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4813011527恋雪
砂原 糖子著 / 木下 けい子イラスト
大洋図書
SHYノベルズ2007-07-18

byG-Tools

「いつか必ず迎えに来るから、向こうで一緒に暮らそう」
そう言って島から去った幼馴染の成明を信じ、東京にきた湊だったが、成明は劇団と仕事で忙しく、冷たかった。それでも成明が酔って帰った日に結ばれ、喜ぶ湊だった。
しかし実は成明には好きな女がいて、その代わりに抱かれたことを知りショックを受ける。そんな時、湊に俳優になることを勧めるプロデューサー・柏木が現れて…!?
折下成明(おりしたなるあき)×久浜湊(くはまみなと)
22歳、幼馴染、元同級生

北海道の北西にある小さな閉鎖的な島で、成明と湊はたった二人しかいない同級生であり、友人で親友でそして恋人同士でした。
しかし高校卒業とともに、島を嫌って成明は東京へ上京。一緒に行こうと誘われた湊でしたが、家庭の事情でそれはできず、二人は離れ離れになります。
「いつか迎えに来るから」という言葉を残して。
しかし4年間離れるうちに、東京で暮らす成明からは連絡が途切れ途切れとなり、最後には電話番号さえも変わって繋がらなくなってしまう。
それでも、成明を信じていた湊は、成明を追って、4年後やっと成明のアパートを自ら訪ねてくるのですが・・・。

置いていくものと置いていかれるもの。
最初は成明の心変わりが哀しくて憎くて、湊の気持を思うと切なくて哀しいです。

本の中で「変化」ということが度々語られるんですが、望む望まないに関わらず変化していくものは確かにあり、それは意識しなくても日々の生活に埋もれていつの間にか形を変えてしまったりします。
それとは別に、埋もれてしまうもの、見えなくなってしまうものもあると思うんです。変わってはいないんだけど、見失ってしまうもの。
たぶんそれをもう一度見つけ出すお話かなぁ・・・と思います。
高校卒業まで一緒に歩いてきた二人は、東京と極寒の北の島に離れたしまったせいで、道を分かってしまいます。
物理的な距離が離れてしまっただけでなくて、東京で暮らす成明と島で暮らす湊は、”歩く”速度も変わってしまっていて、再び同じ道で出会っても並んで歩けない。
けれど、先を歩いていたはずの成明は立ち止まり、戻ることを余儀なくされます。そうすると湊が今度は追い越してしまう。
置いてきてしまった大切なものに気づいて取りにいこうとしても、今度は向こうがそれを望まない。
気持は同じなのに擦れ違ってしまった二人が、もう1度立ち止まって同じ速度で一緒に歩き出せるようになる、ラストシーンはそんな印象を持ちました。

最初は成明がただの薄情男だったらイヤだなぁと思っていましたが、読み進むとそんな風には思わなかった。
道にはたくさんの脇道もあって、ちょっと横にそれたり、綺麗なショーウインドウに見惚れたり、長い人生のうちではたぶんそんな程度のことだと思う。

最近ラブコメディが多い砂原さんですが、砂原さんのシリアスで切ないお話が大好きなんです。だから嬉しかったし、やっぱりいいなと思う。
切なくて優しいんだけど、噛むとちょっとジャリっとするものが混じってる(笑)。そういうところが好きだし、砂原さんの繊細な心理描写はこういう系統の方がより際立つように思います。
凝ったり飾ったりした比喩じゃなくて、普通の語り口で繊細さを表現するって、さりげないんだけど、やはりこの人の感性って好きだなと思います。
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