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星さえも見えない夜に
池戸 裕子著
リーフ (2005.12)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/桃山恵(リーフノベルズ)

大学時代からの恋人であるカメラマン・陽児と穏やかな日々を過ごす天行。幸せなのに―優しいけれど『星』に夢中な彼に、満たされない寂しさを感じていた。そんなある日、陽児に仕事のチャンスが訪れる。だが喜びも束の間、不幸な事故が彼を襲い!?
陽児を支える為、天行は彼の傍にいることを決意する。心のどこかで彼を独占できる喜びを感じながら…。そして二人だけの閉ざされた生活が始まる―。
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後藤陽児(ごとうようじ・23歳)×柴崎天行(しばざきたかゆき・23歳)


天行と陽児は高校の同級生。大学時代から恋人としてつきあい始め、陽児はカメラマン、天行は高校の教師となった今もそのつきあいは続いていました。
陽児は高校時代からとにかく『星』に夢中で、カメラマンとなった現在は星の写真を撮るだけでなく、アートとして様々な手法で星の世界を造り出し、個展を開いたりしています。星を見るために一人でどこにでも出かけてしまい、しばしば置いてきぼりとなる天行でしたが、天行はそんな陽児が好きで、陽児の星に対する想いも理解しているつもりでいました。

ところが、少しずつ天行の心は寂しさを感じるようになっていきます。
二人で夜道を歩いていても、陽児は空を見上げ、星を見つめ星を語り、そのまなざしが傍らを歩く自分を見ることはほとんどありません。陽児の家に泊っても、夜は二人でベッドに入るのではなく、陽児はベランダで一晩中望遠鏡を覗き、パソコンを駆使して星を観察している。天行はそんな陽児の姿をカーテン越しにベッドの上からただ眺めているだけでした。
星と共にいるときの陽児は、星の世界の住人のようで、天行には入り込む隙などありません。それでもいいと思っていたはずでしたが、天行は次第にもっと自分を見つめてほしいと思うようになります。そして陽児に大きな仕事が舞い込み、その仕事を紹介した、陽児と同じようにやはり星に夢中の男・秋山(あきやま)と陽児が語り合うのを見て、自分ひとりが疎外感を感じ、ますます陽児を遠く感じるようになってしまいます。

ところがそんな時、陽児がある事故で目が見えなくなってしまいます。
検査に異常はなく心理的なものだということでしたが、目が見えなくなった陽児は縋るように天行を求め、天行にずっと傍にいてくれと頼みます。天行がそばにいないと陽児が不安定になってしまうので、二人は陽児の部屋にひきこもったままで過ごすようになります。朝も昼も夜も、視力を失った不安から自分に縋る陽児と二人だけで過ごす日々。

そんなある日、秋山から「幸せそうだ」と言われた天行は、自分のエゴに気づきます。
陽児の目が見えなくなって、自分だけを求めてくれることに喜びを感じていた自分がいる。陽児がどんなに星を愛していたか、それを知っていながら陽児の苦しみを理解していなかった。
それに気づいた天行は…。


恋人としてお互いを認識していて、とても想い合っているのはこちらには伝わってくるのに、相手にはどんなに大切に想っているか、その想いの強さが本当には伝わりきっていないような感じなんですね。なんというかまだ「入り口」にいるような感じというか。
陽児は星に夢中で、はっきり言えば「星バカ」なんです(笑)
でも天行が自分を理解してくれているからこそ、そして傍にいて見守ってくれるからこそ、それに甘えて星に夢中になっているんですが、天行にはそこまでは伝わっていない。だから天行は寂しくなってしまうんですが、陽児は天行が「寂しい」と感じているとは気づかない。
陽児の目が一時的に見えなくなってしまったことが、お互いをより理解して近づけるきっかけとなるんですね。
実はこの二人は数年つきあっているのにまだキスしかしていません。目が見えなくなる以前から少しずつ、お互いの関係をもっと進めたいと思う気持ちはうまれ始めていて実際そうしようとするんですが、男同士であることの戸惑い、相手への気づかいなどがあって簡単に身体をつなげることはできません。なかなかひとつになることができないんですが、そのぎこちなさとは裏腹に、お互いの心を大切にしようとする気持ちはヒシヒシと伝わってきて何だか凄く良かったですね。無理矢理入れないHというのが新鮮だったのかしら(笑)
本当にひとつになりたいと二人が心から思ったときにちゃんと結ばれるんですが、まさに心と身体がひとつになった、そんな感じがしました。

視力を失うという大きなキッカケはありましたが、全編を通して、少しずつ、二人がより近づいていく物語、という感じでした。相手をきちんと見つめ、見守り、ずっと二人で並んで行く。そんな光景が目に浮かびましたね。
どちらかといえば地味めなお話かもしれませんが、私はとても好きでした。
池戸さんは時々結構キちゃうんですよね。
天行の故郷で二人で語り合うシーンは、ちょっと泣きそうになっちゃいました。
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