イラスト/実相寺紫子(リーフノベルス)
恋人になって5年、強引で身勝手、けれど自分にない強さを持つ男・長尾を愛し続けている近石。だが彼に愛されている自信を失いかけていた。
そんなある日、会社の後輩・遠野に男の恋人がいることを知る。同じ境遇ながら、優しく恋人を語る遠野に近石の心は乱れる。自分は本当に愛されているのかと。不安を押し隠し遠野たちの相談に乗る近石だったが、遠野と二人で部屋にいるところを長尾に誤解されて…!?
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長尾晃(ながおあきら・26歳)×近石大和(ちかいしやまと・26歳)
高校時代。口も上手くないし、勉強はできるけれど運動は得意ではないし、いつも一人でいることが多く人に流されることの多かった目立たない近石。対して長尾は生徒会長でいつも周りに人がいて、リーダー的な、目立つ存在でした。遠くから長尾に憧れ恋心を抱いて見つめるだけだったのですが、ひょんなことから大学受験の勉強を一緒にすることになり、やがて二人は同じ大学に進学します。そして大学3年のとき、長尾に「好きだ」と言われ、二人は恋人としてつきあいはじめます。
長尾は強引でぶっきら棒で身勝手で、優しい言葉の一つもかけてくれるわけではありませんでしたが、それから5年、就職先は別になったものの二人の仲は続き、近石は自分に手が届くとは夢にも思わなかった遠野の傍にいられたことに、喜びを感じていました。
ところが最近は「時間がない」と言って近石を抱いたあとはさっさと帰ってしまう長尾に近石は寂しさを感じはじめます。始めはつきあうことが出来ただけで嬉しかったのに、もっと傍にいてほしい、一緒の時間を過ごしたいと欲が出始めたのです。ですが、面倒なことを言って長尾に嫌われることが怖い近石は、長尾に何ひとつ甘えることも我儘を言うこともできず、ただ長尾の言うことを聞き、彼が忙しい合間に訪ねてくれる約束の日を楽しみに待つだけでした。
そんなとき後輩の遠野(とおの)から、彼が男とつきあっていて、親元の反対に合い家を二人で飛び出してきたという話を聞きます。恋人のことを優しく語り、想いあっている二人の恋人同士の話を聞く内に、近石は自分と長尾のつきあいとのあまりの違いに、自分達の関係に疑問を持ち始めます。自分は長尾にとって何なのか。都合のいい性欲処理のための道具なのではないだろうか。そして偶然会った先輩の古谷(ふるや)から、長尾はそれほど忙しくない、モデルとデートしている、そして上司の娘との見合い話が持ち上がっているということを知らされます。
長尾が自分をどう思っているのか、聞きたくても長尾に「嫌い」と言われつきあいが終わってしまうことが怖くて聞くことができない近石。悩んだ近石はとうとう貧血で倒れてしまうのですが、家にお見舞いに来た遠野の前で着替えをしている最中に訪ねてきた長尾が、近石と遠野の関係を疑い、遠野が帰ったあと長尾は無理に近石を抱いたあげく、別れの言葉を残して去ってしまいます。
遠野と恋人の谷垣(たにがき)カップルのお話を絡めて展開していきます。
二人は親に関係を大反対され、家を飛び出したものの行方が見つかれば連れ戻されてしまいます。近石は二人の相談に乗ってやりながら、同じ男同士という境遇である二人に自分もまた長尾との関係を相談して、励まされていきます。
そして長尾が好きで、長尾に捨てられることが怖くて自分からは何も言えず、ただ長尾に嫌われないようにとそれだけを考えてきた近石は、やっと自分から長尾に本心を伝えようと決心します。
長尾は「強引、傲慢、無愛想、身勝手、我儘」なのですが、実は私はいつもあとがきを先に読んでしまうので、長尾が本当はどういう人物なのか、それ以外のイメージも持っていました。そうでなかったら、凄く意地悪でひどい男だと思ったでしょう。
長尾の言いなりになっている、ちょっとウジウジした近石ですが、どうして近石が長尾に対して何も言えない控えめな態度になってしまっているのかは凄くよく伝わってくるので、イライラするようなことは全然ありませんでした。むしろ切なくてちょっと泣けそうな部分もあったりして。
でもラストの近石と長尾の想いを読むと、意外と長尾の方がキツかったんじゃないでしょうか。
近石は憧れていた長尾と恋人になれて、彼の傍にいられることが無条件で幸せだった時期もあったわけです。長尾に自分の方が合わせることに何の無理も感じていなかったんですが、でも長尾は、近石がいつも自分に我儘ひとつ言ったことがなく、何をしても怒らずただ自分の言いなりになっていることに、「もしかすると一生懸命なのは自分だけで、近石は怖がって何も言えず流されているだけなのでは?」と感じていたんですよね。優しくしたいと思っているのに、そんな近石を見るとイライラして意地悪に当たってしまう…なんて。すごく可愛いじゃありませんか。
5年もつきあったのにお互いがちゃんと見えていなかったんですね。恋とはホントに一人でするものではないんですね~。
長尾のことが好きで、強引な長尾に求められる幸せにどっぷり浸かっていて、肝心な「好き」の言葉を一度も長尾に言ったことがなかった近石。長尾だって近石の想いがわからないから不安で苛立っていたんですよね。近石は優しいから自分に流されているだけだと考えて。
