イラスト/円陣闇丸(リンクスロマンス)
仕事で大学病院を訪れた上原尚哉は、高校時代の同級生で外科医になっていた久住廉との再会に狼狽する。なぜなら、かつて心を通わせながらも、ある事情で尚哉が裏切り、別れた相手だったからだ。
久住は屈託なく接してきたが、二人きりになると態度を豹変させ、脅すように「償い」を求める。身体を差し出せ―と。
別れてからも久住を想い続けていた尚哉は、心を痛ませながら応じるが…。
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久住廉(くずみれん)×上原尚哉(うえはらなおや)
元同級生。
年齢ははっきり書いてありませんでしたが27~28歳くらいだと思います。ラストには30越えるかな?
再会モノです。
「水に眠る恋」
「幸福の在処」
「運命の人」の三編収録されています。
「水に眠る恋」は久住と尚哉の過去の経緯、再会し誤解と擦れ違いの末にわかりあえるまでのお話です。
「幸せの在処」は、勤務する大学病院を辞め長野の病院に転勤しようとする久住に「一緒に行こう」と言われる尚哉。二度と久住と離れたくないと思う尚哉ですが、尚哉の妹・結花の激しい反対にあい、周りを傷つけてしまう自分達の恋と、それでも捨てられない久住への想いの間で迷う彼らの恋の行方のお話。
「運命の人」はごく短い二人の幸せのエピソードです。
どんなにお互いが想い合っていても、男と男であるがゆえにその恋は周囲から阻まれてしまいます。
9年前、尚哉は、家の事情、そして久住の母の冷酷な仕打ちによって、身を切られるほど苦しみながらも久住との別れを選び久住の前から黙って姿を消しました。久住の家は裕福だったものの、父は家庭を顧みず、母はお金で物事や人間関係までもを計ろうとするような人間で、愛のない家庭に育った久住が唯一心を開き、信じたのが尚哉でした。
久住を愛したまま彼から離れざるを得なかった尚哉の心には9年前と変わらない想いがありましたが、久住の方は自分にとって唯一の存在だった尚哉に捨てられた痛みは激しく、再会した尚哉には裏切りへの怒りと憎しみの全てをぶつけるように接してきます。9年経ってさえ今だに怒りを抱いたままの久住の姿に、自分への深い愛情を、そしてそれを裏切ったことがどれほど久住を傷つけたかを思い知る尚哉。
久住の想いを全て受け止めようと、尚哉は久住の言うことを受け入れます。
久住の心の中にも怒りや憎しみの底に、いまだに冷めない尚哉への想いがあります。お互いに愛し合っているのに、二人にはお互いの心が見えません。尚哉はどんな理由にせよ久住を捨ててしまった罪悪感を抱き、久住は自分を捨てた尚哉への執着に苦しむ。
尚哉がなぜ自分を捨てていったのか、久住は真実を知ったとき、苦しめてしまった尚哉に再びの別れを告げてしまいます。
視点が入れ替わるのでお互いの想いが切なくて切なくて。あやうく泣いてしまいそうでした。
二人が再び恋人としてつきあうようになったあとも、尚哉の妹・結花(ゆいか)の激しい反対にあいます。「禁忌の恋」に対する結花の反発は半端ではありません。言っていることは全て正論ですが、大変に厳しくキツかった。BLを読んでいるので当然カップルに肩入れしているわけで、読んでる私も苦しかったです。自分の身内がもし尚哉のような恋をしていたとしてもここまで言えるものだろうかと思ってしまうくらいですが、結花の非難は全て尚哉への愛情からのものなんですよね。
何よりも大切で失くしたくない、魂の一部のような恋をしていても、その恋が誰かを傷つけてしまうとしたらどうしたらいいのか。その誰かが、これもまた大切な家族であったりしたら。
けれどその恋を諦めたらきっと魂の一部である恋人を再び傷つけてしまいます。それだけは二度としたくないとしたら。
ここでもまた尚哉の苦しい思いに泣かされそうに…。
何度も大きな壁に阻まれ遠回りして、それでも久住を選び再び再会するシーンは胸に沁みて、「運命」という言葉が浮かんできます。
結びのショートストーリーのタイトル「運命の人」というのは、このお話全体にも共通して感じられる言葉でした。
心理描写も丁寧で濃いのでかなり読み応えがあり、じっくりと読むのにいいと思います。
二人の恋に反対していた尚哉の妹や、尚哉の母のこともきちんとしてくれたのは個人的には嬉しかったです。辛い恋だったから二人にはやはり憂いなく幸せになってもらいたいですから。
とてもいいお話で、可南さん初めてなのですが読んでよかったと思える作品でした。
円陣闇丸さんの描く二人がまた最高にいいんですよぉ。
物語に非常にプラスに作用していると思います。
久住廉(くずみれん)×上原尚哉(うえはらなおや)
元同級生。
年齢ははっきり書いてありませんでしたが27~28歳くらいだと思います。ラストには30越えるかな?
