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約束のかけら
結城 一美著
プランタン出版 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/飴本巽(f-LAPIS)

終戦を迎え、子爵楠木家はGHQに屋敷を接収される。
当主の留守を預かる次男・楠木久也は町での進駐軍の横行を非難し、地方軍政部司令官のウォレス大尉に町の安全と引き換えを条件に陵辱されてしまう。
強要された関係を続けながらGHQの仕事を手伝うことになった久也だが、毎夜の濃密な情交とは裏腹に、町の復興に真摯なウォレスに次第に惹かれていく。
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ウォレス・ジュン・アルフレッド×楠木久也(くすのきひさや)
アルフレッド27歳、久也25歳くらいだと思います。

軍服同士。
何だかイラストを見てるだけで萌えてしまいます。
第二次大戦の終結後ということで久也の方は軍人とはいえほとんど着用シーンはないですが。

米軍の司令部にと屋敷を摂取され、父は戦地から今だ戻らず、長男は病に伏し疎開中。次男の久也が、母と妹、わずかばかりの使用人とともに、屋敷を追い出され離れで暮らすことを余儀なくされます。
そしてある日、母の薬を病院に取りに行ったところ米兵とトラブルになり、手錠をかけられて久也はウォレスの前に引き出されてしまいます。すぐに釈放されたものの、ウォレスと言い争いになり、町の治安と引き換えに、久也は身体を差し出すことを強要されます。
軍人として、華族として、家族や町のためにそれを受け入れる久也。

初めは毎夜ごと、執務が終わった頃にウォレスを訪ね抱かれるだけの日々が続きます。しかし、やがて久也はウォレスに頼まれ、彼の仕事に同行し町の人たちと米軍の話し合いが上手くいくように、間を取り持つようになります。
そこで久也はウォレスが真摯に日本の復興につくしていることを知り、また彼や家族に気遣いを示してくれる優しさに触れ、気持ちが軟化していきます。それはやがて、ウォレスへの恋心へと変化していくんですね。

戦争に勝った側と負けた側、そういっ立場の隔たりの中で生まれる恋という面白みももちろんありますが、再会物の要素も入っています。
幼い頃に出会っていた二人。それを覚えていたウォレスと忘れてしまった久也との、気持ちの擦れ違い、勘違いが、このような関係を結ばせるきっかけとなってしまっています。

「どうして最初に言ってくれなかったんですか」と久也が言ってますが、それはその通り(笑)。ただウォレスが今の久也を見て、カチンときてしまった気持ちも理解できないことはありません。
ようやく気持ちが通じあうようになるかというところで、突然ウォレスの父が本国で危篤となりウォレスが帰国してしまい、じらされてしまいましたね~。帰ってくるという約束を破ってウォレスは帰らず、どうしてかと思ったら、結局帰国したものの交通事故に遭い父の死に目に会えず、自分も大怪我をして、それを久也に好き勝手なことをした「天罰だ」と考えて身を引こうとしてしまったのは、ちょっとヘタレ過ぎだと思いましたが。天罰かぁ。さすがアメリカ人(?)。

「約束のかけら」の約束は、町の治安との引き換えの関係ももちろんありますが、幼い頃の果たせなかった約束、そして帰国したアルフレッドが「戻る」と言った言葉、そんな二人の間で交わされる約束のこと。最初の約束以外は…ちゃんと果たされたことになるんですね。
軍服が美味しかった一冊でございました。
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