長尾の告白を読むまではホントにひどい嫌な男に思えますが、彼の本心を知ると、長尾のこともきっと好きになれます。すごくいいヤツだし、彼の本心を知ると、その傲慢なセリフも可愛く聞こえるから不思議です。
遠野&谷垣のカップルもなかなか楽しめる脇役です。
遠野がワンコなんですよね~。ワンコ気になります。
長尾晃(ながおあきら・26歳)×近石大和(ちかいしやまと・26歳)
高校時代。口も上手くないし、勉強はできるけれど運動は得意ではないし、いつも一人でいることが多く人に流されることの多かった目立たない近石。対して長尾は生徒会長でいつも周りに人がいて、リーダー的な、目立つ存在でした。遠くから長尾に憧れ恋心を抱いて見つめるだけだったのですが、ひょんなことから大学受験の勉強を一緒にすることになり、やがて二人は同じ大学に進学します。そして大学3年のとき、長尾に「好きだ」と言われ、二人は恋人としてつきあいはじめます。
長尾は強引でぶっきら棒で身勝手で、優しい言葉の一つもかけてくれるわけではありませんでしたが、それから5年、就職先は別になったものの二人の仲は続き、近石は自分に手が届くとは夢にも思わなかった遠野の傍にいられたことに、喜びを感じていました。
ところが最近は「時間がない」と言って近石を抱いたあとはさっさと帰ってしまう長尾に近石は寂しさを感じはじめます。始めはつきあうことが出来ただけで嬉しかったのに、もっと傍にいてほしい、一緒の時間を過ごしたいと欲が出始めたのです。ですが、面倒なことを言って長尾に嫌われることが怖い近石は、長尾に何ひとつ甘えることも我儘を言うこともできず、ただ長尾の言うことを聞き、彼が忙しい合間に訪ねてくれる約束の日を楽しみに待つだけでした。
そんなとき後輩の遠野(とおの)から、彼が男とつきあっていて、親元の反対に合い家を二人で飛び出してきたという話を聞きます。恋人のことを優しく語り、想いあっている二人の恋人同士の話を聞く内に、近石は自分と長尾のつきあいとのあまりの違いに、自分達の関係に疑問を持ち始めます。自分は長尾にとって何なのか。都合のいい性欲処理のための道具なのではないだろうか。そして偶然会った先輩の古谷(ふるや)から、長尾はそれほど忙しくない、モデルとデートしている、そして上司の娘との見合い話が持ち上がっているということを知らされます。
長尾が自分をどう思っているのか、聞きたくても長尾に「嫌い」と言われつきあいが終わってしまうことが怖くて聞くことができない近石。悩んだ近石はとうとう貧血で倒れてしまうのですが、家にお見舞いに来た遠野の前で着替えをしている最中に訪ねてきた長尾が、近石と遠野の関係を疑い、遠野が帰ったあと長尾は無理に近石を抱いたあげく、別れの言葉を残して去ってしまいます。
遠野と恋人の谷垣(たにがき)カップルのお話を絡めて展開していきます。
二人は親に関係を大反対され、家を飛び出したものの行方が見つかれば連れ戻されてしまいます。近石は二人の相談に乗ってやりながら、同じ男同士という境遇である二人に自分もまた長尾との関係を相談して、励まされていきます。
そして長尾が好きで、長尾に捨てられることが怖くて自分からは何も言えず、ただ長尾に嫌われないようにとそれだけを考えてきた近石は、やっと自分から長尾に本心を伝えようと決心します。
長尾は「強引、傲慢、無愛想、身勝手、我儘」なのですが、実は私はいつもあとがきを先に読んでしまうので、長尾が本当はどういう人物なのか、それ以外のイメージも持っていました。そうでなかったら、凄く意地悪でひどい男だと思ったでしょう。
長尾の言いなりになっている、ちょっとウジウジした近石ですが、どうして近石が長尾に対して何も言えない控えめな態度になってしまっているのかは凄くよく伝わってくるので、イライラするようなことは全然ありませんでした。むしろ切なくてちょっと泣けそうな部分もあったりして。
でもラストの近石と長尾の想いを読むと、意外と長尾の方がキツかったんじゃないでしょうか。
近石は憧れていた長尾と恋人になれて、彼の傍にいられることが無条件で幸せだった時期もあったわけです。長尾に自分の方が合わせることに何の無理も感じていなかったんですが、でも長尾は、近石がいつも自分に我儘ひとつ言ったことがなく、何をしても怒らずただ自分の言いなりになっていることに、「もしかすると一生懸命なのは自分だけで、近石は怖がって何も言えず流されているだけなのでは?」と感じていたんですよね。優しくしたいと思っているのに、そんな近石を見るとイライラして意地悪に当たってしまう…なんて。すごく可愛いじゃありませんか。
5年もつきあったのにお互いがちゃんと見えていなかったんですね。恋とはホントに一人でするものではないんですね~。
長尾のことが好きで、強引な長尾に求められる幸せにどっぷり浸かっていて、肝心な「好き」の言葉を一度も長尾に言ったことがなかった近石。長尾だって近石の想いがわからないから不安で苛立っていたんですよね。近石は優しいから自分に流されているだけだと考えて。
長尾の告白を読むまではホントにひどい嫌な男に思えますが、彼の本心を知ると、長尾のこともきっと好きになれます。すごくいいヤツだし、彼の本心を知ると、その傲慢なセリフも可愛く聞こえるから不思議です。
遠野&谷垣のカップルもなかなか楽しめる脇役です。
遠野がワンコなんですよね~。ワンコ気になります。
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