イラスト/佐々木久美子(SHYノベルス)
「この仕事に必要なものは忍耐と経験、幅広い知識、そして寛容と自己犠牲です」
業界大手の乃木坂製薬の営業職の面接に出向いた仁は、なぜか27人目の特別秘書候補として、執事である富益の執事教育を受けながら、乃木坂製薬経営企画室本部別室室長であり、創始者の孫である乙矢の住む屋敷で暮らすことになってしまった。
眠っているときの乙矢は美貌の貴公子さながらだが、現実は人に影を踏まれるのも嫌いな潔癖症で人間嫌いで毒舌家でわがままなひとりよがりで神経質な男で、仁はまるでバイ菌扱いを受けるはめに!
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原田仁(はらだしのぶ・25歳)×乃木坂乙矢(のぎさかおとや・27歳)
最初の一文からインパクト強かったですね。
「私に触れたら殺す」。
大手製薬会社の乃木坂製薬の営業職に応募したはずが、なぜか原田は乙矢の秘書候補として面接を受けるはめに。
しかも乙矢の第一声がこれで、続いて「必要がない限り半径1メートル以内に近づくな、書類を渡す時は一度机に置け、そして箱いっぱいに入った手袋を見せて、毎日それをつけろ、汚れたらすぐ取り替えろ、汚れなくても半日で取り替えろ、と仁が唖然とするようなことを言い出します。いったいどういう人なのか?出だしから大変面白く興味を惹かれました。
人を人とも思わないような無礼な態度や言葉、まるで仁がバイ菌だらけのような扱いに、仁もいささかムッとしますが、ちょっとした負けん気もあって、秘書見習いのような形で仕事を引き受けます。
正式採用になったらこっちから断ってやろうと、そういう気持ちで仕事を始めるんですが、この仁と言う人は、もともとの性格が通常の人よりずっと忍耐強く寛容で、無口で世話好きで、そして優しいですね。榎田さんによると「体育会系の秘書」ということなんですが、これがまた何とも素敵でしたね~。
別に鈍くてボーッとしているというのではないので、乙矢の態度や物言いにカチンと来たりしますが、上手く抑えて飄々と受け流しているようなところが見えます。体育会系ということで身体も大きいし、どっしりと構えた安定感と安心感を感じる。もともと家が保育所をしていて自分も仕事を手伝っていたせいで、子供を相手にしてその理不尽さに慣れていたこともあり、また高校時代には恵まれた体躯や運動能力に恵まれながらマネージャーという立場で選手を管理したり練習メニューを組んで自チームを強くすることの方が楽しいと思っていたなど、根っからの世話焼き、秘書体質のように思えます。本人は自覚していないようですが、そんな持ち前の性格もあって、乙矢を許容することが自然にできている感じです。それでいて、ごく普通の青年というイメージを崩していないところが凄い。また、穏やかで無口だけれど、いざと言うときにはとても頼りになる力を爆発的に発揮し、学生時代「静かなる核弾頭」と言われていたというエピソードが何だかとても気に入りました。好きですね~、気は優しくて力持ちなタイプ(笑)。そうかといってガッチリムキムキなタイプではなくて、適度に筋肉のついたスラッとした体型ですもんね。
乙矢の方ですが、最初はわがままで人を汚いもの扱いする態度といいツンツンした言葉といい、かなりキツいイメージがありますが、のっけから階段から落ちて仁の前で恥ずかしい思いをしてしまうなど、ちょっと笑える可愛らしさも感じられる。
