イラスト/藤井咲耶(アルルノベルス)
敬虔な神父である刈谷真紀には忘れられない思い出があった。三年前の冬「懺悔を聞いてくれるか」と現われたヤクザ・八木沢達郎。人を殺してきたと衝撃的な告白をした彼に、無理矢理犯されたのだ。
たった一度会っただけなのに深く澄んだ闇色の瞳と凄惨な翳りを持つ八木沢が忘れられない真紀。おだやかに過ごしながらも八木沢のことが頭から離れない真紀の前に八木沢が再び現れて―!?
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八木沢達郎(やぎさわたつろう・36歳)×刈谷真紀(かりやまき・28歳)
ヤクザと神父。
「罪深き夜の僕」
「甘き罪の褥」の二編収録されています。
ある晩、神父の真紀は教会に入り込み祭壇の前に座る一人の男を見つけます。声を掛けた真紀にその男・八木沢は「人を殺してきた」と驚くことを告げます。ヤクザの内部抗争で、兄と慕っていた男を殺すことを命じられ言うとおりにしてきた八木沢は、命令に逆らえずに殺人を犯したことに苦悩していました。
男の後悔と苦しみを感じた真紀は八木沢の話を聴いて罪を悔い償うよう励ましますが、八木沢も怪我をしていることに気づき、手当てのために自分の部屋へ入れてしまいます。
そしてそこで「この苦しみを救ってくれ」と縋る男に無理矢理抱かれてしまうんですね。
いきなりヤられてしまうという展開ではありますが、ヤクザでありながら人を殺したことを後悔し苦しむ八木沢の思いはちゃんと伝わってきましたし、逃げ込んだ教会にいた神父の真紀が人を殺した自分を恐れず優しく受け入れてくれたことで、それこそ聖母に救いを求めるように真紀を求めてしまったのはよくわかります。真紀の方は突然のことにもちろん抵抗するわけですが、神父という職業である真紀の中には、苦悩のあまり自分の命さえ絶とうと考えているのでは…というまでに追いつめられている八木沢に手を差し伸べ、彼を受け入れて救わずにはいられないというような思いも感じられるんですよね。
だからいきなりの展開ではあるんだけど、唐突さはあまり感じませんでした。暗闇に落ちた八木沢にとって手を差し伸べてくれた真紀が光のようなもので忘れられなかったのもよくわかるし、衝撃的な出来事で知らなかった快楽を教えられてしまった真紀が、八木沢という男そのものと初めて知った快楽に捕らわれてやはり忘れられずにいたのもそう不自然ではないと思いました。
三年後刑を終えた八木沢は再び教会を訪れ、真紀に想いをを告げ自分のものになって欲しいといいます。もちろん真紀が簡単にYESと言えるわけはなく、そのへんは禁忌の愛の萌えどころですよね。
八木沢はヤクザではありますが、珍しいことに(笑)無理矢理金や力で真紀を手に入れようとしません。
身体だけでなく心も欲しいと言った八木沢は、ミサにマメに足を運び、信者達が帰ったあと真紀としばらく話をして帰っていきます。とっても誠実なヤクザです(笑)。人を殺して傷ついたり誠実に真紀に接したりと、意外に繊細で優しい面が見えて、そのへんがとても良くて八木沢に肩入れしてしまったというか、いいなと思いましたね。これをヤクザと言えるのかはともかく「ヤクザ」だからこそ、誠実さが余計際立つというかギャップに萌えなわけです。なかなか自分の気持ちを認めることができない真紀をプチ監禁しちゃったりしますが、あくまで優しく、愛情と快楽で堕とそうとしていて、傲慢さや乱暴さは全く感じられない。
こういう許されない関係だと最後はどう着地するかも気になるところなんですけど、神父という立場と八木沢との愛という罪を両方受け入れていこうとするのはこの二人には納得できる展開だし良かったと思う。
「汚れた身で神を称え、従順に祈り続けるだけだ」という開き直りともいえる決意は、現実的にはどうか知らんけどBL的にはとても萌えですし(笑)。それで地獄に堕ちるとしても二人でならというのも、より深い愛情が感じられ、LOVEを読むものとしては望むところです。でも真紀の信仰と決意には神さまも手を差し伸べそうなそんな気さえしてしまいます。
真紀は東京出身ですが、舞台は大阪で、八木沢は関西弁です。
しかし関西弁のヤクザ…という設定で頭に浮かぶ、関東人からするとちょっとキツく聞こえるあの感じとは違います。柔らかく穏やかで、Hの時なんかはとっても淫靡に思える(笑)。ヤクザらしく闇を感じさせる雰囲気はあるんだけど、ほとんど一貫して落ち着いた態度に口調で優しげなので、ちょっとゾクゾクしますね。
耳元で「ええのか?」とか囁かれたりしたら…想像しただけでこっぱずかしくてたまりません。ひゃー(笑)
