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雨のように、愛のように
吉田 ナツ著
ビブロス (2005.12)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/不破慎理(ビーボーイノベルズ)

凛として綺麗な菱谷の恋人は、いつもいい加減な男だった。
会社の友人として心配する永井は、いつの間にか彼に恋している自分に気づく。
花が水を求めるように、愛を求める菱谷。
セックスは巧みなのに、キスがぎこちない。
そんな菱谷に、本当の愛を教えたいと願うけれど…。
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永井(ながい)×菱谷有理(ひしたにゆうり)
同い年、永井が入社二年目とあるので24歳くらい。

「雨のように、愛のように」
「ナチュラルウォーター」の二編。両方とも書き下ろしです。

吉田ナツさん2冊目の本ということです。
前作の「ダブルベッド」が良かったので期待して読みました。
なかなか素敵なお話でしたよ。


同じ高校に通う同級生だった永井と菱谷。
同じクラスになったことはなく、話をしたのはたった一度だけ。
それでも永井はその時のことをとてもよく覚えていました。
就職して二年目、永井は東京の本社から故郷の支社へ、プロジェクトの応援に短期で出向を命じられます。そしてその支社の事務職長となっていた菱谷と再会します。
菱谷は学生のころから勉強はできるしスポーツも万能で、とても目立つ存在でした。誰もが東大に進むものと思っていましたが、母子家庭育ちだった菱谷は、ちょうど進学の時期に母が病気になったことで進学を諦め、そのまま就職していました。けれど菱谷の有能さは、社会人になった今も健在だった・・・永井はそう思います。

一緒に仕事をするようになって親しく言葉を交わし出してから、永井は菱谷の、有能な顔の裏の可愛らしい素顔、そして満たされない思いを知ることになります。
つきあう男はいつも軽薄で派手な男。入院している母をこまめに見舞いながらも、その母を「嫌いだ」という菱谷。素で見せる顔は可愛らしくあどけないのに、その奥に隠されたものは永井には見えず、「わからない」と思いながらもどんどん惹かれてしまうんですね。

母子家庭で育ち、忙しかった母から愛情をきちんと受け取れなかった菱谷は愛され方を知りません。
恋人には相手の都合のいいときに会ってもらい、奉仕するだけ。ちゃんとした愛情を与えてもらったことはなく、努力した分しか愛してもらえないと思っている。それは仕事にも現れていて、菱谷が高卒で早々と事務職長にまで昇進したのは、多くの仕事を引き受けこなすことで、周りに認められたい、必要とされたいという思いからでした。飲み会で幹事を引き受けみんなの世話を焼くのも、そんな思いがあるからなんでしょう。
全てが「愛されたい」という思いからくるものだと思うと、なんだか痛々しくさえ思えます。「愛情」が絡むと、菱谷はまるで迷子の子供のようでした。永井が、保護欲をかきたてられ惹かれてしまうのもわかります。

永井は、クールでスマートな外見とは裏腹に、なんというかとても健全で懐が広く愛情深くて、菱谷への思いを自覚してからは一直線の直球アタックです。真っ直ぐな愛情は気持ちいいです。相手の菱谷がとても難しい男なので玉砕したりはしますが、心が強い男は愛情も強い。きちんと菱谷を包みこんで、とうとう固いカラを壊してしまうんですね。愛を知らない菱谷は、自分がそんなものをもらえることさえ信じていないから、なかなか永井のところへは落ちてきません。菱谷は外に現われた部分と内に秘めた弱さのギャップがとても大きくて、その理由や思い込みを考えると胸が痛みますが、でも永井の愛情は揺るぎなく、安心して見ていられました。
菱谷が知らなかった「与えられる愛情」をたっぷりと与えて、甘やかす様子は、なんというか…羨ましいですわ(笑)

「雨のように、愛のように」は永井視点。
「ナチュラルウォーター」は菱谷視点で語られています。
「ナチュラル」では、愛情に慣れなくて、素直に感情を表せない菱谷の、本当の想いや、初めての恋に高揚する可愛らしさが伝わってきます。朝も夜もメールをもらい、四六時中愛してると囁かれて、恥ずかしさに頬を染める菱谷が見えそう。永井はまた、そういうことを半分は意識して愛を知らなかった菱谷のために、そして半分は天然でやってるんでしょうね。

二人の気持ちも丁寧に書かれていて、無理なくすんなり入ってきました。
読後は幸せ感が漂いました。
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