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風の吹き抜ける場所へ
榊 花月著
新書館 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/明森びびか(ディアプラス文庫)

兄の死、自らの怪我、留年。
一年前の事故以来、家にも学校にも居場所がなくなり鬱屈を抱えていた航。そんな彼の前に、ある日女装の天使が舞い降りた。
航の登校を喜び、明るく懐く同級生・彩夏は、転入以来女装で通し、今やこの男子校の人気者らしい。一見何の屈託もなさそうな彩夏のそばで再び息をつけるようになった航は、いつしか彼に惹かれている自分に気づくが…?
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綾瀬航(あやせこう・19歳)×西森彩夏(にしもりさいか・18歳)
高校3年生同士。

「風の吹き抜ける場所へ」雑誌掲載
「幸福な結末」書き下ろし の二編収録されています。

「風の吹き抜ける場所へ」は航側の視点から、彩夏との出会いと二人が恋人同士になるまでが語られています。
一年前の交通事故で兄を亡くし自分も大怪我をして登校できなくなり、そのために留年してしまった航。明るく優秀で人気者だった兄の死は家庭にも影を落し、母からは笑顔が消え、航は母の悲しみによるヒステリーの受け口となっていました。
兄が生き、自分が死ねば良かったとの思いにさえかられる航。家庭に航の居場所はなく、留年してしまった高校では年下の同級生になじめず、ほとんど不登校となっていました。
そんなある日、重い足を引きづり登校した学校で、航の目の前に校舎の二階から人が飛び降りてきます。驚く航ですが、もっと驚いたのは飛び降りてきた生徒がセーラー服を着ていたこと。学校は男子校であり、その生徒は男子でありながら女装していることに気づいた航は言葉を失います。
それが夏休みの直前転入してきたという西森彩夏との出会いでした。
その日から、彩夏は航に懐き、しょっちゅう航と行動を供にするようになります。あっけらかんとして無邪気で明るい彩夏はいつも女の子の格好をしているものの、学校ではそのまま受け入れられ、かなりの人気者。彩夏のそばにいることによって航も少しずつ同級生たちに受け入れられていきます。
そして彩夏の明るさに航の心は和み、だんだんと彩夏に惹かれていきます。

彩夏が女装してるのには勿論訳があります。
端的に言えば、姉の夫、義兄に恋をして、義兄に愛される立場の「姉」になりたいという思いが彩夏に女装をさせた、ということです。
彩夏は自分の想いを義兄に打ち明け、驚いてビビッてしまった義兄が姉にそれを話し、姉は両親に話したため家庭争議となり、彩夏は「島流し」となって東京から一人、転校してきました。
彩夏は、女装した自分を初めて見たときに、奇異な目で見ることのなかった航に初めから惹かれています。(真実は驚いて声も出なかっただけ、ですが)
航は事故によって家庭に居場所を失くし、彩夏は義兄への恋によって家にいることができなくなりました。性格は明るく無邪気な彩夏に対して、航はどちらかというと寡黙でテンションの低いタイプ。正反対の二人ですが、「居場所」がないという点は共通しています。
だからと言ってお互いの傷を慰めあっていくというのではなく、日常の中で何気なく日々を一緒に過ごすうちに、だんだんとお互いがお互いにとって安心できる場所になっていく、という感じです。お話の展開も特に大きな変化があるわけではなくて、どちらかというと日々を追った静かな雰囲気でした。

「幸福な結末」は彩夏側の視点から、恋人同士になったその後の二人のお話です。初めてのHをするまで、ですね。
好きだからそうなりたいと想う彩夏に対して、手を出そうとしない航。こちらも日常に絡めて展開しており、彩夏も何も考えていないわけではないけれど、そうつきつめて考えるタイプでもないようなので、割と淡々とした展開でした。
お互い初めてのラストのHシーンは可愛らしくて良かったですね。
「風の吹き抜ける場所」というのは、お互いが隣にいる場所、ということなのかな。行き場を失くして留まっていた二人がお互い傍にいることによって暖かく開けた場所に出る、そんな気持ちのいい居場所を見つけたということなんだろうなと思います。

それにしても「女装」は必要だったんでしょうか。
ちょっと変わった子というイメージは沸きますが、彩夏のキャラにそこまで必要だったかどうかはよくわかりません。
義兄への恋と姉になりたいという願望の象徴としてなら、「変わった思考だけどそうなのか」ととりあえず受け入れておくけれど、航とつきあうようになったあとの女装はただの趣味ですよね(笑)
個人的には、その時点ですっぱりやめてただの「明るく元気で前向きな男の子」に戻って欲しかったですねー。
“変わった男の子”ということでそんなんもアリかということにしても、キャラとして好きかどうかということになると微妙です。
性同一性障害の女の子が出てくるので、「女→男」「男→女(女装)」について何か深遠な作者様の意図があるのかと深読みしてみましたが、残念ながら私にはその辺全然読み取ることはできませんでしたので、ホントのとこはわかりません(^^ゞ
でも全体に流れる雰囲気はそう嫌いなお話ではありませんでしたよ。
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