イラスト/小路龍流
次期社長候補の夏彦は、秘書・喬一の想いを利用して彼に抱かれ、精神的重圧からの逃げ道にしていた。
しかしある夜、そっけない態度を取ってしまった夏彦を、突然喬一が襲う。屈辱感と信頼を裏切られた悔しさ、悲しさで心が乱れる夏彦。
けれども、あの夜を思い返すと身体の芯が熱くなって…。
しかしある夜、そっけない態度を取ってしまった夏彦を、突然喬一が襲う。屈辱感と信頼を裏切られた悔しさ、悲しさで心が乱れる夏彦。
けれども、あの夜を思い返すと身体の芯が熱くなって…。
「虜―prisoner―」雑誌掲載
「罠―temptation―」書き下ろし の二編収録されており、それぞれ弟編、兄編に別れ、同時期を別視点別カップルで構成しています。
「虜―prisoner―」は
蓼沼征典(たでぬまゆきのり・25歳)×桐嶋昌也(きりしまあきや・19歳)
冒頭二人のHシーンから始まるんですが、最初この「征典」が攻だとは思わなかったんですよ。あまりにヒドイ男なので。純真無垢で素直な昌也が、世間知らず故に悪い男に夢中になって身を持ち崩していたところを颯爽と現われる攻に救出されるのかと思いました(笑)
昌也の身体を気が向いた時にオモチャにしてお金をせびる、無職でヒモのような男…そんなふうに見える征典ですが、征典の心情が明らかにされるとそうではないことがわかってホッとしました。
蓼沼は大卒業後桐嶋物産に入社、その有能ぶりが評判となったものの、一部からそれを疎まれ執拗な嫌がらせをされたことにキレて上司を殴り退社してしまったんですね。力もあり意欲にも燃えていたからこそ理不尽な社会への憤りや落胆は大きく、それ以来職にもつかずにフラフラとしていたところ昌也と知り合いました。
そして昌也が桐嶋物産の次男だと知ると…桐嶋物産への仕返しのつもりで手を出してしまいます。しかし昌也の素直で純真な性格や自分を慕う様子を見ているうちに、すぐにそんな自分が恥ずかしくなります。そして以前から頭では考えていた起業を現実にし、昌也にふさわしい男になって恋人としてきちんとつきあおうと一歩を踏み出そうとしますが、金策が上手くいかず阻まれる。
そこへ昌也の兄・夏彦が現れ三千万の小切手を見せ、昌也と別れるようにと詰め寄ります。
手切れ金のようですが、そうとも言えるしそれは“融資”のようなものでもあるんですね。この時点では夏彦の考えはわからないんですが、なかなか気骨のある兄貴だと思いました(笑)。男であることが問題なのではなく、挫折して腐ったままの今の状態が問題だというわけですね。
その真意を汲み取った征典は、三年の間に小切手を叩き返してやれるようになると宣言し、昌也の前から姿を消します。
そのあとの昌也のことを考えると、とっても可哀相ですね。
でも約束の三年ではなく、二年半で昌也の元に戻ってきた征典は…。この大変身がいいですねぇ(笑)。
涙を溜めて唇を噛み締める昌也のイラスト、ホントに昌也の気持ちを表してるような気がしました。あんな顔見たら、抱きしめてやりたくなりますね。
「罠―temptation―」は
鳴海喬一(なるみきょういち・25歳)×桐嶋夏彦(きりしまなつひこ・29歳)
弟の昌也の様子を心配し、私立探偵を雇って調査していたところ「蓼沼征典」という男に引っかかっている…と報告を受けるところから始まります。このあたりの経緯が「虜」と被っていて、兄が弟の恋をどう見ていたかがわかります。
しかしメインは自分の恋。
夏彦が社長室室長となった時、自分で希望して秘書にしたのが喬一です。室長と秘書としての仕事はとても順調。
しかし、夏彦が仕事上の様々な重圧やストレスに耐えられなくなり、それらを忘れるために喬一を誘惑して以来、夏彦が必要とした時だけ身体を重ねる関係が続いています。
