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秘書の条件
秘書の条件
posted with 簡単リンクくん at 2005.12.14
佐々木 禎子著
徳間書店 (2005.11)
通常2-3日以内に発送します。
イラスト/史堂櫂(キャラ文庫)

たった三日間の忘れられない情事―。
クールな美貌とは裏腹に過去の恋に囚われる秘書室長の玲人。ところがその彼と瓜二つの男が現われた。しかもその男・池上は新任の専務で、玲人は専属秘書を務めることに。
「今夜から私と一緒にホテルで暮らしてもらう」傲慢に命令する池上に無理矢理抱かれてしまった玲人。仕事だけでなくプライベートでも束縛されて…。
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池上芳典(いけがみよしのり・32歳)×久住玲人(くずみれいじ・28歳)


8年前一人旅のロンドンで知り合あった一人の男と会ったとたん惹かれあいその日のうちに彼の部屋で身体を重ね、三日間一緒に過ごしながら名前も聞かずに部屋を飛び出してしまった玲人。
忘れられずにいた彼とそっくりの男が、玲人の勤める建築会社に専務として赴任してきます。面影はそっくりなのに髪の色と目の色だけが記憶の男とは違う池上芳典。赴任早々、玲人は彼の専属秘書に異動させられてしまい顔をつき合わせ仕事をすることになるのですが、芳典の態度は強引で傲慢で玲人を苛立たせます。
しかも初日にいきなりキスをされ、「秘書として私のホテルの部屋に一緒に泊るように」と言われてしまいます。ホテルに寝泊りするようになったその晩から身体を弄ばれてしまう玲人。しかし、芳典に見え隠れする8年前の彼の面影に、玲人は戸惑います。
“芳典は8年前の彼なのだろうか” 
疑惑は確信に変わっても、あのときの出来事について芳典はひとことも言わず…。

再会モノです。髪と瞳の色が違っていても8年前の男が池上芳典であるのは最初から疑いようがありません。この二人は8年前出会ったときから惹かれあっていたのに、お互いに相手の心を読み間違っている。

8年前に知り合ったとき、芳典はバーでたった一人で酒を呑む玲人のクールな美貌に、どことなく遊びなれた「世界に倦んだ退屈な王子」という印象を抱き一目で惹かれます。
実際の玲人は、言葉の通じない一人きりの外国に疲れ呆然としていただけで遊びなれているどころではない不器用な男なのですが外見からはそう見えないんですね。会話の中で自分が誤解されているのは玲人にもわかりましたが、玲人の目に映った芳典はとても魅力的で、やはりひと目で芳典に惹かれた玲人は、芳典がそう思って声をかけてきたのなら、彼好みの「慣れた男」を演じようと見栄を張ってしまいます。彼の好みが遊びなれた男で、ただのアバンチュールを求めているのなら、自分もそういうふりをしよう、と考えてしまったんですね。
芳典のことをそう思ったのは玲人の読み間違いなのですが、その態度がますます芳典の「玲人像」を誤解させていきます。
お互いに誤解したまま甘い三日間を過ごした二人ですが、玲人は芳典に本気で惹かれ始めている自分が怖くなります。自分は芳典が求めている気楽なつきあいはできないし、何のとりえもないただの学生で、このまま一緒にいれば自分の嘘がばれてしまう。そうすれば芳典の好みのタイプではないことがわかってしまうだろう。まして「ひとときの恋」を求められているのなら、自分が真剣に芳典を好きになっても想いは叶うはずがないと思い込む。そして、黙って芳典の部屋を飛び出してしまうんですね。
芳典の方はもちろん最初からひと目ぼれで真剣に玲人を想っていたのですが、玲人に対して間違ったイメージを抱いているから「旅先のアバンチュール」に飽きて玲人が自分を捨てていったと考え、傷つく。

8年経って偶然の再会を果たすものの、相手のイメージは二人とも8年前のままです。お互いに「遊びなれた」男だと思っている。
玲人は芳典には仕事より遊びを優先する相変わらず倦んだ王子に見えるし、芳典は玲人には8年前と同じように遊び相手として自分を見ているように思えます。芳典は腹立ちと愛情の板ばさみで辛く当たったり優しく接したり、玲人も芳典が忘れられない過去の男かもしれないと思いながら、何も言わない芳典に翻弄されてしまいます。

玲人は外見はクールで我知らず他人を傅かせる…らしいですが、その内面や、静電気体質で電化製品を次々に壊す、甘党で机の引き出しにチョコレートを常備など、結構可愛らしく不器用な美人さんという感じです。
芳典はそんなに年が離れていませんが、「セクハラ上司」と玲人が呼ぶせいかなんとなくオヤジの香りが…(^^ゞ でも不遜な態度でも時々可愛らしいことを言うし、玲人の身体に触れても最後まではしないなど玲人を想う優しさや臆病さなども垣間見えてステキでした。

視点は玲人側ですが芳典の態度も大変わかりやすいので、お互いの誤解がどんどん開いていくのがよくわかりとてもじれったいです。お互い相手に聞けばすむと思うんですけど、「なんでそっちは何も聞かないんだ」「覚えていないのか?」と考えてどうしても聞けないというのもなんとなくわかります。
誤解と擦れ違いの恋のお話でしたが、ストーリーもきちんとまとまっていて、なかなか面白く読みました。
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