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籠蝶は花を恋う
沙野 風結子著
雄飛 (2006.4)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/佐々木久美子(アイノベルズ)

「三ヵ月後、おまえを迎えにくる」
遊郭で生まれ育ち、男に買われそうになっていた詩央を助け、そう約束してくれた男・鼎。彼の言葉だけを頼りに待ちわびる詩央だったが、結局、鼎は現れなかった。
四年後、子爵に引き取られ跡取りとなっていた詩央は、誕生パーティーの席で、思いがけず鼎と再会を果たす。
だが鼎は詩央の出自を口外しない代償に身体を要求してきて…。
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有馬鼎(ありまかなえ・28歳)×月舘詩央(つきだてしお・19歳)

今まで沙野さんはダークなお話しか読んだことがなかったので、これもそういうのかなとちょっとビビッてました(笑)。
佐々木さんのイラストに惹かれて買ってしまったんですが、でもこれは今まで知ってたのとは違ってました。そして今まで読んだ中では一番好きでしたね。
切ないけれど甘い恋のお話でした。

時代は大正です。
花魁の子供として産まれた育った詩央は、遊郭で下男として働いていました。そこへある代議士が目をつけ詩央を買おうとしますが、偶然友人に連れられて遊郭に来た鼎が代議士と話をつけ詩央を助けてくれます。
代議士の手は逃れたものの今度は「おまえの初物を俺が散らしてやりたくなった。だから金で買った」という鼎に、詩央は弄ばれてしまいます。しかし鼎は自分の欲望は抑え最後まですることはなく、優しく暖かく詩央を抱きしめ、三ヶ月後に迎えにきて詩央を身請けしてやると約束します。

その後、鼎を待ちながら日々を過ごす詩央でしたが、ひと月半ほど経った頃、中津(なかつ)という男が遊郭を訪れます。
そして中津は、詩央が月舘子爵の落し種で、月舘家の嫡子が急逝したため急遽跡取りとして詩央を月舘家に迎え入れることになったと言い、その足で強引に詩央を遊郭から月舘家へと連れ去ってしまいます。

詩央の世話係兼教育係のような中津から、下賤な育ちを蔑まれながら、詩央は子爵としての立ち居振る舞いや教養を教え込まれます。詩央の出自を世間や使用人から隠すために、それらしい振る舞いができるまでは外に出ることも禁じられてしまう。
それでも約束の三ヵ月後、詩央は屋敷を抜け出し、遊郭の前で雨に濡れながら鼎を待つのですが、迎えに来ると言った鼎はいくら待っても現れることはありませんでした。
それから四年後、詩央の誕生パーティーで二人は再会します。

「探しものがこんなに手近にあったとは」という鼎のセリフでもわかるように、鼎は詩央をずっと探していたんですね。遊郭で会えなかったのは、何か理由があったに違いないわけです。
でも鼎は遊郭からいなくなった詩央のことを、楼主から「好き合った男の元へ身請けされた」と聞かされているんですね。それは詩央の出自が洩れないように月舘家から言い含められての嘘だったんですが鼎はそれをそのまま信じています。それでも諦めきれずに探し続けていたわけですが、約束を破ったことにも、他の男のものになったことにも腹を立てている鼎は、詩央の秘密を黙っている代わりにと身体を要求してきます。
そして初めての優しさとは全然違う、意地悪なやり方で詩央を抱いてしまいます。詩央は詩央で、鼎が迎えに来てくれなかった(と思っている)ことと、その辱めるような抱き方に、鼎の本当の気持ちを勘違いしてしまう。

すれちがったままで何度も身体を重ねる二人ではありますが、鼎が結構ポロポロと本音を吐露するというか(笑)基本的に優しく愛情が丸見えなので、切ないというより二人の思い違いがじれったかったですね。ひとこと「何で待ってなかった」と怒りでもいいから口に出せば「待ってたよ」と誤解も解けるでしょうに、でもそれではお話が終わってしまう(笑)。

華族たちの中で自分の出自を隠すように言われ、中津には駄目呼ばわりされてどんどん萎縮して自信を失くしてしまう詩央は、現代だったら弱々し過ぎると思いますが、時代が変わるだけですんなり受け入れられてしまいます。健気で可愛らしいですね。
洋館に住み舞踏会なんぞ開き、洋装にお帽子なんぞ被ったかと思えば、着物で裾がハラリを割れて…と淫靡なHも楽しめます。時代の雰囲気がいいですよね。もともと明治とか大正とか昭和初期とかの設定は好きなので、甘くなります。

そして鼎と詩央ももちろん気になりますが、詩央の世話係・中津が、ものすごく萌えな位置にいて(笑)、人によっては中津の方が気に入ってしまうんじゃないかと思います。
中津は、月舘家の亡くなった嫡子・絢貴(あやたか)の世話係で、実は絢貴に恋をしていたんですね。気持ちを伝えることなく愛する人は亡くなり、その代わりにやってきた詩央を、絢貴そっくりに仕立てようと、絢貴の面影を追うがために詩央に厳しくしてしまうんです。しかしそれを鼎に言い当てられたあとの中津は、詩央に尽くしてますね~。鼎との恋に苦しむ詩央を応援し、結核を患って自棄になる詩央を叱咤して励ます。「一生仕えると決めたひとを二度と失くしたくない」とは、なんか萌えちゃうセリフですよね。世話係と詩央でも良かったんじゃないかと思うくらいですよ(笑)。
鼎と詩央の部屋にアノ声をちょっと抑えるように言いに行くと、鼎に口を押さえてろと言われお手伝いするハメになってしまうんですが、まるで自分が詩央を抱いているみたいな顔をしてしまう中津にゾクゾク(笑)。別に詩央に発情してるわけじゃなくて、絢貴を想ってのことなんですが。
ラストではキスシーンを見せられても「ほどほどにして下さい」と銀縁眼鏡にクールな中津、いいですね~。
番外編とかで出ないかな。すごく気になる。

というわけでかなり楽しんで読ませていただきました。
こういうのって淫靡すぎたり涙が多かったり、暗くジメジメする場合もあると思うんですけど、これは甘く仕上がってると思いましたね。
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