イラスト/タカツキノボル(キャラ文庫)
弁護を担当した裁判は必ず勝つ!室伏神流は男前のスコ腕弁護士。でも唯一の欠点は好みの依頼人にはカラダも要求すること…。
そんな神流の前に美貌の依頼人・鷹野原人見が現われた。だが養父の死で五十億の遺産を受け継いだ人見には、養父殺害の嫌疑が!!
ひとりになって寂しいと泣く人見を抱く神流だが、彼はクロかシロか。神流は独自の調査を始めるが…。
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室伏神流(むろふしかんな・34歳)×鷹野原人見(たかのはらひとみ・28歳)
「回文」がモチーフになっています。タイトルも回文ですね。
妙なギャグやダシャレを飛ばすオヤジはどこにでもいますが、神流の場合は「回文」。世界初の回文大河小説を書く…などと嘘か真かわからないようなことを言いながら、日々おかしな回文を捻り出しています。
美貌の依頼人は男も女も区別なく口説き、正規の弁護料の他にカラダまで戴いてしまうというクセはありますが、腕は優秀です。
そんな神流の前に現われた依頼人が人見(ひとみ)。
看護士をしていた人見は、三年前88歳の富豪の老人の養子となり、その養父が亡くなった為、50億にも及ぶ財産を相続しました。ところが養父の姪と甥から不服の申し立てがあり提訴されようとしていました。そこで神流の元へと相談に現われたのです。
姪と甥は人見が、養父に無理矢理遺言を書かせただけでなく、殺人の嫌疑でも警察に告訴していました。そちらは嫌疑不十分で不起訴となりましたが、神流は人見の美貌にもそそられて、調査を始めます。
神流の作り出す「回文」が度々ユーモラスさを醸しだしますが、ストーリーにはちょっとサスペンス風味を感じました。
人見は天涯孤独の身で施設で育ち、中卒で初めて就職した先では社長に異常に可愛がられたことが噂になり、その妻に仲を疑われて破格の退職金を貰って仕事を辞め、その金で看護学校に通いました。そして次に働いた病院ではやはり年上の外科部長といい仲となり、家賃を払って貰ったり教習所代を出してもらったり。そして次が富豪の老人の養子となり遺産相続と、ちょっと見たところではお金目当てに年上の男を渡り歩いているようにも見えます。
神流は、人見は愛されずに育ったため年上の男に弱く、「愛」が欲しくて男に誠心誠意尽くした結果、男たちからは愛情と「お金」を貰うことになったのだろうと考えます。控えめで穏やかな話し方、些細なことでも神流の世話を焼こうとするその「尽くす」様子、寂しげな表情に神流は本気で惹かれていきます。
ところがこの人見さんが、ちょっと一筋縄ではいかないんですよね。
確かに大人しい喋り方とか、ベッタリと尽くす愛し方とか、控えめで薄倖で、理不尽な世間に翻弄される、愛を求める可哀相な青年のようなんですが、結構裏が真っ黒なのではないか?と思わせるんです。お話中で、はっきりと「人見は実はこうだ」というようには明かされておらず、なんとなく寂しげな顔の後ろでホントは笑ってるんじゃないの?という疑心暗鬼を持たされることになりました。
人見がただの弱い男ではないと薄々感じながらも神流は人見に惹かれていき、人見も神流を受け入れるのですが、裁判に勝ってめでたし…と思ったあとの展開はジワッと怖くて面白かったです。
特にラストは、ハッピーで終わった映画のエンドロールのあとに、ゾクッとさせられたような気分です。人見の薄ら笑いが見えるような気がしたりして…ブルブル。神流…罠にはまり込んだのか。自信家ですがおちゃめないい男なのでもしそうなら同情しちゃう。
人見の天使の顔の裏には悪魔の顔がありそうですが、ここで人見の人物像を考察するには情報が足りないし、必要ないかもしれません。
「うすら怖い」雰囲気を楽しめばいいんですよね。
神流は大丈夫なのかしら。神流が成功して金持ちの壮年オヤジになるのを、人見が手薬煉引いて待っているような気がしてなりません…そうなったあと、願わくば毒など盛られませんように(笑)
