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優しい復讐
洸著
海王社 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/亜樹良のりかず(ガッシュ文庫)

御園生財閥の御曹司・夏彦は、全てに飽いていた。
お金目当てに集まる人々、怠惰な生活。
そんな彼を救ってくれたジャーナリスト・麻生に夏彦は急速に惹かれていく。一見乱暴な中に見せる大人の優しさ。御曹司としてでなく、夏彦を個人として接してくれる麻生。
彼を思う気持ちを止められずにいた夏彦だったが、ある日、麻生が自分に近づいてきた本当の目的を知る。
裏切られても信じたい。
切ない片思いの行方は…。
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麻生瑛司(あそうえいじ・?歳)×御園生夏彦(みそのおなつひこ・20歳)
ジャーナリストと大学生。

「優しい復讐」
「優しい沈黙」の二編収録されています。


財閥の御曹司として生まれながら家族愛には恵まれず、怠惰な生活を送っていた夏彦は友人に危うい場所に誘い込まれたところを、ジャーナリストの麻生に助けられます。
一見危険な雰囲気を漂わせた大人の男・麻生が見せた一瞬の笑顔に心を奪われ、夏彦は急速に麻生に惹かれていきます。

しかしある日、夏彦は再び友人の罠にかかり、数人の男たちにレイプされそうになります。その場もまた現われた麻生が救い出してくれるのですが、その後、麻生の部屋に連れて行かれた夏彦は、麻生に「好きだ」と告白。
麻生はキスをして、手と口で夏彦に触れてくれましたが、その次の日から麻生との連絡が全くつかなくなってしまいます。

そして、何とかして麻生と連絡をとろうとする夏彦のところへ「祖父が倒れた」との報が入ります。
祖父の跡を継ぐはずの夏彦の父はすでに亡く、祖父の次の座は夏彦へと廻ってきます。報せを聞いて祖父の屋敷に親戚が集まることとなり、夏彦も祖父の屋敷へと出向きますが、人々が集まるその席に、突然麻生が姿を現します。
そして麻生は、自分が亡くなった夏彦の父の子供であること、つまり御園生家の長男であることを不遜に言い放ちます。
夏彦は好きになってしまった麻生が「兄」であることにショックを受けるのですが…。

と、これはまだ序章で、このあとお話はなかなか複雑な展開になっていきます。
普通でしたら「なにっ兄弟?!」と本から5mくらい飛び退いてしまうところですが、先にあとがきページの亜樹良さんのネタばれ漫画を読んでしまっていたのでした(^^ゞ
これを先に見てなかったら途中で止めてたかもしれないので良かったかもしれません(笑)

お話中では、「兄」に恋をしてしまった切なさ…はそんなに前面に出てなかったように思います。それよりも、初めて心を動かされ、自分に優しかった麻生が、手の平を返したように冷たく豹変し、ひどい言葉で傷つけられる、そっちの方が辛かったですね。
麻生は一貫して冷たく、夏彦はそんな麻生を、どんなに傷つけられても信じています。かなり可哀相だし、読んでる私は何だか惨めな気持ちに。

御園生家の跡継ぎとして新たに名乗りを上げた麻生は、自分の母と自分を放り出した御園生家に恨みを抱いていて、祖父が亡くなったあとは御園生家を乗っ取り我が物にしようとしている・・・と誰もがそう考えています。そして夏彦は、車に轢かれそうになったり、家に放火され怪我をしたり、と命を狙われる。
犯人は麻生に違いないと親族は夏彦の身を案じます。御園生家の財産を狙う麻生にとっては、夏彦は邪魔者だからと。それでも麻生を信じ続ける夏彦。

さすがに読んでる方も麻生が本当にそんなヤツだとは思わないので、他に誰か画策しているやつがいるわけです。それが誰なのか全然わからないように書いてありますので、ちょっとサスペンス風味も味わえますね。推理小説ではないんで、真実はわかるときはあっさりわかりますが(笑)。
何を考えて御園生家に乗り込んできたのかわからない麻生も、わかってみればなるほど。

切ない恋心に、サスペンスを絡め、家族の思いとかも加味されててなかなか面白く読めました。
麻生の夏彦への思いは、真実がわかったあとの麻生の話と、「優しい沈黙」の中で語られるだけなので、個人的にはちょっと物足りないといえば物足りない気もするんですが…。夏彦可哀相だったものね。
それに最後のシーンまで、夏彦に先に言わせるのは、今までの展開からしてもズルいぞ。堰を切ったように溢れ出す、夏彦への想いの告白…が見たかった。
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