再会モノです。
「水に眠る恋」
「幸福の在処」
「運命の人」の三編収録されています。
「水に眠る恋」は久住と尚哉の過去の経緯、再会し誤解と擦れ違いの末にわかりあえるまでのお話です。
「幸せの在処」は、勤務する大学病院を辞め長野の病院に転勤しようとする久住に「一緒に行こう」と言われる尚哉。二度と久住と離れたくないと思う尚哉ですが、尚哉の妹・結花の激しい反対にあい、周りを傷つけてしまう自分達の恋と、それでも捨てられない久住への想いの間で迷う彼らの恋の行方のお話。
「運命の人」はごく短い二人の幸せのエピソードです。
どんなにお互いが想い合っていても、男と男であるがゆえにその恋は周囲から阻まれてしまいます。
9年前、尚哉は、家の事情、そして久住の母の冷酷な仕打ちによって、身を切られるほど苦しみながらも久住との別れを選び久住の前から黙って姿を消しました。久住の家は裕福だったものの、父は家庭を顧みず、母はお金で物事や人間関係までもを計ろうとするような人間で、愛のない家庭に育った久住が唯一心を開き、信じたのが尚哉でした。
久住を愛したまま彼から離れざるを得なかった尚哉の心には9年前と変わらない想いがありましたが、久住の方は自分にとって唯一の存在だった尚哉に捨てられた痛みは激しく、再会した尚哉には裏切りへの怒りと憎しみの全てをぶつけるように接してきます。9年経ってさえ今だに怒りを抱いたままの久住の姿に、自分への深い愛情を、そしてそれを裏切ったことがどれほど久住を傷つけたかを思い知る尚哉。
久住の想いを全て受け止めようと、尚哉は久住の言うことを受け入れます。
久住の心の中にも怒りや憎しみの底に、いまだに冷めない尚哉への想いがあります。お互いに愛し合っているのに、二人にはお互いの心が見えません。尚哉はどんな理由にせよ久住を捨ててしまった罪悪感を抱き、久住は自分を捨てた尚哉への執着に苦しむ。
尚哉がなぜ自分を捨てていったのか、久住は真実を知ったとき、苦しめてしまった尚哉に再びの別れを告げてしまいます。
視点が入れ替わるのでお互いの想いが切なくて切なくて。あやうく泣いてしまいそうでした。
二人が再び恋人としてつきあうようになったあとも、尚哉の妹・結花(ゆいか)の激しい反対にあいます。「禁忌の恋」に対する結花の反発は半端ではありません。言っていることは全て正論ですが、大変に厳しくキツかった。BLを読んでいるので当然カップルに肩入れしているわけで、読んでる私も苦しかったです。自分の身内がもし尚哉のような恋をしていたとしてもここまで言えるものだろうかと思ってしまうくらいですが、結花の非難は全て尚哉への愛情からのものなんですよね。
何よりも大切で失くしたくない、魂の一部のような恋をしていても、その恋が誰かを傷つけてしまうとしたらどうしたらいいのか。その誰かが、これもまた大切な家族であったりしたら。
けれどその恋を諦めたらきっと魂の一部である恋人を再び傷つけてしまいます。それだけは二度としたくないとしたら。
ここでもまた尚哉の苦しい思いに泣かされそうに…。
何度も大きな壁に阻まれ遠回りして、それでも久住を選び再び再会するシーンは胸に沁みて、「運命」という言葉が浮かんできます。
結びのショートストーリーのタイトル「運命の人」というのは、このお話全体にも共通して感じられる言葉でした。
心理描写も丁寧で濃いのでかなり読み応えがあり、じっくりと読むのにいいと思います。
二人の恋に反対していた尚哉の妹や、尚哉の母のこともきちんとしてくれたのは個人的には嬉しかったです。辛い恋だったから二人にはやはり憂いなく幸せになってもらいたいですから。
とてもいいお話で、可南さん初めてなのですが読んでよかったと思える作品でした。
円陣闇丸さんの描く二人がまた最高にいいんですよぉ。
物語に非常にプラスに作用していると思います。
この記事へのコメント
mimuさん、こんにちは!
こちらお勧めいただいてありがとうございました。
ホントよかったです。
一応感想も書きましたので、よろしければ読んでください。
(一応TB送信もしてるんですが、うまく送れた験しがないです・・・)
こちらお勧めいただいてありがとうございました。
ホントよかったです。
一応感想も書きましたので、よろしければ読んでください。
(一応TB送信もしてるんですが、うまく送れた験しがないです・・・)
こんにちは、かりんこさん。
読んでいただいたんですか~。
早かったですね(笑)
気に入っていただいたみたいで良かったです~。
安心しました。
TB、届いていないみたいなんですよ;
どうしてなんでしょう?
う~ん…?
申し訳ないです。
感想、拝見にお邪魔しますね~!
読んでいただいたんですか~。
早かったですね(笑)
気に入っていただいたみたいで良かったです~。
安心しました。
TB、届いていないみたいなんですよ;
どうしてなんでしょう?
う~ん…?
申し訳ないです。
感想、拝見にお邪魔しますね~!
2008/02/20(水) 14:40 | URL | mimu #-[ 編集]
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