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極道はスーツがお好き
中原 一也著
イースト・プレス (2006.3)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/小山田あみ(アズノベルズ)

「俺が満足するスーツを作り、それが仕上がるまで愛人を務めれば借金は帳消しにしてやる」
傲慢な口調で無体な要求を突きつけてきた男・芦澤。高級なスーツを嫌味なく着こなし野生の色香を放つその男の正体はヤクザだ。
真面目な二代目テーラーの榎田は、老舗の看板を守りたい一心で危険な世界に足を踏み入れ、男の味をたっぷり教え込まれることに…。
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芦澤祐介(あしざわゆうすけ・34歳くらい)×榎田弘哉(えのきだひろや・29歳)
ヤクザと紳士服の仕立て屋さん。

従業員が権利書を持ち出しそれを担保に借金をして姿を眩ましてしまい、榎田の父が興した大事なテーラーは今やヤクザの手に渡ろうとしています。
しかし乗り込んできたヤクザの若頭・芦澤は「俺が満足するスーツを作り、それが仕上がるまで愛人を務めれば借金は帳消しにしてやる」とのたまう。そんな条件をのむわけにはいかないと突っぱねる榎田ですが、結局金策はつき、テーラーを守りたい一心で榎田は芦澤の契約に乗ることになります。

借金をカタに好きにされてしまう受。
なんとなく定番な展開です。
無理矢理抱かれ、ちょっとマニアなプレイなどされているうちに心は傾いていく。そして面白い賭けか遊びくらいのつもりだった攻も本気になっていく。
お約束なんですが、なかなか面白い仕上がりでした。

テーラーとしての仕事が本当に好きで自信とプライドを持っている榎田は特に気が強いとかオトコマエだとかそういうタイプではなく割とごく普通の青年なんですが、テーラーのためなら、とおっかないヤクザにも口答えをしてしまうし、布に匂いがつくから店で煙草を吸うなと若頭に平気で言ってしまう。本当は震えているんですが、そういう生真面目なところが芦澤に気に入られてしまいます。読んでいるほうも、ただ言いなりになって耐えるだけでなく、そういう矜持を持つ榎田がなかなかいい感じなんですよね。
芦澤の方もヤクザで怖いし傲慢なんですが、榎田に言われて換気扇の下で煙草を吸ったりコーヒー豆を挽くのを手伝ったりと、大らかでちょっとくらいのことは受け止めてやる、な感じがいい。フェロモン垂れ流しのいい男ですがヤクザとしての怖さはやはり漂っていて、それでいて情や懐の深さみたいなものも見え隠れしています。ラストの山ではそれが最大限に発揮されて器のでかさを示していますし、どんなに傲慢でもどんなに無体なことをしてもズルくて勝手でもイメージは決して悪くならない。むしろとてもいい(笑)。

契約で始めた身体だけの関係がやがて愛に変わって終わる。それだけ言うと目新しくない展開ですが、芦澤の過去を絡め、それによって芦澤が逮捕されたり、榎田の命が狙われ二人にキケンが及ぶなど、エンターテイメントな味付けがしてあります。
榎田は心よりも身体が堕ちてしまったような気もしないでもないんですが、銃口を向けられた二人のシーン、お互いに身体と命を張って相手を守ろうとするところは萌えを感じました。危険な男っぽい攻めが拘束されて殴られて…ってシチュエーションすごく好きなんです(笑)

綿棒プレイとかもあったりして、ちょっと間違うとドロドロ淫靡になりそうなところを、そこはかとないユーモアや情、芦澤、榎田というキャラに脇役たちがそうさせず、読みやすかったですね。
Hシーンも結構多めだったように思います。綿棒だしね。エロいよね。それがクセになってるところが何とも言えません(^^ゞ
確かにベッドでは榎田はいいように泣かされて、あんなことやこんなことまでされちゃうんじゃないかとちょっと身体が心配な今後ですが、それ以外では芦澤を上手く操縦するかもしれませんね。榎田がただ屈服させられているだけではないところがいいな、と思います。
脇役陣も魅力的でした。
サラッと楽しめました。
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