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ゲット・ア・フォーチュン
水無月 さらら著 / 須賀 邦彦イラスト
ワンツーマガジン社
アルルノベルス(2007.5)


繊細な美貌を持ちながら、やけに現実的な芳郎は、勤務先の三社合併後も平凡な日々を送っていた。
一方、恋人で元同僚の磯上は早々に自分の道を定め、持ち前の強運と実力でトレジャーハンターとして華々しい成功を収める。時代の寵児として騒がれる彼に、情熱的に愛を囁かれ、熱い楔に蕩かされる芳郎だったが、男としてのプライドが邪魔をして自分の気持ちに素直になれない。
前に突き進む恋人の姿に、やがて自分の居場所さえ見失いそうになって――。
磯上達彦(いそがみたつひこ)×長篠芳郎(ながしのよしろう)
二人とも27歳
トレジャーハンター×サラリーマン


バレエダンサーの両親を持ち、自分もその道を進もうとしていたものの怪我で断念。現在は、ロシア人の祖母の血を引く美貌の他はいたって平々凡々に地味なサラリーマン生活をおくっている芳郎。
入社時、研修のための合宿で同室となった同期の磯上とは研修中に意気投合し、磯上に告白されて恋人同士になりました。

しかし、数年後磯上は祖父の遺産の山を受け継ぎ、「徳川埋蔵金」を探すと言って退社。埋蔵金は出なかったものの温泉を掘り当て一躍時の人となり、全国から宝探しの依頼を受けて、強運を生かして成果をあげ、あちこちを飛び回る日々を送っています。
一緒に住もうと買ったマンションにも磯上はたまにしか帰らず、芳郎はひとりで部屋にいることばかり。
会社の社食で定食をつつけば、TVからはまたまた宝を探し当てた磯上がインタビューを受けていて、平凡で夢もない自分との立場の違いに、芳郎はどんどん落ち込んで行きます。

磯上の芳郎への愛情は確かで、芳郎の存在が磯上の原動力になっているのは読んでいても疑いようがないんですが、いくら真っ直ぐに愛を向けられても、相手との歴然とした差が芳郎のプライドを刺激して、芳郎は磯上への想いを素直に認めることもできないんですね。
そうこうしているうちに、海外にまで出かけていった磯上は、どっかの(笑)王朝の失われた財宝を発見し、その国の王に気に入られて、娘を嫁にする・・・などという報道が飛び込んできます。
身を引くことを決意した芳郎は、会社に辞表を出し、黙ってマンションを出ていってしまいます。

責めの愛情は揺ぎ無いので、受けの芳郎の心の揺れと自分探しという感じでしょうか。
何をやっても神様がついているように強運幸運続きの磯上と、賭けていたバレエの道を閉ざされ、踊っていたときは身近に感じていた神様の存在に見放されたような気のしている芳郎。
そういうテーマがタイトルになってるんですね。
芳郎はうしろ向きキャラではありますがジメジメしたタイプではないのと、磯上の「トレジャーハンター」ぶりや、芳郎に会いに、本拠地にしている山奥から自家用で買ったヘリを飛ばしてくるなど、コメディではないのにどこかやってることがギャグっぽいので、どちらかというとライト感覚でした。
自分に自身が持てなくて愛情を信じられないというお話なので、そんなに珍しくはないかな。

芳郎を「よっちゃん、よっちゃん」と呼ぶ磯上のキャラが雰囲気を明るくし、芳郎も女々しくないので、そう自虐にも陥らず、サラッと楽しく読めた感じでした。
へんてこでない水無月さんです。
会社を辞めて埋蔵金を探している恋人というのは、ちょっと困ってしまいますけどね。見つかりまくりだからいいですけど。
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