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短いゆびきり
久我 有加著
新書館 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/奥田七緒(ディアプラス文庫)

短いゆびきりは決して違えない約束のしるし。
かつて一度だけ“短いゆびきり”を交わした八つ年下の幼馴染・昇と、敬祐は十二年ぶりに再会する。
小学生だった昇は強面の大学生に成長していた。
父はなくなり、母は妹の嫁ぎ先に同行し、気づけば一人になっていた敬祐。昔ように懐いてくる昇と過ごす時間を何より心地よく感じ始めるが、それは寂しいだけが理由ではなくて…?
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北森昇(きたもりのぼる・21歳)×湯田敬祐(ゆだけいすけ・29歳)

「短いゆびきり」雑誌掲載
「ずっと君のそばに」雑誌掲載
「とくべつな毎日」書き下ろし の三編収録されています。
久我さんなので『関西弁』。

敬祐が高校生のころ、一時的に祖母の家に預けられていた昇。昇の祖母はピアノの個人教室を開いていて、そこの生徒だった敬祐はそれが縁で昇と知り合います。その時昇は小学生。
昇は敬祐にとても懐き、本当の兄弟のように仲良く過ごします。

そしてある年のクリスマスが近づいた時、二人はクリスマスにパーティーをすることを約束します。

ゆびきり。してほしいねん。短いやつ。
長いのはあかんねん。短いの。


昇はそう言い、敬祐は昇と、ゆびきりげんまんも、針千本飲ますもない、短いゆびきりを交わしますが、クリスマスの直前、昇は祖母の家から父母の住む家へと連れ戻されてしまい、約束は果たされないままとなってしまいます。

そして12年後、二人は再会します。
小さかった昇は今では自分より背も伸びて、顔もちょっと怖そうで、その成長に敬祐は目を見張ります。けれど、笑った顔やまだ幾分子供っぽい部分を残した昇に、昔の面影がちゃんと残ってることもわかる。
年の離れた年下攻めのオイシイところですね(笑)。こういうところ、私的にはとてもツボなのです。

敬祐はもともとの性格がとても優しく、人のために損ばかりしているようなところがある。本人は損とは思っていなくて、自発的に「何とかしてあげたい」と思ってるんだけど。仕事も「庶務課」というところにいて、敬祐のしてることは言わば雑用のようなもの。自販機の故障を直したり会議室使用の調整をしたりととても地味なんだけど、こういう設定にしたのも、『人のために』といつでもどこでも考えてばかりいる敬祐という人物をすごく良く表していると思いました。
そして本人はまたそんな仕事でも自分に合っていると思っていて、昇から見るとそんな敬祐は、いつも人の犠牲になっているように思え、そばにいて全部ひっくるめて守ってあげたいと思わせる人なんでしょう。その思いはなんと昇が小学生の時からで、それが昇の初恋。そして21歳になるまでずっとそう思い続けてきた。
昇は母からぞんざいに扱われ、祖母の家に預けられたのも厄介払いという事情がある。そんな辛い状況で受け入れてくれたのが祖母であり敬祐で、昇は敬祐を守るために、大人になりたい、強くなりたいと幼い頃から思い続けたことで、実際に恵まれない家庭環境でも曲がりもせず、敬祐が心の支えとなって成長することができたんですね。

そんな昇に好きだと言われ、自分でも昇を好きだと思いながらも、それを口にすることに躊躇する敬祐の葛藤がお話の中心で、これがとてもじれったいです。
でも、敬祐のここまでの躊躇が、私には理解できたというか、自然に受け止められました。
年の差が大きいから、昇の将来を案じてしまう気持ちもよくわかるし、まして幼い頃の可愛かった昇を知っているからそれは余計に強いだろうと思うんですよ。
「男同士の恋愛」という不遇の世界に引き込んではいけないんじゃないかと、幼い昇の顔が見え隠れするたびに、年上の自分はそう感じてしまうんじゃないだろうか。まして他人を思いやることを自然にできてしまう敬祐なら、それは当然と言えるかも。だって大好きな昇のためだから。
昇を好きだと思えば思うほど、敬祐の性格なら、言えなくなるんじゃないかな。似合いの彼女を見つけて結婚してという、普通の人生を歩いていけるのに、自分のエゴで縛り付けてはいけないと頑なに考えてしまうのは、「幼い頃の姿を知っている」ことと「8つ年上」ということが凄く大きく影響していると思います。その辺がリアルに感じ取れたので、「切ないよねぇ」と共感できたのかも。

「短いゆびきり」とは何なのか気になっていましたが、とっても大切な想いが込められていたんですね。それに込められた昇の想いがなんだか胸に痛い。この“短いゆびきり”をラストまでちゃんと生かしてあって、それも良かったです。

チョコレートケーキとチーズケーキのエピソードが凄く好きなんですよね。昇が幼かった頃に感じた思いも今の思いも、なんて愛しいのかと。
こんなこと言われたらメロメロになってしまいます。
ここにもまた、人に譲ってばかりいる敬祐と、そんな敬祐を想う昇の気持ちがすごくよく表れていました。
敬祐にチョコケーキを選ばせてあげる、それだけのことでも、敬祐を優先し甘やかしてあげることができたようで、昇も嬉しいんだろうなぁ。そうしてあげたいと、ずっと思っていたんだものね。

というわけで、個人的にこのお話は大好きでございました。
ただ「書き下ろし」は蛇足だったかな…と…個人的には…すみません(^^ゞ
関西弁というのが凄く雰囲気よかったですね。
試しに敬祐が本音を吐露するクライマックスを標準語に脳内変換してみましたが、関西弁の方がずっとスッと入ってきました(笑)
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