神父さんものは覚えている限りでは三冊目くらいだと思いますが(全部違う作家さん)、今まで知ってる中ではこれが一番好き。
罪に悶える神父さんより、誠実なヤクザにやられちゃいました。
八木沢達郎(やぎさわたつろう・36歳)×刈谷真紀(かりやまき・28歳)
ヤクザと神父。
「罪深き夜の僕」
「甘き罪の褥」の二編収録されています。
ある晩、神父の真紀は教会に入り込み祭壇の前に座る一人の男を見つけます。声を掛けた真紀にその男・八木沢は「人を殺してきた」と驚くことを告げます。ヤクザの内部抗争で、兄と慕っていた男を殺すことを命じられ言うとおりにしてきた八木沢は、命令に逆らえずに殺人を犯したことに苦悩していました。
男の後悔と苦しみを感じた真紀は八木沢の話を聴いて罪を悔い償うよう励ましますが、八木沢も怪我をしていることに気づき、手当てのために自分の部屋へ入れてしまいます。
そしてそこで「この苦しみを救ってくれ」と縋る男に無理矢理抱かれてしまうんですね。
いきなりヤられてしまうという展開ではありますが、ヤクザでありながら人を殺したことを後悔し苦しむ八木沢の思いはちゃんと伝わってきましたし、逃げ込んだ教会にいた神父の真紀が人を殺した自分を恐れず優しく受け入れてくれたことで、それこそ聖母に救いを求めるように真紀を求めてしまったのはよくわかります。真紀の方は突然のことにもちろん抵抗するわけですが、神父という職業である真紀の中には、苦悩のあまり自分の命さえ絶とうと考えているのでは…というまでに追いつめられている八木沢に手を差し伸べ、彼を受け入れて救わずにはいられないというような思いも感じられるんですよね。
だからいきなりの展開ではあるんだけど、唐突さはあまり感じませんでした。暗闇に落ちた八木沢にとって手を差し伸べてくれた真紀が光のようなもので忘れられなかったのもよくわかるし、衝撃的な出来事で知らなかった快楽を教えられてしまった真紀が、八木沢という男そのものと初めて知った快楽に捕らわれてやはり忘れられずにいたのもそう不自然ではないと思いました。
三年後刑を終えた八木沢は再び教会を訪れ、真紀に想いをを告げ自分のものになって欲しいといいます。もちろん真紀が簡単にYESと言えるわけはなく、そのへんは禁忌の愛の萌えどころですよね。
八木沢はヤクザではありますが、珍しいことに(笑)無理矢理金や力で真紀を手に入れようとしません。
身体だけでなく心も欲しいと言った八木沢は、ミサにマメに足を運び、信者達が帰ったあと真紀としばらく話をして帰っていきます。とっても誠実なヤクザです(笑)。人を殺して傷ついたり誠実に真紀に接したりと、意外に繊細で優しい面が見えて、そのへんがとても良くて八木沢に肩入れしてしまったというか、いいなと思いましたね。これをヤクザと言えるのかはともかく「ヤクザ」だからこそ、誠実さが余計際立つというかギャップに萌えなわけです。なかなか自分の気持ちを認めることができない真紀をプチ監禁しちゃったりしますが、あくまで優しく、愛情と快楽で堕とそうとしていて、傲慢さや乱暴さは全く感じられない。
こういう許されない関係だと最後はどう着地するかも気になるところなんですけど、神父という立場と八木沢との愛という罪を両方受け入れていこうとするのはこの二人には納得できる展開だし良かったと思う。
「汚れた身で神を称え、従順に祈り続けるだけだ」という開き直りともいえる決意は、現実的にはどうか知らんけどBL的にはとても萌えですし(笑)。それで地獄に堕ちるとしても二人でならというのも、より深い愛情が感じられ、LOVEを読むものとしては望むところです。でも真紀の信仰と決意には神さまも手を差し伸べそうなそんな気さえしてしまいます。
真紀は東京出身ですが、舞台は大阪で、八木沢は関西弁です。
しかし関西弁のヤクザ…という設定で頭に浮かぶ、関東人からするとちょっとキツく聞こえるあの感じとは違います。柔らかく穏やかで、Hの時なんかはとっても淫靡に思える(笑)。ヤクザらしく闇を感じさせる雰囲気はあるんだけど、ほとんど一貫して落ち着いた態度に口調で優しげなので、ちょっとゾクゾクしますね。
耳元で「ええのか?」とか囁かれたりしたら…想像しただけでこっぱずかしくてたまりません。ひゃー(笑)
神父さんものは覚えている限りでは三冊目くらいだと思いますが(全部違う作家さん)、今まで知ってる中ではこれが一番好き。
罪に悶える神父さんより、誠実なヤクザにやられちゃいました。
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