椎崎 夕著 / 高久 尚子イラスト
大洋図書 (2006.3)
通常24時間以内に発送します。
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大澤敬と館上の出逢いは最悪だった。
通勤電車で敬は館上から痴漢と間違えられたのだ。
その数十分後、二人は会社で再会し、一緒に仕事をすることになる。その上どんな偶然か、二人は同じアパートの隣人同士でもあった。
気の強い敬に、人の好い、そのくせ複数の男女とつきあう館上。対照的な二人だったが、いつしか親しくなる。
ところが一緒に飲んだ夜、寝てしまったことから二人の関係は激変してしまい!?
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館上(たちがみ・下の名前は不明・26歳)×大澤敬(おおさわけい・28歳)
「年下の男」とタイトルを見ただけで飛びつきました(^^ゞ
実際、丁寧語攻ではあるもののそれほどの年下っぽさはあまり感じられませんでしたが。
満員電車で痴漢に間違われ、敬がむかついて出社すると勘違いした相手・館上がいて、上司に今日から一緒に組んで仕事をしろと言われてしまう。夜、今日はついてないと自分のアパートに帰れば廊下に当の館上がいて、昨日隣に越してきたばかりで、何と財布と鍵を失くしたという彼が途方に暮れている。携帯も部屋に置き忘れ野宿するしかない。そんな館上を敬は仕方なく自分の部屋に泊めてやります。
それが二人の出会いです。
館上は、愛想がよく人当たりも穏やかで、まわりの人間にも気配りができる好青年。雑用も嫌がらずにこなし、人にいいように使われているだけじゃないかと思う敬に反して本人はそうやって動くことを苦にしない様子。きちんとした仕事ぶりは一緒にいてとてもやりやすい。そして館上は何故か敬にとても懐いてきて、そんな館上を敬もまるで昔家にいた「犬」を思い出させる…と可愛く思うようになります。
敬は気が強く、口も悪く、愛想はあまりいいとは言えませんが、仕事には厳しいけれど定評があり周りからも信頼されています。真面目だし真っ直ぐ。
館上と敬に似たところはありませんが、二人は仕事を通して、また隣人同士ということもあり一緒に過ごす時間が多く、ドンドン親しくなっていきます。
そしてある晩、一緒に飲んだ夜。
突然館上に押し倒され混乱と酒で訳がわからなくなっているうちに、やられてしまうわけです。
敬には「男と男がどうにかなる」という発想が全くありません。まったくのノンケで許容範囲外。
だから起こったことにどう対処していいのかわからない。問い詰めるべきなのか、酒のせいと何もなかったふりをしたらいいのか、迷って館上を避けるうちに、問うことも元に戻ることもできなくなってしまう。
館上には最初は敬の出方を見ているようなところがあります。動転していきなり態度が変わってしまった敬もアレですけど、館上もちょっとはっきりしない。ただ読んでいる方には、そのへんの館上の気持ちもわかるんですけどね。でもそれがまた敬にますます迷いを植え付けてしまう。そして「なかったことにする」と自己完結。敬が態度を硬化させたことが、館上にも影響し、彼も変わってしまう。自分を避ける敬を、館上は無理矢理屈服させようとする行動に出ます。
この二人は互いの気持ちを伝えられないまま、どんどんこじれていってしまいます。館上とのことをどうしたらいいか思い悩んでいる敬の耳に、館上のいい加減な恋愛関係の噂が入ってくる。「男でも女でもok」「来る者は拒まず去る者は追わず」「自分からは声をかけないが誘われれば断らない」「面倒な関係は嫌い」等々。そして会社にも何度も女性が訪ねてくる。それも毎回違う相手で、携帯もプライベートと仕事用を持ちプライベートの方にはしょっちゅう電話やメールがくる。
事が起こったあとお互いちゃんとフォローができなかった上、館上のそんな恋愛観に敬は自分とのこともそういういい加減な相手のひとり、酒の勢い、と考えるようになってしまうわけです。なかったことにするはずが、そこで傷ついてしまう自分に、敬は館上を好きになっていた自分にようやく気づくのですが、そうなったときには二人の関係はもうむちゃくちゃになってしまってます。
椎崎さんは、これの他に「弟の親友」「親友と恋人と」を読みましたが、どれもお互いの気持ちを伝えられず誤解と擦れ違いでどんどん辛くなっていく、そんな感じのお話だったように記憶しています。また、誤解しあっているときの二人は売り言葉に買い言葉、またある時はとても辛い思いを抑えながら無理している場合もあるわけですが、とてもキツイ言葉のぶつけあいとなります。そのへん椎崎さんの特徴なのかなぁ?ちょっとちょっとそんなこと言ったらまずいよ、誤解するよ、取り返しつかないよ~というようなことをバシバシ言ってしまうんですね。心では泣いていることはこちらにはよくわかるので、ハラハラするのが椎崎さん(笑)。いったいどうなるの?と思わされる、そのへんが面白さかなと思います。視点になっている側も、またそうでない相手側も、本当の想いはこちらにはわかるので、裏腹なひどい言葉がとても哀しい。
たしかに尻軽な館上くんですが、ラストには、お手軽な恋愛を楽しんできた彼が、実はずっと変わろうとしていたのだということがわかります。
それにしても不器用な二人というか。
敬は元々恋愛には不慣れなタイプで、性格も素直じゃないし、館上も貞操観念があるとは言えない男だったためちゃんとした恋愛をしたことがなく、右往左往してしまったという感じですね。
