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愛にふれさせてくれ
夜光 花 / ひたき 画
竹書房 (2005.12)
通常2-3日以内に発送します。
イラスト/ひたき(ラヴァーズ文庫)

ある事件が元で両目の視力を失った瀬尾裕也は手術後、事故の後遺症に悩まされていた。そんな裕也の姿を見た恋人で刑事の竜治は、同じ事件現場に居合わせながら裕也を守れなかったことをひどく後悔していた。
学生の頃から凶暴で危険な破壊願望をもつ竜治は、裕也以外は何がどうなってもいいという程裕也に執着している。そんな竜治に目をつけたヤクザ・笹来が竜治に揺さぶりをかけ、やがて裕也の存在を知った笹来は裕也を捉え竜治を意のままにしようと狙いをつける…!
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久世竜治(くぜりゅうじ)×瀬尾裕也(せおゆうや)

昨日紹介した「灼熱を呼べ」の続編です。
あとがきにはこれだけで読めるように書いたとあり確かに大丈夫ですが、そうは言っても個人的にはやはり「灼熱」から読まれる方がいいように思います。

今回はいろいろなことが同時に起きてかなり複雑な展開でした。
前作で起きた事件で両目に怪我を負い視力を失った裕也ですが、アメリカでの移植手術も成功し視力を取り戻します。
アメリカにいた際、見知らぬ老人から一通の封書を手渡され「川辺に渡してくれ」と頼まれる裕也。川辺なる人物に覚えのない裕也でしたが、封書を手渡した老人はその直後車の前に飛び出して死亡してしまいます。封書を携えて日本に帰国した裕也は、どうしても気になるその封書を「川辺」という人物を探し出して渡そうと決心します。
竜治との関係はとりあえずは穏やかに過ぎていますが、竜治が伯父の恋人だったバーの店長に裕也を紹介したことから二人の間に少しずつズレが生じ始めます。竜治と体の関係があったことを仄めかす店長に、裕也は自分でも抑えきれない嫌悪感を抱きます。裕也はとても神経質で過度に潔癖症な部分があり、それが竜治の過去への嫉妬に拍車をかけてしまいます。
そして裕也は竜治を遠ざけてしまうのですが、そんな時裕也の知らないところで竜治はヤクザの笹来(ささらい)に目をつけられ、仲間になるようにとしつこく誘われます。
やがて笹来は裕也の存在が竜治にとってどんなに大きなものかを知りそれを利用することを思いつき、裕也の身辺にまで危険が及びます。

複雑でハラハラするような展開は一瞬も気が抜けないような感じでありました。
裕也や竜治はもちろん、ヤクザの笹来の粘着質な恐ろしさや笹来に裕也の存在を明かしてしまうバーの店長・光の想い、そして竜治の父、裕也の探す「川辺」など、皆心に傷や闇を隠しているひとたちばかりで、今作もまたヘビーでした。

竜治の心の闇は取り除かれたわけではないですが、それでも今回は多少微笑ましく思えるシーンなども冒頭には出てきます。続編では裕也の心にスポットを当てて、角膜を移植したことの拒絶反応への脅え、爆発事件で引き起こされてしまったPTSD、竜治の過去への嫉妬、竜治が感じる責任への反発など、裕也の揺れる気持ちがメインとなっています。同時に、竜治を文字通り闇の世界に引き込もうとする笹来、裕也に延びる魔の手、竜治はいったいどうするのか、とハラハラしてしまいました。

前作の感想でも書きましたが裕也の存在はやはり竜治にとって明るい世界に引き止めてくれるもので、本当にそれ以外のものは竜治にとっては何の価値もないものなのを今回も強く感じました。だからこそとても危うい竜治であり、裕也が竜治を拒否するということは、すぐに竜治の転落に直結してしまいそうなので、裕也が揺れれば揺れるほど、読んでる方も心配になってしまいます。
事故の後遺症や再度の失明の恐怖、嫉妬に苦しむ裕也ですが、裕也は竜治にとって自分がどれほど大きな存在であるのかを改めて知り、そのために強くなり竜治を守りたいと思うんですね。自分は弱い、弱い自分はきらいだと裕也は言いますが、竜治を守りたいと願う気持ちが裕也自身をとても強くしてくれるし、実際は自分が思うよりずっと強いんだと思います。笹来に囚われ銃口を向けられた裕也の言葉が誰よりも強い裕也を表していて、もの凄く「かっこいい」です。

行方のわからない「川辺」という人物のエピソードがどう関わってくるのかと思っていたんですが、このエピソードの必要性がイマイチわかりませんでした。竜治の父へ結びつけ、その卑劣さに憤る裕也が竜治への愛情を深めるのはわかるんですが、それだけならこんなに手の込んだ話にしなくても…とちょっと思いました。本筋とは離れたところにあるサイドストーリーとも言えるもので、なんとなく流れを遮られてしまうような感じがしました。
それからラストなんですが、心から安堵するわけにはいかないじゃないですか、これじゃあ(^^ゞ ラストシーンは外を歩く竜治の携帯に電話をかけてきた裕也と歩きながら会話をするところなんですが、一緒に住むことを提案した竜治に裕也はそれを快くと言っていいほどすぐに承諾します。そして竜治に今から行ってもいいか?と訪ねる。
会話だけならハッピーエンドなんです。
ところがこの電話を受けている竜治の状態が実はとんでもない状態なのでした。
心配でその後が気になってしかたありません。
もちろん大事に至らず、一緒に暮らす二人の門出のシーンだと信じておりますよ。だけど「帰るから。絶対に帰るから。」という竜治のつぶやきが頭から離れません。竜治の想いが胸に迫まってきて、こういう余韻の残るラストは好きでありますが、これにはちょっと「ここで終わりかよ?!」と思ってしまいました。無粋かもしれないですけどね(^^ゞ

何にせよ前作も今作も心に残るお話でした。
竜治に惚れちゃいました(笑)
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