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イラスト/秋森びびか

上芝は海外出張から帰ってきて早々、人気恋愛小説家・庭中まひろの担当を任される。しかし庭中は、連載小説を書くために、小説の主人公である女性に自分がなるから、上芝も相手の男になって芝居をしろ、などと言い出す。庭中のイメージを膨らませるために、庭中のシナリオ通りにデートをするのだ。
一分刻みで予定を組む庭中に、最初は上芝もうんざりしていたが…。
上芝駿一(かみしばしゅんいち・25歳)×庭中真尋(にわなかまひろ・29歳)
雑誌編集者と恋愛小説家。

小説アイスで『読者参加型企画』というのがあったそうで、その企画に沿って書かれた作品だそうです。どの程度の参加度なのかはわかりませんが、カップリングの「編集×作家」というのはそうらしい。いろんな希望を入れながら書いたんでしょうね。「年下攻め」とか「襲い受」とか(笑)。攻の勤めているのが「アイス出版」というのも可笑しい。
それはともかく、とても面白いお話となっていました。
(上)とあるからには(下)に続いています。


情報誌「ガーネット」は、新連載で恋愛小説を掲載することになり、小説を執筆する人気恋愛作家「庭中まひろ」の担当を、上芝が命じられます。
しかし上芝の仕事は、庭中の書くシナリオに沿って、作中の男を演じること。唖然とする上芝ですが、それによって作品のイメージをかきたてるためだと、庭中は有無を言わせない。女性役には庭中がなり、それ以来、事前に庭中から送られてくる何ページものファックスの指示するとおり、二人は擬似恋愛をすることになります。

しかしこの二人、性格が正反対。
上芝は、アクティブなアウトドア派というか、憧れはアフリカやモンゴルの地で夢はネイチャー系ルポライター。大らかで細かいことに拘らない元気で明るい性格。服装はいつもTシャツにジーンスで笑うとちょっとワンコ風味。
しかし庭中は、神経質で、歯に衣着せぬ毒舌家。喋り方も平坦で顔にも表情があまりない冷たい雰囲気です。愛想の欠片もない。そして一番の問題は、時間にとてもうるさいこと。
庭中のスケジュールは分刻みで予め計画立てられており、それが狂うことを何よりも嫌います。朝起きてから、洗顔、食事、仕事、人と会うこと、コーヒー休憩、風呂、就寝は元より、帰宅時間をきっちり合わせるためには乗ったタクシーの速度にまで口を出し、実は自慰までスケジュールが決められていて、そのとおりに動くことを心の安定としています。近所が回覧版を廻してくるのにも「あらかじめ何時にくるか連絡してくれ。予定にいれておくから」と言う始末。
そんな庭中ですので相手にももちろん時間厳守、予定通りことが運ぶように行動することを望みますが、上芝はもともと型に嵌まることが大嫌い。ことごとく庭中の予定を狂わせます。

上芝の役どころは、「富豪の一人息子で物腰のスマートな青年実業家」。庭中は「平凡なOL」役。
最初の出会いはフランス料理店で、庭中(女性役)の落としたエスカルゴを上芝(男役)が拾い、気転の利いた会話でフォローするはずだったんですが、指示のファックスをちゃんと読んでいない上芝は、あろうことかエスカルゴを皿にポイと戻し「落ちたもんでも三秒以内に拾えば食える」などと言ったりします。
次の初めてのデートでは、車でかけるムーディーなラブソングを用意するように指示を出す庭中ですが、上芝が用意したのは怪しげな民族楽器音交じりのジャマイカ音楽。「これのどこがムーディなんだ!」と怒る庭中に「そうですか?わりと詞がいいんですけど」と全くかみ合いません。
そうはいっても上芝はガサツなわけではなく、実は彼も大グループ企業の一人息子であるので、たとえラフで放蕩なところがあっても育ちの良さは滲んでいます。真っ直ぐでひねたところのない誠実ないい男。

