イラスト/山田ユギ(オヴィスノベルズ)
父親の経営する旅館への融資と引き換えに、城ヶ崎櫂はロレインホテルズ会長・天海の条件をのむ。有能だがフェロモンだだ漏れの社長・天海直誓の色恋沙汰を阻止するため、櫂は直誓の秘書として送り込まれた。
直誓と女性の接触をことごとく邪魔した結果、代わりに櫂が相手をするよう直誓から求められてしまい、不本意ながらも身体を差し出す羽目に…。
思い込みと擦れ違いゆえ、身体は近いのに心はそれぞれに遠く…。
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天海直誓(あまみなおちか・29歳)×城ヶ崎櫂(じょうがさきかい・28歳)
妾腹の子供として肩身の狭い思いをして育ってきた櫂は、経営不振に陥った父の経営する旅館に援助を請うため紹介されたホテル会社会長に気に入られ、融資をする代わりにとある条件を出されます。
会長の息子で現社長・天海直誓の秘書として勤め、直誓を監視して彼の周りから女性を排除し、色恋沙汰を阻止するように。それが会長の条件でした。
肩身の狭い思いをしたとは言え、父からはわけへだてなく接してもらい、学費も全て出してもらって恩義を感じていた櫂は、父の旅館のためにとその条件をのみ、直誓の元で秘書として働くことになります。
社長の直誓は、誰もが目を惹かれるような美丈夫で、意識しているのかいないのか、フェロモン出まくりの色男。けれどアホの二代目ではなくて、仕事においても大変有能なデキる男です。
契約を遂行するべく、一生懸命になる櫂。
直誓のスケジュールを一手に管理し、直誓が遊ぶ暇もないように、また仕事中も一緒に行動しパーティーなどで直誓のフェロモンに吸い寄せられてきた女性をことごとく排除し、と秘書としての仕事に面白みは感じるものの、直誓の身辺管理はなかなか神経の疲れる仕事です。
直誓が女性を口説く前に、近づいてきた女性には自分が先に声をかけてしまえと、そこまでする始末(笑)。結果「新しい秘書は社長より手が早い」と噂になってしまいうんざりしますが、それもいたしかたない。
そうしているうちに、ちょっとした誤解と売り言葉に買い言葉で「君が代わりに相手をしろ」ということになってしまうんですね。状況としてはわりとよくある展開かも。
旅館を救うために、櫂にはどうしても会長の条件をきちんと遂行しなければならないという理由があるのですが、だからといって「代わりをしろ」と言われて、いちいち見張るより自分が相手をしたほうが楽かも、と考えてしまうのにはちょっと無理を感じるところです。そしてそこまでする理由、旅館への櫂の想いというのがイマイチ熱く伝わってこなかったので、どうにも引っかかってしまいましたね。
それに、まず秘書の経験もない櫂を、いくら気にいったからといって、息子の秘書につけてしまう会長もよくわからんし、櫂がまた今までの秘書の誰より優秀とはクビを傾げたくなるところ。
…と経緯には多少疑問を感じるものの、二人の恋の擦れ違いは、なかなか楽しめる…というか萌えでした。
これも仕事と割り切っていたはずなのに、直誓にだんだん惹かれていく櫂ですが、会長と交わした「色恋沙汰を排除する」という密約に縛られ、また直誓は「女タラシ」と誤解しているところもあり、そして「仕事」であり、と櫂は直誓への想いをどうしても認めるわけにはいかない事情があります。直誓に対してはクールに接しなければと自分を一生懸命コントロールしています。
また、直誓の方も櫂を誤解している。自分の申し出を受け体は開くのに、頑なに心では自分を受け入れようとしない櫂、美人と見れば口説きまくる櫂(直誓に女性を近づけないためなのですが)、そんな態度に櫂を「誰とでも簡単に寝る男」だと考えてしまう。けれども秘書としては申し分のない、というか今までで一番の有能さを発揮するところや、ふとしたときに垣間見える素の表情に、一緒にいてどんどん惹かれていくんですね。決して本心を見せない櫂のミステリアスな部分に夢中になっていく。
どうしても櫂が本心を言えない理由というのが先にあげた会長との融資の約束で、その件にいまいち納得できなかった私としては、ちょっと辛い部分もあったのですが、それはともかく二人の意地を張った会話と裏腹の心の揺れは結構楽しめた。
仕事もでき、女にも不自由せず、わりと短気で即断即決の直誓は、いくら夢中になってもちっとも手の中に落ちてこない櫂に焦れ、一時は「もうやめた!」と匙を投げてしまいます。そして櫂に「もう結構だ」と関係の終了を告げてしまう。こっちばっかり追いかけるのはみじめでイヤだというわけですが、その短気っぷりが何だか可愛く思えてしまった。そうは言いながらも、仕事相手と談笑する櫂の姿に鬼のような顔になって怒ってしまったりして、我慢できずに憤怒も顕に櫂のところへ乗り込んでしまうその駄々っ子傲慢ぶりは決して嫌味でなく可愛げを感じましたね。