息の抜けないカップルとなりそうです。
なかなか面白かったですね。
それにしてもタカツキさんのカラーイラストにはたびたびビックリさせられちゃいます(^^ゞ 生々しいわ(笑)
室伏神流(むろふしかんな・34歳)×鷹野原人見(たかのはらひとみ・28歳)
「回文」がモチーフになっています。タイトルも回文ですね。
妙なギャグやダシャレを飛ばすオヤジはどこにでもいますが、神流の場合は「回文」。世界初の回文大河小説を書く…などと嘘か真かわからないようなことを言いながら、日々おかしな回文を捻り出しています。
美貌の依頼人は男も女も区別なく口説き、正規の弁護料の他にカラダまで戴いてしまうというクセはありますが、腕は優秀です。
そんな神流の前に現われた依頼人が人見(ひとみ)。
看護士をしていた人見は、三年前88歳の富豪の老人の養子となり、その養父が亡くなった為、50億にも及ぶ財産を相続しました。ところが養父の姪と甥から不服の申し立てがあり提訴されようとしていました。そこで神流の元へと相談に現われたのです。
姪と甥は人見が、養父に無理矢理遺言を書かせただけでなく、殺人の嫌疑でも警察に告訴していました。そちらは嫌疑不十分で不起訴となりましたが、神流は人見の美貌にもそそられて、調査を始めます。
神流の作り出す「回文」が度々ユーモラスさを醸しだしますが、ストーリーにはちょっとサスペンス風味を感じました。
人見は天涯孤独の身で施設で育ち、中卒で初めて就職した先では社長に異常に可愛がられたことが噂になり、その妻に仲を疑われて破格の退職金を貰って仕事を辞め、その金で看護学校に通いました。そして次に働いた病院ではやはり年上の外科部長といい仲となり、家賃を払って貰ったり教習所代を出してもらったり。そして次が富豪の老人の養子となり遺産相続と、ちょっと見たところではお金目当てに年上の男を渡り歩いているようにも見えます。
神流は、人見は愛されずに育ったため年上の男に弱く、「愛」が欲しくて男に誠心誠意尽くした結果、男たちからは愛情と「お金」を貰うことになったのだろうと考えます。控えめで穏やかな話し方、些細なことでも神流の世話を焼こうとするその「尽くす」様子、寂しげな表情に神流は本気で惹かれていきます。
ところがこの人見さんが、ちょっと一筋縄ではいかないんですよね。
確かに大人しい喋り方とか、ベッタリと尽くす愛し方とか、控えめで薄倖で、理不尽な世間に翻弄される、愛を求める可哀相な青年のようなんですが、結構裏が真っ黒なのではないか?と思わせるんです。お話中で、はっきりと「人見は実はこうだ」というようには明かされておらず、なんとなく寂しげな顔の後ろでホントは笑ってるんじゃないの?という疑心暗鬼を持たされることになりました。
人見がただの弱い男ではないと薄々感じながらも神流は人見に惹かれていき、人見も神流を受け入れるのですが、裁判に勝ってめでたし…と思ったあとの展開はジワッと怖くて面白かったです。
特にラストは、ハッピーで終わった映画のエンドロールのあとに、ゾクッとさせられたような気分です。人見の薄ら笑いが見えるような気がしたりして…ブルブル。神流…罠にはまり込んだのか。自信家ですがおちゃめないい男なのでもしそうなら同情しちゃう。
人見の天使の顔の裏には悪魔の顔がありそうですが、ここで人見の人物像を考察するには情報が足りないし、必要ないかもしれません。
「うすら怖い」雰囲気を楽しめばいいんですよね。
神流は大丈夫なのかしら。神流が成功して金持ちの壮年オヤジになるのを、人見が手薬煉引いて待っているような気がしてなりません…そうなったあと、願わくば毒など盛られませんように(笑)
息の抜けないカップルとなりそうです。
なかなか面白かったですね。
それにしてもタカツキさんのカラーイラストにはたびたびビックリさせられちゃいます(^^ゞ 生々しいわ(笑)
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