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聖夜
聖夜
posted with 簡単リンクくん at 2005.12.11
榎田 尤利著
笠倉出版社 (2002.12)
通常1-3週間以内に発送します。
イラスト/山田ユギ(クロスノベルス)

17歳の時に別れて以来音信普通だった親友・アマチとの再会は、シマが胸中に封印した恋心をたやすく揺さぶり起こした。
恋を無自覚なまま何度も抱き合った記憶は10年を経ても鮮やかに存在し、会わなかった期間を取り戻したいというシマの想いは日に日に高まっていく。
しかし既にお互い別の相手と人生を歩み始めていた二人には捨てきれないものも多くあって―。
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シマ(縞岡・しまおか)×アマチ(森下那智・旧姓/雨宮那智あまみやなち)

第一部「聖夜」
第二部「青い鳥」
第三部「楽園」の三編で構成されています。

第一部はネットで公開されたもの、他は書き下ろしです。
2002.12月発行と古いですがいいお話だったのでご紹介します。
時期もちょうどいいし。(実はこの時期を待っていた)
主人公のシマとアマチの17歳から37歳までの切ない恋のお話です。

第一部「聖夜」はシマの一人称で、舞台は北海道。17歳のときの二人、アマチの両親の離婚・東京への引越しによる別れ、そして10年後東京での27歳の二人の再会と二度目の別れのお話です。
第二部「青い鳥」はアマチの一人称で、第一部と同じ出来事が語られ、そしてシマと二度目の別れを迎えたあとの恋人との生活、そして訪れる恋人との別れ、ひとりになったアマチが故郷の北海道に帰るまで、のお話。
第三部「楽園」は更に10年後、37歳になった二人がようやく結ばれるまで。という構成になっています。

17歳のとき恋とは自覚しないままに触れ合った二人ですがアマチはそのころから自分の気持ちを恋だと認識しています。そして遅ればせながら10年後、アマチと再会したシマはその瞬間、自分の想いが恋だったことに気づきます。
10年経った今もアマチの本当に好きな人はシマで、シマも、17歳の時もこの10年間の間も自分の心にあったのはアマチへの想いだったことに気づく。
ところが離れていた間は長く、現在アマチには恋人(男)がいて、シマには婚約者がいる。
こういう場合、たとえば婚約者には別の想い人がいるとか、恋人が修羅場を演じてしまうとかして障害は取り除かれるパターンが多いのですが、このお話はそうなりません。二人はお互いを選ばない。愛し合ってるのに、「愛してる」と告げながら別れを選びます。
どうしてとここで説明するのは一口には難しい。読めば切ない想いはひしひしと伝わってきますが、誰かを傷つけて幸せになることを望まない、一口で言えばそういうこと。もちろんもっと深い想いがあるんですけどね。
そして離れ離れになったあとアマチは恋人と生活し、シマは結婚し娘が産まれます。彼らは自分の想いを隠してそれぞれの道を歩んだわけですが、では選んだ生活は偽りなのかと言えばそうではない。シマもアマチも選んだ道を真摯に大切にしています。心を別の場所に置き去りにするのではなく、目の前の相手にきちんと向き合って生きていこうとしている。そしてそれぞれが一生懸命に送った10年の結果、アマチと恋人には別れが訪れ、シマは妻と離婚することになります。それはもう…運命としか言いようがありませんよね。

そして37歳にしてやっと結ばれるのはやはり運命でしょう。
第三部はシマの視点から。
離婚し、再婚した妻、娘は幸せになり、一人となったシマは街で偶然アマチの恋人に出会います。アマチと別れたという言葉を聞いて、アマチを今度こそ追いかけることを決心するシマ。
“たたんでいた羽をやっと広げられる。もう誰にも遠慮することなくどこにでも飛んで行ける”というシマの言葉は、シマの想いがアマチに向かって解き放たれていくような、シマの想いの全てを感じる印象に残る言葉でした。
北海道、東京ときてラストの舞台は沖縄です。
27歳のときアマチが夢に描いたシマとの二人の家は「沖縄の家」でした。ひとりになって沖縄に向かったアマチの想い。そしてそこで追いかけてきてくれたシマと再び再会します。

もちろん20年は長く、読者としては切ない二人が可哀相という思いもあります。
でも読後にはそれぞれがそれぞれの道を歩んできた結果、道の先がお互いに続いていたんだと、そう思える。運命や、月日を経たからこその重みというか、想いの深さを感じます。笑うシマの目許に浮かぶシワとか頬にできた薄っすらとしたシミさ愛しく想うアマチの想いがホントによくわかります。彼らの選んできた道に間違いも後悔も入り込む余地はないですよね。様々なものを背負ってきちんと生きてきたからこそ誰に恥じることもなく向き合うことができるんだなと思います。

実は第一部の冒頭からグッときて泣きそうになりました。
二度目の別れもジワッときた。
読後はホ~ッと深いためいきがでるような感じでした。
長い長い切ない恋物語でしたが、いやいや大変いいお話でした。
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