そして弟の恋を知ったときも、心配と憤りのあまり不安定になって喬一を求めますが、喬一と同期だった征典の話をするうちに意見の相違で争いになり、突然豹変した喬一に今までにない乱暴さで抱かれてしまいます。
いつも忠実に自分の言うとおりに動いていた喬一に突然襲い掛かられる。飼い犬に手を噛まれたという感じでしょうか?(笑)
突然の喬一の反撃に夏彦は悔しいやら腹が立つやら悲しいやら。それ以来、喬一を無視してしまいます。
夏彦は「ツンデレ」だと思うんですが、ツンツンとデレデレの具合が非常にいいですね~。素直じゃない部分と見え隠れする揺れの部分がすごく可愛い。
夏彦は喬一を誘う前から喬一の想いに薄々気づいていましたよね。夏彦が「喬一なら」と逃げ道に彼を選んだのも、きっと特別な感情があったからだと思う。素直じゃないからなかなか認めないけれど、自分を慕って女王様に傅く家臣のように扱ってくれる喬一に甘えていたと思うし、ちょっと嬉しかったりもしたと思う。だけど照れがあるから喬一にはいつもそっけない態度を取ってしまう。
弟の相手について自分と同じように「ろくでなし」と言って欲しかったのに、喬一は妙に征典を庇うような、自分を諭すようなことを言うから、拗ねてワガママ言ってみたら本当に怒らせちゃった。あ、しまったと思っても素直に謝ったりできない。
喬一が突然牙を剥くのもわかりますね。こういう豹変も「下克上」の萌えです。そして怒った喬一に鋭い目つきで見つめられて、内心冷や汗を掻いて竦んでいるのに、口は強がってしまう夏彦も可愛い。
感情のままに夏彦にひどいことをしてしまい後悔する喬一も、いきなり強気男になるんじゃなく、あくまで誠実で優しいところが良かったし、弟の素直な征典への恋心に、自分を重ね合わせて素直になろうとする夏彦も良かったです。
喬一、夏彦の方が好きでしたかね。
征典&昌也もいいんですが、昌也にかなりMっ気があるのが個人的に気になるのです(笑)。
1冊1カップル主義なんですが、夏彦のツンデレが可愛かったのと、お話が綺麗にまとまってたのであまり気になりませんでした。
面白かったです。
「罠―temptation―」書き下ろし の二編収録されており、それぞれ弟編、兄編に別れ、同時期を別視点別カップルで構成しています。
「虜―prisoner―」は
蓼沼征典(たでぬまゆきのり・25歳)×桐嶋昌也(きりしまあきや・19歳)
冒頭二人のHシーンから始まるんですが、最初この「征典」が攻だとは思わなかったんですよ。あまりにヒドイ男なので。純真無垢で素直な昌也が、世間知らず故に悪い男に夢中になって身を持ち崩していたところを颯爽と現われる攻に救出されるのかと思いました(笑)
昌也の身体を気が向いた時にオモチャにしてお金をせびる、無職でヒモのような男…そんなふうに見える征典ですが、征典の心情が明らかにされるとそうではないことがわかってホッとしました。
蓼沼は大卒業後桐嶋物産に入社、その有能ぶりが評判となったものの、一部からそれを疎まれ執拗な嫌がらせをされたことにキレて上司を殴り退社してしまったんですね。力もあり意欲にも燃えていたからこそ理不尽な社会への憤りや落胆は大きく、それ以来職にもつかずにフラフラとしていたところ昌也と知り合いました。
そして昌也が桐嶋物産の次男だと知ると…桐嶋物産への仕返しのつもりで手を出してしまいます。しかし昌也の素直で純真な性格や自分を慕う様子を見ているうちに、すぐにそんな自分が恥ずかしくなります。そして以前から頭では考えていた起業を現実にし、昌也にふさわしい男になって恋人としてきちんとつきあおうと一歩を踏み出そうとしますが、金策が上手くいかず阻まれる。
そこへ昌也の兄・夏彦が現れ三千万の小切手を見せ、昌也と別れるようにと詰め寄ります。
