のように区別されることなく育ちます。
弟妹とも本当の兄弟のように仲良くしてきましたが、翔一郎が高校生になった頃から、翔一郎の自分を見る目に特別な熱が籠っていることに、広明は気づくようになります。
その意味がわかるからこそ、広明は翔一郎を遠ざけようとしましたが、ある日言い争いの末に、広明は翔一郎に無理矢理抱かれてしまいます。
いけないことだと思うものの、自分の中にも特別な想いは確かにあり、翔一郎に押し切られると抵抗できず、数回、身体を重ねてしまいますが、しかし、ある日伯母にそれを目撃されてしまう。
今まで育ててくれたことの恩をアダで返したこと、「汚らわしい」と言われたことにショックを受ける広明。
その後、まるで家から追い出そうとするかのように伯父からアメリカ留学を薦められ、広明は、それを受け入れて逃げるようにアメリカへとやってきます。
それから3年、大学を卒業後、アルバイトをしながらハーレムに住み、教会の手伝いをして暮らす広明の元へ、突然、翔一郎がやって来ます。
視点が広明、翔一郎と交互に代わるので、お互いがどれほど相手を想っているか、会いたくてしかたがなかったかがよくわかります。
気持ちは真っ直ぐにお互いに向いているのに、しかし広明の方がそれを認め受け入れることができないんですね。
正真正銘の従兄弟なので血が繋がっているんですが、そのことについてはそれ程悩んでなかったです(笑)。
そういうことよりも、自分を拾って育ててくれた伯父や伯母への感謝、瀧頭家(貿易会社を営むお金持ち)の名誉を傷つけないようにと自分を律して生きてきたのに、裏切ってしまったことへの申し訳なさ。
翔一郎の将来を案じ、こんな関係に幸せな未来などあるはずがないと思っています。
そういうものが広明を押しとどめているんですが、実は心の奥の本当の理由は、実の母に捨てられたというトラウマ。母に愛されなかったという思いは広明の心に影を落していて、一番怖いのは、母のように翔一郎が自分を捨てていってしまう日がくることなんです。
もしそんなことになったら生きていかれない、それが怖くて仕方がない。そう頑なに思わせてしまう背景がいっぱいあるわけです。
広明が翔一郎を愛していることに、翔一郎も気づいているんですよね。なのに、広明の固い殻は自分を跳ね返し、受け入れようとしてくれない。
力で押して失敗した過去から、今度は広明から心を開いてくれるようにと自分を抑えているのに、それでも拒否される。
視点が交互に代わるので、そのへんの広明、翔一郎の辛さがよくわかって切ないです。
広明もちょっとハッキリしなさ過ぎなんで、翔一郎が可哀相かもしれない。再び受け入れておきながら、我にかえったら慌てて真っ青になってしまうんでは、翔一郎はジェットコースターに乗らされてるか、天国から地獄に落とされちゃったみたいですよね。
しかしこれ、切ないお話というわけでもないんですよね。
翔一郎は実は日本ではちょっと有名なシンガーになっていますす。しかしTVにも出ないしコンサートも開かない、露出はCDだけなんですが、噂が噂をよんでかなり売れている。
けれど翔一郎は、それ以上に売り出すことには全く興味がなく、歌の上手さを買われてシンガーになったのも、自分の歌をどこかで広明が聴いて、会いにきてくれるかもしれないと思ったから。子供のころ、初めて自分の歌を褒めてくれたのが広明で、自分の歌を好きだと言ってくれた広明一人のために歌を作り、広明だけのために歌っていた。
広明の手伝っている教会で、広明のハーレムのアパートで、翔一郎は広明だけのために歌を歌う。
なんともロマンティックな設定が、切ない中にも、甘~い雰囲気を漂わせていました。
翔一郎がピアノを弾きながら歌う「アメージング・グレース」、想像するとゾクゾクしてしまいますね。アパートでは一日一曲、広明のために作った愛の歌を歌う。
そして極めつけは初めてのコンサートの舞台上から定番の愛の告白、そして手に手をとって逃亡。ハズカシイー(笑)
瀧頭家の面々も、妹は兄二人の関係に当初から好意的だったようだし、伯父はどちらかといえば実の息子が狂犬となって、考えなしに「可愛い広明」を喰ったと思っているようで、アメリカ留学を薦めたのも、広明を猛獣(笑)から守るためのようなんですよね。
この関係に拒絶反応を示していたのは伯母だけなんですが、この伯母も夫の会社で重役として辣腕を振るうデキる女なので、現状はちゃんとわかっている。
母としての部分で、どうしても手放しで賛成はできないけれど、苦笑して諦め受け入れてくれるくらい、軟化してくれて…。関係者もみんな祝福してくれてますがな。
終わってみたら、幸せな甘さだけが残ってました。
読後に思うに、このすったもんだは、切ないというより、じれったい二人のお話という感じですね。
あんまり周囲に迷惑かけないようにね。
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