まったくズレた二人の会話はまるでコメディのように可笑しいんですが、これが回を重ねるごとに、二人とも気持ちが惹かれあっていきます。小説のためのシナリオのはずなのに、ちょっとずつ変わっていく庭中の自覚のなさ故のトンチンカンがとても可愛らしいです。
しかし、あくまで小説のための「演技」が発端というところが、いろいろと誤解を生んでしまうことになるんですね。視線も言葉も微笑みも「演技」なのか「本当」なのかお互いに相手がわからず、勘違いの方向へ…。

庭中の時間への拘りは「強迫症」のようなところがあり、実際過去にはカウンセリングも受けていて、それが子供の頃の哀しい出来事によるトラウマであることがわかってきます。
ただ神経質なのではなく、「予定外のことが起きる」ことに非常な不安を感じるため、その不安を除くために時間を管理し、予定外の望まないことが起きないようにその通りに行動することで、安心を得ているんですね。そんな風に管理していれば、友人とつきあうことも、あらかじめ予定に入ってなければ出来ないし、恋愛もしたことがありません。見合いはしたことがありますが、そんな調子ですからすぐフラれています。29にして童貞。
だから人付き合いも苦手だし、感情表現もヘタ。
毒舌…に聞こえてしまうのは、思ったことを他人のことだろうと自分のことだろうとオブラードに包んだり遠まわしにボカしたりせず、何も考えずにそのまま口にしてしまう、ある種天然であるからで悪気は全くなく、そして、融通が利かず、ぶっきちょ。
実はとても可愛い男であることがだんだんわかってきます。

こんな庭中が上芝に調子を狂わせられつつも「恋愛」を演じているうちに上芝に惹かれていくんですが、恋愛小説家でありながらそっち方面に疎い庭中は、上芝に会うようになってだんだん高まる胸のときめきや高揚を「ヒロインにシンクロすることができた」つまりノッてきたと勘違いしてしまう。上芝も庭中のそういう不器用な可愛らしさを好きになっていくんですが、庭中の勘違いが、上芝にも、自分はただの担当としか見られていないと勘違いさせてしまいます。

自分の気持ちを間違ったまま「抱いてほしい」と上芝に迫ってしまい、「先生にとって俺はなんですか?」という上芝の問いに「優秀な担当だ」と答えてしまう。事実その通りなんですけど、こんな時にお互いの立場を言ってもしょうがないのに、庭中はそういう人なんです。そんな風に答えられたら上芝は辛いですよね。だって好きなんだもの。誠実な男ですから、いくら好きな相手の据え膳とは言っても、「仕事のため」に抱くことはどうしてもできなかった。
Hの途中で「頭を冷やしてきます」と行ってしまった上芝を布団の上で小さく丸まって座って待つ庭中。しかし上芝は戻らない。

庭中の書く小説では二人の恋が盛り上がっていくのに、庭中の心は沈みこんでいき、書くこともできなくなってしまいます。Hの途中でほおりだされたことで無自覚に傷つき、上芝を避けてしまう。しかし上芝は家に訪ねてきてくれるんですが、そこへ上芝の見合い相手から電話が入り、またまた無自覚の嫉妬で「帰ってくれ」と言ってしまう。
その後、自分が何故泣くのかもわからず、去っていく上芝の車を見送るんですが、そこへ隣のアパートのホモの住人(笑)がやってきて事情を聞いてきます。そして「そりゃ恋に決まってんじゃん、そんなこともわかんねぇの?」と言われ、これ読んで勉強しなと渡された、曰く「俺の恋のバイブル」は、庭中のデビュー作。

恋愛小説家でありながら、自分の恋にも気づけない。
やっと上芝への想いに気づいた庭中ですが、上芝は女性の元へ去ってしまい…。
というところで終わってます。えーっ(笑)

恋に気づいた庭中が、さあ、どう出るのか、(下)が楽しみです。
とても不器用で、人にも自分にも頓着しないため言動に規制がなく、それが天然の誘い受に繋がってるという美味しい庭中、必死に迫ったりしちゃうのかと期待大。
続きは明日感想お届けします。
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