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BL読書感想日記※※※ 詳しくはカテゴリーの「このブログについて」をご覧下さい。

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イラスト/金ひかる

勤務はおもに夜間。週に一、二回のデート―。
妻に逃げられ赤ん坊を抱えてリストラされた絢人。
再就職もうまくいかない中、ゲームソフト会社を経営する藤堂から「月三十万でどうだ」と誘われたのが彼の愛人になることだった。
生活のため已む無く契約した絢人だったが、いつしか藤堂の身体に慣らされてしまう。
そんなある日、絢人は藤堂の会社で思わぬ仕事をすることになり…?
藤堂克巳(とうどうかつみ・34~39歳)×麻生絢人(あそうけんと・26~31歳)
お話の中で5年ほど年を重ねます。

「コンティニュー?」雑誌掲載
「リロード!」雑誌掲載
「エンディング。」書き下ろしの三編オマケに「みさとのにっき」が収録されています。

この三編、そしてオマケで月日を追い、二人が知り合い恋人になるまで、そして紆余曲折を経て娘の美里(みさと)を交え「家族」という形になっていくのが書かれています。
最後には養子縁組をして、法律的にもちゃんとした権利を持てるように地に足をつけて将来を見据えています。

仕事にかまけ家庭や育児を妻まかせにしていた絢人は、ある日子供を残して妻に逃げられてしまいます。
探そうにも連絡はつかず翌日から乳飲み子を抱えて絢人は途方に暮れることに。保育園に預けて仕事に出るものの子供の病気や事情によって遅刻早退欠勤を繰り返すこととなり、そんなことが続けば当然会社をクビに。
就職活動しても事情を話すと一様に眉を顰められ、全く雇ってもらえない。

そんなある日、やはり断られた就職先のエレベーターで見知らぬ男に声をかけられます。
「仕事探してるんだって?力になろうか?」そう言って男はいきなり絢人にキスを!そして翌日ホテルに来るようにと名刺を渡されます。
行けばどんなことになるかわかっていたものの、追いつめられ、とにかく仕事が欲しかった絢人は背に腹は変えられず翌日ホテルに出向きます。
そして部屋に入ったとたん押し倒され…その代わりその男・藤堂克巳が絢人に与えたのは「月三十万」の愛人のお仕事でした。

二人の出会いは状況や理由は違えど「お金のために愛人に」とよくあるものでした。
藤堂が絢人を愛人にしたのは、どこかでひと目惚れしていたわけじゃなく、子供を抱えて困っている絢人に、母子家庭で必死になって働き子供を育てた自分の母を重ね、純粋に人情でそうしたのと、ちょっとした打算のせいでした。
藤堂はゲームソフト開発の会社を興して二年目で、ちょうど新作にBLゲームを作ろうと考えていましたが、社員には参考になるような経験をしたことがある者やそっちの性癖の者がいない。何でも自分でやりたがる藤堂は、では自分で経験してみよう…とターゲットを探していたんですね。
絢人をひと目みて、ノンケでそう男っぽくなく小綺麗な絢人はうってつけに見えた。

しかし最初こそ参考にするつもりだったものの、藤堂はすぐに仕事を忘れて絢人に惹かれていきます。藤堂は金で愛人を買うような男というよりも、基本的に人情家で優しく、絢人と子供の事情にも理解を示し助けとなってくれるので絢人も次第に藤堂に惹かれていきます。
金で身体を自由にされプライドを傷つけられて唇を噛む…とかそういう雰囲気は全然なかったですね。絢人の娘・美里という子供を間においているせいか、どこかほのぼのとした暖かい感じが流れているような気がしました。

一緒に住み、美里はすくすくと大きくなり幼稚園に通い始めたと思ったら、妻が突然舞い戻り娘の親権争いとなったり、娘の病気に不安になったり、そういう大小の問題を藤堂と絢人は二人で乗り越えていきます。
美里をまるで自分の本当の娘のように愛している藤堂がとてもいい感じでした。
小学校の入学式にも絢人と共に出席すると意気込んでいましたが、結局式には絢人と元妻が出ることになりガッカリしていたら、入学式当日に発熱。絢人は急遽入学式を元妻とその再婚相手に任せ、自分は藤堂の看病をします。
謝る藤堂に「俺たちは家族だろう、つらい時に一緒にいなくてどうする」と怒る絢人。美里も「一人で残していくなんてかわいそう」と、家族としてそれぞれを思いやり愛しているのがわかります。
絢人と藤堂にたっぷりと愛されている美里ですが、その家庭環境は確かに世間的に認められるものとは言えません。子供の成長が不安だと人は言うかもしれないけれど、元妻と再婚相手はそれを理解してくれている。美里は4人の愛情を受けているんですよね。自分の家庭が変わっていて、藤堂と絢人の関係に気づく時が来ても、この子は大丈夫のような気がします。

仕事を失った絢人でしたが思わぬ才能を藤堂の会社で生かすことができるようになります。こちらも二人三脚ですね。
「愛人」という名で始まった関係は絢人の男としての矜持に引っかかるものもあり、それが問題になったりもします。
藤堂と絢人の恋愛だけでなく、家族愛や仕事という面での思いもちゃんと書かれていて、それぞれが悩んだりつまずいたりしながら絆を深めていく・・・という感じがしていいなとと思いました。

絢人の弱そうなのに芯が強いところ、ふざけたセクハラオヤジのような言動をしつつ実は懐深く愛情豊かで、ちょっとヘタレな藤堂、この二人も魅力的でした。
なかなか良かったです。
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