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翻弄する指先
池戸 裕子著
竹書房 (2006.4)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/高橋悠(ラヴァーズ文庫)

心理カウンセラー・星野文弥のところに相談に訪れた浜田一衛は今をときめくIT企業の社長でテレビや雑誌でも注目を浴びる有名人だった。
世間に知られたくない悩みを抱えていた浜田は、ただひとりの理解者となった星野のもとへ、人目を避け毎夜通いつめる。
しかし星野にも誰にも知られたくない性癖があった。
星野は極度の「手フェチ」で、付き合う相手の手しか愛せない。
浜田はこれまで出会った誰より美しい手を持っていたのだ。
星野を信頼し、親密に接してくる浜田の態度を、まるで恋人に優しくされているように錯覚しそうな星野は…。
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浜田一衛(はまだいちえ・32歳)×星野文弥(ほしのふみや・26~7歳くらい?)

心理カウンセラー・星野文弥のところにある夜、ひとりの男が訪ねてきます。
どこか見覚えのあるその男・浜田一衛は、星野もTVや雑誌で見かけたことのあるIT企業の社長。浜田が星野に打ち明けた悩みは、「人の目が怖く、人と視線を合わせることができない」というものでした。
以前から漠然と自覚していたものの、最近になってどんどん症状がひどくなり、このままでは仕事に支障をきたしてしまうと悩む浜田。
そんな浜田を励ます星野ですが、浜田の手を見てびっくり。長い指に節のある、力強くそして器用そうな手。実は密かに「手フェチ」としての悩みを抱えていた星野は、今まで見たこともない美しい浜田の手に心臓が跳ね上がってしまいます。

星野のカウンセリングや励ましによって、やがて浜田は星野がそばにいてくれれば何とかパニックを起こさずにすむようになります。症状が出て気分が悪くなっても星野の手を握りしめれば浜田は落ち着くことが出来ました。が、あの美しい手で触れられる星野の方はたまったものではありません(笑)。
なのに、手を握るより抱きしめるほうがもっと落ち着く、と浜田の接触はエスカレートしていってしまう。症状が落ち着いていく浜田とは反対に、星野の方はどんどん悪化していきます。浜田に触れられると動悸がするだけでなく、やがて身体に性的な反応を及ぼすようになってしまう。

浜田を避けようとする星野ですが、浜田に詰め寄られ、とうとう自分が「手フェチ」であることを告白します。
すると浜田は自分達は二人でいることが最良だ、と言い出します。自分は星野がいれば人の目の恐怖を克服できるし、星野も浜田の手で触れられることに幸せを感じるのだから、何の問題もない、ギブ&テイクだ、そこから始まる恋があってもいいというのです。

確かにお互い相手がいることで気持ちよくなれるのだし、そこから「恋人」になったって問題ないように思いながら読んでいましたが、なかなかそういうわけにもいかないんですね。
星野は今までつきあってきた恋人とも、恋人の「手」のみに執着したため全部上手くいかずに壊れてきました。そんな経験から、そして根本的に自分達の悩みを解決することにならないということにカウンセラーとしてはやはり納得できず、どんどん恋人としての段階を踏んでいこうとする浜田に不安を覚えます。

けれど二人の時間を過ごすうちに、星野には浜田の「手」へだけでなく、浜田という人そのものへの想いが生まれていきます。やがて自分が浜田に恋をしたと認めざるを得なくなりますが、しかしそうなればなったで浜田の方は…?
そもそも浜田は本当に自分を好きになって一緒にいようと言ったわけではないのです。「ギブ&テイク」それが最初に浜田が言った言葉でした。星野がいれば大丈夫だと、君が必要だ、と言葉では言う浜田ですが、それはただ「人の目の恐怖」から逃れることができるから、それだけの理由だと星野には思える。現に、一緒にいるようになってから「仕事が順調で助かる」と浜田はとても明るく言う。浜田を好きになってしまった星野には、とても辛い状態となってしまいます。

浜田が患者として星野の前に現われた当初、人の目を見ることができないということ以上に、視線を感じるだけで額には脂汗が浮き、顔は青ざめ、呼吸は苦しくなり、気分が悪くなりとかなりひどい状態で、自分の悩みを聞いてくれた唯一の星野に頼り縋るように手を握ってしまう切羽詰った感じが伝わってきて、それに翻弄されてしまう星野…というのがちょっと面白かった(笑)わけですが、接触が手以上に及び、「恋人になろう」などと言い出すころには、浜田も星野に惹かれてるんじゃ?というのが感じられるんですよね。
自分自身を好きになってくれないと悩む星野にたいして、浜田がそうではなくちゃんと星野自身を見てそばにいたいと思っているのなら、誤解が解ければ問題ないんですが、ところがこの浜田さんは、自分が星野に惹かれていることに全然気づいていないんです(^^ゞ だから話はとてもややこしくなってしまう。
はじめの「お互い都合がいい」という状態を星野に誤解させたまま、自覚なく恋へと突っ走ってしまうので、どう見てもお似合いの二人なのに、へんなふうに擦れ違ってしまうわけですね。

なんでこうなっちゃうの~?ととてもじれったい。
でも「君がいないと駄目」という二人の関係はなんだかちょっと可愛らしさを感じましたね。二人とも恋にあまり器用ではなくて、特に浜田は慣れていそうなのになんだかとっても初々しい感じなのです。真面目で真っ直ぐで優しく、繊細な面も見えてなかなかいい男でした。
途中までは、悩む星野に「別にいいじゃん、きっかけなんて~」と思いつつ読んでいたんですが(笑)、だんだん星野の想いがこちらに伝わってくるようになると、別れを告げるシーンではジンとしちゃいました。

読みやすく、面白く読めました。
表紙の浜田の腹筋がまるで蟹のようです(笑)
ちょっと淫靡さを感じさせる表紙なんですがそんなことは全然なく、どちらかというとぶきっちょな大人の可愛いお話なんじゃないかと思いましたよ。
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