そして乙矢も仁に言ったのと同じように手袋を嵌めているんですが、この意味がわかってくると、乙矢の思いがとても痛々しく切なかったですね。「汚いから私に触れるな」といい、ちょっと接触しただけで、その衣服を捨てるように言ったり、何度も何度も手を洗う。洗いすぎた手はボロボロになって血が滲み、それでも手を洗うことを辞められない。人に触れられるとパニックを起こし、発疹が出て発熱してしまうなど、乙矢の潔癖症は「強迫性障害」と言われるものであることがわかってきます。そして、乙矢が「汚い」というのは相手ではなく実は自分のことで、「自分は汚いから触れるな」と、そういう意味だったんですね。そんな風に思うようになってしまったのには、亡くなった母の心無い言葉があり、母の言葉が自分に呪いをかけたと、乙矢はそう思っています。そんな胸の内を想像すると、胸が痛かった。
仁の前に26人もの秘書候補が逃げ出したという乙矢の無礼さですが、乙矢のイビリにも仁は動じてないように乙矢には思える。そんな人間はおそらく老執事の富益(とみます)くらいしか今までにいなかったんでしょう。全く態度を崩さない仁に、乙矢も気づかないうちに心を許していたのかもしれませんね。仁もまた乙矢と接するうちに、その危うさや弱さ、可愛らしさを知り、乙矢をほおっておけなくなります。世話好きの血が騒いでしまってますね(笑)
乙矢が少しずつ仁に触れようとするシーン、切ないけど何とも甘いいいシーンでした。
仁も乙矢もとても魅力的ですが、老執事の富益が、捨て置けない魅力的なキャラで、本当にいい味出してました。折り目正しい昔ながらの執事ですが、おちゃめで可愛いおじいちゃんという感じもありますね。若い二人は当分叶わないでしょう。
こんな乙矢なので色っぽいシーンは最後の方にだけ。でも仁を秘書として認めないと強がり、初めてキスするシーンの乙矢は凄く可愛かったです。
最後にやっと結ばれるわけですが、執事と主人という下克上な関係の美味しさもたっぷりでした。乙矢が仁に抱かれるまでのことができるようになった、そっちも勿論幸せで嬉しい気持ちが伝わってきますが、私としてはやはり主従立場逆転が何と言っても萌えでした。
クール系秘書もいいんだけど、体育会系秘書が思いのほかデリシャスでした(笑)。乙矢も可愛い。これもツンデレっていうのかな?(笑)
ストーリーも大変面白くて、大満足であります。
いつか乙矢が手袋を外すことができるといいですね。
「執事の特権」というタイトルが凄くハマってて、これを言ったときの乙矢もとても可愛かったし、実にいいタイトルだな~と思いました。
原田仁(はらだしのぶ・25歳)×乃木坂乙矢(のぎさかおとや・27歳)
最初の一文からインパクト強かったですね。
「私に触れたら殺す」。
大手製薬会社の乃木坂製薬の営業職に応募したはずが、なぜか原田は乙矢の秘書候補として面接を受けるはめに。
しかも乙矢の第一声がこれで、続いて「必要がない限り半径1メートル以内に近づくな、書類を渡す時は一度机に置け、そして箱いっぱいに入った手袋を見せて、毎日それをつけろ、汚れたらすぐ取り替えろ、汚れなくても半日で取り替えろ、と仁が唖然とするようなことを言い出します。いったいどういう人なのか?出だしから大変面白く興味を惹かれました。
人を人とも思わないような無礼な態度や言葉、まるで仁がバイ菌だらけのような扱いに、仁もいささかムッとしますが、ちょっとした負けん気もあって、秘書見習いのような形で仕事を引き受けます。
正式採用になったらこっちから断ってやろうと、そういう気持ちで仕事を始めるんですが、この仁と言う人は、もともとの性格が通常の人よりずっと忍耐強く寛容で、無口で世話好きで、そして優しいですね。榎田さんによると「体育会系の秘書」ということなんですが、これがまた何とも素敵でしたね~。