お話としてはわりと定番だと思いますが「社長と秘書」という設定の美味しさは、ちゃんと味わえました。
直誓もプレイボーイというわけではなく、ごく誠実な男ですし、なかなか魅力的でした。山田さんのイラストが魅力を増加させているのは言うまでもなく。
天海直誓(あまみなおちか・29歳)×城ヶ崎櫂(じょうがさきかい・28歳)
妾腹の子供として肩身の狭い思いをして育ってきた櫂は、経営不振に陥った父の経営する旅館に援助を請うため紹介されたホテル会社会長に気に入られ、融資をする代わりにとある条件を出されます。
会長の息子で現社長・天海直誓の秘書として勤め、直誓を監視して彼の周りから女性を排除し、色恋沙汰を阻止するように。それが会長の条件でした。
肩身の狭い思いをしたとは言え、父からはわけへだてなく接してもらい、学費も全て出してもらって恩義を感じていた櫂は、父の旅館のためにとその条件をのみ、直誓の元で秘書として働くことになります。
社長の直誓は、誰もが目を惹かれるような美丈夫で、意識しているのかいないのか、フェロモン出まくりの色男。けれどアホの二代目ではなくて、仕事においても大変有能なデキる男です。
契約を遂行するべく、一生懸命になる櫂。
直誓のスケジュールを一手に管理し、直誓が遊ぶ暇もないように、また仕事中も一緒に行動しパーティーなどで直誓のフェロモンに吸い寄せられてきた女性をことごとく排除し、と秘書としての仕事に面白みは感じるものの、直誓の身辺管理はなかなか神経の疲れる仕事です。
直誓が女性を口説く前に、近づいてきた女性には自分が先に声をかけてしまえと、そこまでする始末(笑)。結果「新しい秘書は社長より手が早い」と噂になってしまいうんざりしますが、それもいたしかたない。
そうしているうちに、ちょっとした誤解と売り言葉に買い言葉で「君が代わりに相手をしろ」ということになってしまうんですね。状況としてはわりとよくある展開かも。
旅館を救うために、櫂にはどうしても会長の条件をきちんと遂行しなければならないという理由があるのですが、だからといって「代わりをしろ」と言われて、いちいち見張るより自分が相手をしたほうが楽かも、と考えてしまうのにはちょっと無理を感じるところです。そしてそこまでする理由、旅館への櫂の想いというのがイマイチ熱く伝わってこなかったので、どうにも引っかかってしまいましたね。
それに、まず秘書の経験もない櫂を、いくら気にいったからといって、息子の秘書につけてしまう会長もよくわからんし、櫂がまた今までの秘書の誰より優秀とはクビを傾げたくなるところ。
…と経緯には多少疑問を感じるものの、二人の恋の擦れ違いは、なかなか楽しめる…というか萌えでした。
これも仕事と割り切っていたはずなのに、直誓にだんだん惹かれていく櫂ですが、会長と交わした「色恋沙汰を排除する」という密約に縛られ、また直誓は「女タラシ」と誤解しているところもあり、そして「仕事」であり、と櫂は直誓への想いをどうしても認めるわけにはいかない事情があります。直誓に対してはクールに接しなければと自分を一生懸命コントロールしています。
また、直誓の方も櫂を誤解している。自分の申し出を受け体は開くのに、頑なに心では自分を受け入れようとしない櫂、美人と見れば口説きまくる櫂(直誓に女性を近づけないためなのですが)、そんな態度に櫂を「誰とでも簡単に寝る男」だと考えてしまう。けれども秘書としては申し分のない、というか今までで一番の有能さを発揮するところや、ふとしたときに垣間見える素の表情に、一緒にいてどんどん惹かれていくんですね。決して本心を見せない櫂のミステリアスな部分に夢中になっていく。
どうしても櫂が本心を言えない理由というのが先にあげた会長との融資の約束で、その件にいまいち納得できなかった私としては、ちょっと辛い部分もあったのですが、それはともかく二人の意地を張った会話と裏腹の心の揺れは結構楽しめた。
仕事もでき、女にも不自由せず、わりと短気で即断即決の直誓は、いくら夢中になってもちっとも手の中に落ちてこない櫂に焦れ、一時は「もうやめた!」と匙を投げてしまいます。そして櫂に「もう結構だ」と関係の終了を告げてしまう。こっちばっかり追いかけるのはみじめでイヤだというわけですが、その短気っぷりが何だか可愛く思えてしまった。そうは言いながらも、仕事相手と談笑する櫂の姿に鬼のような顔になって怒ってしまったりして、我慢できずに憤怒も顕に櫂のところへ乗り込んでしまうその駄々っ子傲慢ぶりは決して嫌味でなく可愛げを感じましたね。
お話としてはわりと定番だと思いますが「社長と秘書」という設定の美味しさは、ちゃんと味わえました。
直誓もプレイボーイというわけではなく、ごく誠実な男ですし、なかなか魅力的でした。山田さんのイラストが魅力を増加させているのは言うまでもなく。
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