これからは敬がきちんと手綱をとって操縦していく、そんなカップルになりそうです。かなり気の強い厳しい女房なので、館上はちゃんとしてないと捨てられちゃいますよ(笑)。敬の「別れたくなったら早めに言えよ。いつでも相談に乗るぞ」というセリフがいいです。複数とつきあうことは絶対に許さない、他に目が行きそうになったらすぐ言え、すぐ別れてやるという宣言なんですね(笑)。今後の力関係が偲ばれます。
館上(たちがみ・下の名前は不明・26歳)×大澤敬(おおさわけい・28歳)
「年下の男」とタイトルを見ただけで飛びつきました(^^ゞ
実際、丁寧語攻ではあるもののそれほどの年下っぽさはあまり感じられませんでしたが。
満員電車で痴漢に間違われ、敬がむかついて出社すると勘違いした相手・館上がいて、上司に今日から一緒に組んで仕事をしろと言われてしまう。夜、今日はついてないと自分のアパートに帰れば廊下に当の館上がいて、昨日隣に越してきたばかりで、何と財布と鍵を失くしたという彼が途方に暮れている。携帯も部屋に置き忘れ野宿するしかない。そんな館上を敬は仕方なく自分の部屋に泊めてやります。
それが二人の出会いです。
館上は、愛想がよく人当たりも穏やかで、まわりの人間にも気配りができる好青年。雑用も嫌がらずにこなし、人にいいように使われているだけじゃないかと思う敬に反して本人はそうやって動くことを苦にしない様子。きちんとした仕事ぶりは一緒にいてとてもやりやすい。そして館上は何故か敬にとても懐いてきて、そんな館上を敬もまるで昔家にいた「犬」を思い出させる…と可愛く思うようになります。
敬は気が強く、口も悪く、愛想はあまりいいとは言えませんが、仕事には厳しいけれど定評があり周りからも信頼されています。真面目だし真っ直ぐ。
館上と敬に似たところはありませんが、二人は仕事を通して、また隣人同士ということもあり一緒に過ごす時間が多く、ドンドン親しくなっていきます。
そしてある晩、一緒に飲んだ夜。
突然館上に押し倒され混乱と酒で訳がわからなくなっているうちに、やられてしまうわけです。
敬には「男と男がどうにかなる」という発想が全くありません。まったくのノンケで許容範囲外。
だから起こったことにどう対処していいのかわからない。問い詰めるべきなのか、酒のせいと何もなかったふりをしたらいいのか、迷って館上を避けるうちに、問うことも元に戻ることもできなくなってしまう。
館上には最初は敬の出方を見ているようなところがあります。動転していきなり態度が変わってしまった敬もアレですけど、館上もちょっとはっきりしない。ただ読んでいる方には、そのへんの館上の気持ちもわかるんですけどね。でもそれがまた敬にますます迷いを植え付けてしまう。そして「なかったことにする」と自己完結。敬が態度を硬化させたことが、館上にも影響し、彼も変わってしまう。自分を避ける敬を、館上は無理矢理屈服させようとする行動に出ます。
この二人は互いの気持ちを伝えられないまま、どんどんこじれていってしまいます。館上とのことをどうしたらいいか思い悩んでいる敬の耳に、館上のいい加減な恋愛関係の噂が入ってくる。「男でも女でもok」「来る者は拒まず去る者は追わず」「自分からは声をかけないが誘われれば断らない」「面倒な関係は嫌い」等々。そして会社にも何度も女性が訪ねてくる。それも毎回違う相手で、携帯もプライベートと仕事用を持ちプライベートの方にはしょっちゅう電話やメールがくる。
事が起こったあとお互いちゃんとフォローができなかった上、館上のそんな恋愛観に敬は自分とのこともそういういい加減な相手のひとり、酒の勢い、と考えるようになってしまうわけです。なかったことにするはずが、そこで傷ついてしまう自分に、敬は館上を好きになっていた自分にようやく気づくのですが、そうなったときには二人の関係はもうむちゃくちゃになってしまってます。
椎崎さんは、これの他に「弟の親友」「親友と恋人と」を読みましたが、どれもお互いの気持ちを伝えられず誤解と擦れ違いでどんどん辛くなっていく、そんな感じのお話だったように記憶しています。また、誤解しあっているときの二人は売り言葉に買い言葉、またある時はとても辛い思いを抑えながら無理している場合もあるわけですが、とてもキツイ言葉のぶつけあいとなります。そのへん椎崎さんの特徴なのかなぁ?ちょっとちょっとそんなこと言ったらまずいよ、誤解するよ、取り返しつかないよ~というようなことをバシバシ言ってしまうんですね。心では泣いていることはこちらにはよくわかるので、ハラハラするのが椎崎さん(笑)。いったいどうなるの?と思わされる、そのへんが面白さかなと思います。視点になっている側も、またそうでない相手側も、本当の想いはこちらにはわかるので、裏腹なひどい言葉がとても哀しい。
たしかに尻軽な館上くんですが、ラストには、お手軽な恋愛を楽しんできた彼が、実はずっと変わろうとしていたのだということがわかります。
それにしても不器用な二人というか。
敬は元々恋愛には不慣れなタイプで、性格も素直じゃないし、館上も貞操観念があるとは言えない男だったためちゃんとした恋愛をしたことがなく、右往左往してしまったという感じですね。
これからは敬がきちんと手綱をとって操縦していく、そんなカップルになりそうです。かなり気の強い厳しい女房なので、館上はちゃんとしてないと捨てられちゃいますよ(笑)。敬の「別れたくなったら早めに言えよ。いつでも相談に乗るぞ」というセリフがいいです。複数とつきあうことは絶対に許さない、他に目が行きそうになったらすぐ言え、すぐ別れてやるという宣言なんですね(笑)。今後の力関係が偲ばれます。
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