別に鈍くてボーッとしているというのではないので、乙矢の態度や物言いにカチンと来たりしますが、上手く抑えて飄々と受け流しているようなところが見えます。体育会系ということで身体も大きいし、どっしりと構えた安定感と安心感を感じる。もともと家が保育所をしていて自分も仕事を手伝っていたせいで、子供を相手にしてその理不尽さに慣れていたこともあり、また高校時代には恵まれた体躯や運動能力に恵まれながらマネージャーという立場で選手を管理したり練習メニューを組んで自チームを強くすることの方が楽しいと思っていたなど、根っからの世話焼き、秘書体質のように思えます。本人は自覚していないようですが、そんな持ち前の性格もあって、乙矢を許容することが自然にできている感じです。それでいて、ごく普通の青年というイメージを崩していないところが凄い。また、穏やかで無口だけれど、いざと言うときにはとても頼りになる力を爆発的に発揮し、学生時代「静かなる核弾頭」と言われていたというエピソードが何だかとても気に入りました。好きですね~、気は優しくて力持ちなタイプ(笑)。そうかといってガッチリムキムキなタイプではなくて、適度に筋肉のついたスラッとした体型ですもんね。
乙矢の方ですが、最初はわがままで人を汚いもの扱いする態度といいツンツンした言葉といい、かなりキツいイメージがありますが、のっけから階段から落ちて仁の前で恥ずかしい思いをしてしまうなど、ちょっと笑える可愛らしさも感じられる。
そして乙矢も仁に言ったのと同じように手袋を嵌めているんですが、この意味がわかってくると、乙矢の思いがとても痛々しく切なかったですね。「汚いから私に触れるな」といい、ちょっと接触しただけで、その衣服を捨てるように言ったり、何度も何度も手を洗う。洗いすぎた手はボロボロになって血が滲み、それでも手を洗うことを辞められない。人に触れられるとパニックを起こし、発疹が出て発熱してしまうなど、乙矢の潔癖症は「強迫性障害」と言われるものであることがわかってきます。そして、乙矢が「汚い」というのは相手ではなく実は自分のことで、「自分は汚いから触れるな」と、そういう意味だったんですね。そんな風に思うようになってしまったのには、亡くなった母の心無い言葉があり、母の言葉が自分に呪いをかけたと、乙矢はそう思っています。そんな胸の内を想像すると、胸が痛かった。
仁の前に26人もの秘書候補が逃げ出したという乙矢の無礼さですが、乙矢のイビリにも仁は動じてないように乙矢には思える。そんな人間はおそらく老執事の富益(とみます)くらいしか今までにいなかったんでしょう。全く態度を崩さない仁に、乙矢も気づかないうちに心を許していたのかもしれませんね。仁もまた乙矢と接するうちに、その危うさや弱さ、可愛らしさを知り、乙矢をほおっておけなくなります。世話好きの血が騒いでしまってますね(笑)
乙矢が少しずつ仁に触れようとするシーン、切ないけど何とも甘いいいシーンでした。
仁も乙矢もとても魅力的ですが、老執事の富益が、捨て置けない魅力的なキャラで、本当にいい味出してました。折り目正しい昔ながらの執事ですが、おちゃめで可愛いおじいちゃんという感じもありますね。若い二人は当分叶わないでしょう。
こんな乙矢なので色っぽいシーンは最後の方にだけ。でも仁を秘書として認めないと強がり、初めてキスするシーンの乙矢は凄く可愛かったです。
最後にやっと結ばれるわけですが、執事と主人という下克上な関係の美味しさもたっぷりでした。乙矢が仁に抱かれるまでのことができるようになった、そっちも勿論幸せで嬉しい気持ちが伝わってきますが、私としてはやはり主従立場逆転が何と言っても萌えでした。
クール系秘書もいいんだけど、体育会系秘書が思いのほかデリシャスでした(笑)。乙矢も可愛い。これもツンデレっていうのかな?(笑)
ストーリーも大変面白くて、大満足であります。
いつか乙矢が手袋を外すことができるといいですね。
「執事の特権」というタイトルが凄くハマってて、これを言ったときの乙矢もとても可愛かったし、実にいいタイトルだな~と思いました。
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