イラスト/山田睦月(ディアプラス文庫)
宇宙の果てはどうなっている―?
課外授業で訪れたプラネタリウムで生徒に無茶な質問をされて困っていた葉月は、自称宇宙マニアの飛島に助けられる。
その彼が臨時教員として同じ寮に越してきた。
軽い調子で口説かれ反発する葉月だが、彼の大らかさに次第に惹かれていく。だが、失恋以来自分に自信が持てずにいた葉月は、次の恋に踏み出すことができず…。
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飛島漣(とびしまれん・25歳)×麻井葉月(あさいはづき・22歳)
「愛は冷蔵庫の中で」雑誌掲載
「A piece of cake!」書き下ろし
「いちばん好きなもの」書き下ろし の三編収録されています。
『階段の途中で彼が待ってる』のリンク作品。
そちらでは当て馬的存在だった飛島のお話です。
前作カップルも登場しますが、気にせずにこれだけでも読めると思います。
葉月は恋をしたときに、ちょっとした癖のようなものがあります。
好きになった人に同調し全て合わせてしまう、好きになった人の好きなものが自分の好きなものになってしまうという聞いただけでは可愛らしいクセですが、葉月はそれのせいで悩んでいます。
葉月は現在小学校の新米教師ですが、それはつきあっていた彼が教員だったためにそれに合わせるようにして選んだ道。ところがその彼から別れを告げられてしまい、失恋してひとりになった葉月に残った「教員」という仕事は、葉月にとっては何の意味もないものとなってしまったからです。
同じ付属の高校の寮に住み、一応真面目に仕事をしてはいるものの、頭の中では今の学年が終わった1年後の転職と引越しを考える日々。そんなとき、クラスの引率で行ったプラネタリウムで飛島と出会います。
「宇宙の果てはどうなってるの?」子供ならではの無茶で深遠な質問に口ごもる葉月を助けてくれたのが飛島でした。一辺に子供たちの注目を集める飛島に、何故か羨望と嫉妬を覚える葉月。そして軽々しくナンパをしてきた飛島に、葉月は反発を覚えます。
ところが数日後、葉月の暮らす寮に飛島が現れます。怪我をした高校教師の代わりに1ヶ月の臨時教員として雇われたのが飛島で、それから飛島も共に寮で暮らすことになります。
そして心では反発しながらも、やがて葉月は次第に飛島に惹かれていきます。
どことなく口が上手くて軽い雰囲気の漂う飛島ですが、ただの軽薄男ではないことはすぐに伝わってきましたし、冗談のようにして誘う言葉も真面目であることはよくわかります。ですから相手(飛島)の想いがどうかというより、いつ葉月が自分の思いを認めて踏み出すのかな、という視線で読むことになりました。
仕事に前向きになれない、自分の恋の仕方にも自信が持てない葉月は、飛島への想いを認めることができません。それを少しずつ解していく飛島は確かに一見軽くて飄々としていますが、強引でグイグイ押すタイプではなく暖かく見守って時にはさりげなく元気づけて励ましてくれるという感じで、読んでいてとても安心感を感じるタイプでした。
迷いに迷う葉月の気持ちも丁寧に書かれているのでよく伝わってきます。
飛島だけではなくて、葉月は一緒に寮に住む高校生達にも凄く暖かい目で見守られていて、全体的にとても優しい雰囲気のお話でした。出てくる人がみんな良い人で優しいんですよね。
書き下ろしの二編はその後の二人。
一緒に住みたいという飛島と、やはりそれに踏み出せない葉月。
葉月は同棲してそして失敗に終わってしまった恋と、相手に何もかもを合わせてしまう自分の恋の仕方にやはり不安を感じています。
飛島の重荷にならないように、飛島と対等になれるようにと仕事に無理をする葉月。一生懸命で、そして不器用にグルグル悩む葉月ですが、やはり周りの視線は飛島を含めどれも暖かく、ちょっと葉月の成長物語のような感じもしましたね。
飛島の方もやはり不安はあるわけですが、自分のそういう部分は全て押し隠して接する飛島が、とてもステキでありました。「寂しがりやの飛島」はなんだかツボにキちゃいましたね。
ついでに書いておきますとHシーンもありますが、あくまで綺麗な描写となっております。
