巴 里(ダリア文庫)
両親を亡くし、悲しみに暮れる天之昴は星空の下で侯爵と呼ばれる謎の金髪の男と出会う。一目で彼に惹かれていった昴だが、実は彼は純血種の吸血鬼だった。
昴は侯爵の別荘に血液提供者として連れ去られ最初は戸惑うものの、次第に侯爵を愛しく思い始める。しかし侯爵は遠い過去に感情を捨ててきてしまっていて…。
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侯爵×天之昴(あまのすばる・24歳)
侯爵の年齢は(意味ないけれど)推定千歳は軽く越えていると思われます。
「月の秘密」「夜の秘密」に続く吸血鬼シリーズ第三弾です。
前作、前々作に登場の、巴、山神大地、真城、高瀬も登場しています。
巴、真城、高瀬は出来損ないの吸血鬼で、大地は狼男ですが、こちらに登場の「侯爵」は純血種の吸血鬼です。「出来損ない」は人から直接血を飲むことはできないのですが、純血種の吸血鬼は、生きている人間に噛み付いて血を摂取しています。そうは言っても手当たり次第に噛み付くわけではなく、人間の性質によって血にも良いものそうでないものがあるようで、侯爵は「提供者」と呼ばれるごく少数の選んだ人間を傍に置き、血液を提供させています。
そして素直で人を疑うことを知らない純真な性格で、両親を失い孤独となってしまった昴は、「提供者」としての血を期待されて、侯爵の屋敷へと連れて行かれます。
館には昴の他にも提供者がいます。
執事のような仕事をしているマービン、シェフのジュール、作曲家の埴原瑠灯(はいばらるとう)、そして隣接する研究所に「提供者」を引退し今は血液の研究をしている老人・赤根(せきね)が住んでいます。昴は埴原が40歳を過ぎたのを機に「提供者」を引退することになったため、代わりに連れてこられました。
「提供者」になる代わりに、侯爵は彼らの「時間を戻す」「死人を生き返らせる」という以外の願いを叶えてやります。それは「契約」の関係です。出て行く時には全ての記憶は消されるものの、血を提供したことによって受けた恩恵は全て残るのです。
両親が亡くなり一人きりになってしまった寂しさを抱えた昴が願ったのは「あなたがそばにいてくれたらいいのに」。
吸血鬼は人間から血を吸いやすくするために、近づこうとする人間から恐怖を取り除き大人しく従わせてしまうような特殊な能力を持っています。昴も初めて侯爵に出会ったとき、侯爵の能力に影響を受けている部分もあったのか、全く恐れを感じません。それどころか侯爵が意図した以上に侯爵に惹きつけられ、ほとんどひとめ惚れな感じです。侯爵への深い思慕、他の提供者たちへの嫉妬と、昴の気持ちは募りますが、侯爵は感情というものをほとんど残していません。
当然自分の想いは理解してもらえません。
でもそれで切ない、辛い、という雰囲気ではないんですよね。
もちろん侯爵に愛して欲しいという想いはあるものの、昴はもっと献身的で無償の愛に近いものを抱いています。一心に侯爵だけを見つめて想っていて、その想いが侯爵の死んでしまった心に多少の変化を及ぼしはしますが、劇的に変化するのは、「大地の血」によってです。
血液の研究をしていた赤根(せきね)が、実験的に昴へ大地の血液を輸血してしまい、昴の血液を吸った侯爵の身体に「狼族」の血が入ってしまう。吸血鬼は勃起しないためSexが出来ないのですが、「月」でも「夜」でもそして今回も、大地の血液は、そちら方面の手助けとなっているのが何だか面白いです。
感情を持たない吸血鬼を愛してしまった昴の切なさも語られているのに、当の侯爵の方に注目が行ってました。
最後には「大地の血」の手助けも借りてですが、昴の想いによって侯爵は「愛する心」を少しずつ思い出します。
「五百年を怒りのうちに生き、五百年を寂寞の中で過ごした。これからの五百年、いや、この魂が消えるまで、今度は愛することや優しさをもう一度学び直したい」という侯爵の言葉が印象に残っています。
昴はとりあえず大地の血液によって「狼族」に近い存在になってしまったのかもしれませんが、狼族の寿命は吸血鬼よりはずっと短く、いつか彼は侯爵と同じ道を選ぶ決意を固めているようです。
今回、登場人物が結構多く、もう一人、狼族の血を半分引いた花端拳二(はなはたけんじ)という青年も登場し、シェフのジュールとカップルになっている模様です。花端は格闘選手で、ラストではとりあえず「一時解雇」という形で格闘選手に戻っていますが、将来的には、出来損ない吸血鬼の真城、高瀬(「夜」の主役)とともに、吸血鬼達の施設警察のメンバーとなるのもありのようです。
剛さんの考える吸血鬼の世界もなんだか更に深くなり枝葉が広がったような感じがして、もしかしてこれはまだ次があるの?
「施設警察」…ちょっと事件がらみで読んでみたいですねぇ。
…そういえば、執事・アンソニーが出てなかったぞ!