手切れ金のようですが、そうとも言えるしそれは“融資”のようなものでもあるんですね。この時点では夏彦の考えはわからないんですが、なかなか気骨のある兄貴だと思いました(笑)。男であることが問題なのではなく、挫折して腐ったままの今の状態が問題だというわけですね。
その真意を汲み取った征典は、三年の間に小切手を叩き返してやれるようになると宣言し、昌也の前から姿を消します。
そのあとの昌也のことを考えると、とっても可哀相ですね。
でも約束の三年ではなく、二年半で昌也の元に戻ってきた征典は…。この大変身がいいですねぇ(笑)。
涙を溜めて唇を噛み締める昌也のイラスト、ホントに昌也の気持ちを表してるような気がしました。あんな顔見たら、抱きしめてやりたくなりますね。
「罠―temptation―」は
鳴海喬一(なるみきょういち・25歳)×桐嶋夏彦(きりしまなつひこ・29歳)
弟の昌也の様子を心配し、私立探偵を雇って調査していたところ「蓼沼征典」という男に引っかかっている…と報告を受けるところから始まります。このあたりの経緯が「虜」と被っていて、兄が弟の恋をどう見ていたかがわかります。
しかしメインは自分の恋。
夏彦が社長室室長となった時、自分で希望して秘書にしたのが喬一です。室長と秘書としての仕事はとても順調。
しかし、夏彦が仕事上の様々な重圧やストレスに耐えられなくなり、それらを忘れるために喬一を誘惑して以来、夏彦が必要とした時だけ身体を重ねる関係が続いています。
そして弟の恋を知ったときも、心配と憤りのあまり不安定になって喬一を求めますが、喬一と同期だった征典の話をするうちに意見の相違で争いになり、突然豹変した喬一に今までにない乱暴さで抱かれてしまいます。
いつも忠実に自分の言うとおりに動いていた喬一に突然襲い掛かられる。飼い犬に手を噛まれたという感じでしょうか?(笑)
突然の喬一の反撃に夏彦は悔しいやら腹が立つやら悲しいやら。それ以来、喬一を無視してしまいます。
夏彦は「ツンデレ」だと思うんですが、ツンツンとデレデレの具合が非常にいいですね~。素直じゃない部分と見え隠れする揺れの部分がすごく可愛い。
夏彦は喬一を誘う前から喬一の想いに薄々気づいていましたよね。夏彦が「喬一なら」と逃げ道に彼を選んだのも、きっと特別な感情があったからだと思う。素直じゃないからなかなか認めないけれど、自分を慕って女王様に傅く家臣のように扱ってくれる喬一に甘えていたと思うし、ちょっと嬉しかったりもしたと思う。だけど照れがあるから喬一にはいつもそっけない態度を取ってしまう。
弟の相手について自分と同じように「ろくでなし」と言って欲しかったのに、喬一は妙に征典を庇うような、自分を諭すようなことを言うから、拗ねてワガママ言ってみたら本当に怒らせちゃった。あ、しまったと思っても素直に謝ったりできない。
喬一が突然牙を剥くのもわかりますね。こういう豹変も「下克上」の萌えです。そして怒った喬一に鋭い目つきで見つめられて、内心冷や汗を掻いて竦んでいるのに、口は強がってしまう夏彦も可愛い。
感情のままに夏彦にひどいことをしてしまい後悔する喬一も、いきなり強気男になるんじゃなく、あくまで誠実で優しいところが良かったし、弟の素直な征典への恋心に、自分を重ね合わせて素直になろうとする夏彦も良かったです。
喬一、夏彦の方が好きでしたかね。
征典&昌也もいいんですが、昌也にかなりMっ気があるのが個人的に気になるのです(笑)。
1冊1カップル主義なんですが、夏彦のツンデレが可愛かったのと、お話が綺麗にまとまってたのであまり気になりませんでした。
面白かったです。
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