「愛は冷蔵庫の中で」…なんで冷蔵庫?と思いましたが、読むと意味がよくわかります。
ホントに冷蔵庫の中には愛がたくさんたくさん入っておりました。
優しいお話を読みたいかたによろしいかと思います。
飛島漣(とびしまれん・25歳)×麻井葉月(あさいはづき・22歳)
「愛は冷蔵庫の中で」雑誌掲載
「A piece of cake!」書き下ろし
「いちばん好きなもの」書き下ろし の三編収録されています。
『階段の途中で彼が待ってる』のリンク作品。
そちらでは当て馬的存在だった飛島のお話です。
前作カップルも登場しますが、気にせずにこれだけでも読めると思います。
葉月は恋をしたときに、ちょっとした癖のようなものがあります。
好きになった人に同調し全て合わせてしまう、好きになった人の好きなものが自分の好きなものになってしまうという聞いただけでは可愛らしいクセですが、葉月はそれのせいで悩んでいます。
葉月は現在小学校の新米教師ですが、それはつきあっていた彼が教員だったためにそれに合わせるようにして選んだ道。ところがその彼から別れを告げられてしまい、失恋してひとりになった葉月に残った「教員」という仕事は、葉月にとっては何の意味もないものとなってしまったからです。
同じ付属の高校の寮に住み、一応真面目に仕事をしてはいるものの、頭の中では今の学年が終わった1年後の転職と引越しを考える日々。そんなとき、クラスの引率で行ったプラネタリウムで飛島と出会います。
「宇宙の果てはどうなってるの?」子供ならではの無茶で深遠な質問に口ごもる葉月を助けてくれたのが飛島でした。一辺に子供たちの注目を集める飛島に、何故か羨望と嫉妬を覚える葉月。そして軽々しくナンパをしてきた飛島に、葉月は反発を覚えます。
ところが数日後、葉月の暮らす寮に飛島が現れます。怪我をした高校教師の代わりに1ヶ月の臨時教員として雇われたのが飛島で、それから飛島も共に寮で暮らすことになります。
そして心では反発しながらも、やがて葉月は次第に飛島に惹かれていきます。
どことなく口が上手くて軽い雰囲気の漂う飛島ですが、ただの軽薄男ではないことはすぐに伝わってきましたし、冗談のようにして誘う言葉も真面目であることはよくわかります。ですから相手(飛島)の想いがどうかというより、いつ葉月が自分の思いを認めて踏み出すのかな、という視線で読むことになりました。
仕事に前向きになれない、自分の恋の仕方にも自信が持てない葉月は、飛島への想いを認めることができません。それを少しずつ解していく飛島は確かに一見軽くて飄々としていますが、強引でグイグイ押すタイプではなく暖かく見守って時にはさりげなく元気づけて励ましてくれるという感じで、読んでいてとても安心感を感じるタイプでした。
迷いに迷う葉月の気持ちも丁寧に書かれているのでよく伝わってきます。
飛島だけではなくて、葉月は一緒に寮に住む高校生達にも凄く暖かい目で見守られていて、全体的にとても優しい雰囲気のお話でした。出てくる人がみんな良い人で優しいんですよね。
書き下ろしの二編はその後の二人。
一緒に住みたいという飛島と、やはりそれに踏み出せない葉月。
葉月は同棲してそして失敗に終わってしまった恋と、相手に何もかもを合わせてしまう自分の恋の仕方にやはり不安を感じています。
飛島の重荷にならないように、飛島と対等になれるようにと仕事に無理をする葉月。一生懸命で、そして不器用にグルグル悩む葉月ですが、やはり周りの視線は飛島を含めどれも暖かく、ちょっと葉月の成長物語のような感じもしましたね。
飛島の方もやはり不安はあるわけですが、自分のそういう部分は全て押し隠して接する飛島が、とてもステキでありました。「寂しがりやの飛島」はなんだかツボにキちゃいましたね。
ついでに書いておきますとHシーンもありますが、あくまで綺麗な描写となっております。
「愛は冷蔵庫の中で」…なんで冷蔵庫?と思いましたが、読むと意味がよくわかります。
ホントに冷蔵庫の中には愛がたくさんたくさん入っておりました。
優しいお話を読みたいかたによろしいかと思います。
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