ストーリーは別のものとは言え、吸血鬼(純血種、出来損ない種)、
狼族の血の仕組は三作に共通しており前作キャラも多少出演しております故、より理解が進むためには、やはり1作目からお読みになった方がよろしいかと思います。でないと、これは誰?どういう意味?とモヤッとしてしまうかも。
侯爵×天之昴(あまのすばる・24歳)
侯爵の年齢は(意味ないけれど)推定千歳は軽く越えていると思われます。
「月の秘密」「夜の秘密」に続く吸血鬼シリーズ第三弾です。
前作、前々作に登場の、巴、山神大地、真城、高瀬も登場しています。
巴、真城、高瀬は出来損ないの吸血鬼で、大地は狼男ですが、こちらに登場の「侯爵」は純血種の吸血鬼です。「出来損ない」は人から直接血を飲むことはできないのですが、純血種の吸血鬼は、生きている人間に噛み付いて血を摂取しています。そうは言っても手当たり次第に噛み付くわけではなく、人間の性質によって血にも良いものそうでないものがあるようで、侯爵は「提供者」と呼ばれるごく少数の選んだ人間を傍に置き、血液を提供させています。
そして素直で人を疑うことを知らない純真な性格で、両親を失い孤独となってしまった昴は、「提供者」としての血を期待されて、侯爵の屋敷へと連れて行かれます。
館には昴の他にも提供者がいます。
執事のような仕事をしているマービン、シェフのジュール、作曲家の埴原瑠灯(はいばらるとう)、そして隣接する研究所に「提供者」を引退し今は血液の研究をしている老人・赤根(せきね)が住んでいます。昴は埴原が40歳を過ぎたのを機に「提供者」を引退することになったため、代わりに連れてこられました。
「提供者」になる代わりに、侯爵は彼らの「時間を戻す」「死人を生き返らせる」という以外の願いを叶えてやります。それは「契約」の関係です。出て行く時には全ての記憶は消されるものの、血を提供したことによって受けた恩恵は全て残るのです。
両親が亡くなり一人きりになってしまった寂しさを抱えた昴が願ったのは「あなたがそばにいてくれたらいいのに」。
吸血鬼は人間から血を吸いやすくするために、近づこうとする人間から恐怖を取り除き大人しく従わせてしまうような特殊な能力を持っています。昴も初めて侯爵に出会ったとき、侯爵の能力に影響を受けている部分もあったのか、全く恐れを感じません。それどころか侯爵が意図した以上に侯爵に惹きつけられ、ほとんどひとめ惚れな感じです。侯爵への深い思慕、他の提供者たちへの嫉妬と、昴の気持ちは募りますが、侯爵は感情というものをほとんど残していません。
当然自分の想いは理解してもらえません。
でもそれで切ない、辛い、という雰囲気ではないんですよね。
もちろん侯爵に愛して欲しいという想いはあるものの、昴はもっと献身的で無償の愛に近いものを抱いています。一心に侯爵だけを見つめて想っていて、その想いが侯爵の死んでしまった心に多少の変化を及ぼしはしますが、劇的に変化するのは、「大地の血」によってです。
血液の研究をしていた赤根(せきね)が、実験的に昴へ大地の血液を輸血してしまい、昴の血液を吸った侯爵の身体に「狼族」の血が入ってしまう。吸血鬼は勃起しないためSexが出来ないのですが、「月」でも「夜」でもそして今回も、大地の血液は、そちら方面の手助けとなっているのが何だか面白いです。
感情を持たない吸血鬼を愛してしまった昴の切なさも語られているのに、当の侯爵の方に注目が行ってました。
最後には「大地の血」の手助けも借りてですが、昴の想いによって侯爵は「愛する心」を少しずつ思い出します。
「五百年を怒りのうちに生き、五百年を寂寞の中で過ごした。これからの五百年、いや、この魂が消えるまで、今度は愛することや優しさをもう一度学び直したい」という侯爵の言葉が印象に残っています。
昴はとりあえず大地の血液によって「狼族」に近い存在になってしまったのかもしれませんが、狼族の寿命は吸血鬼よりはずっと短く、いつか彼は侯爵と同じ道を選ぶ決意を固めているようです。
今回、登場人物が結構多く、もう一人、狼族の血を半分引いた花端拳二(はなはたけんじ)という青年も登場し、シェフのジュールとカップルになっている模様です。花端は格闘選手で、ラストではとりあえず「一時解雇」という形で格闘選手に戻っていますが、将来的には、出来損ない吸血鬼の真城、高瀬(「夜」の主役)とともに、吸血鬼達の施設警察のメンバーとなるのもありのようです。
剛さんの考える吸血鬼の世界もなんだか更に深くなり枝葉が広がったような感じがして、もしかしてこれはまだ次があるの?
「施設警察」…ちょっと事件がらみで読んでみたいですねぇ。
…そういえば、執事・アンソニーが出てなかったぞ!
ストーリーは別のものとは言え、吸血鬼(純血種、出来損ない種)、
狼族の血の仕組は三作に共通しており前作キャラも多少出演しております故、より理解が進むためには、やはり1作目からお読みになった方がよろしいかと思います。でないと、これは誰?どういう意味?とモヤッとしてしまうかも。
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