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オール・スマイル
榎田 尤利著
大洋図書 (2002.2)
通常2-3日以内に発送します。
イラスト/高橋悠(SHYノベルス)

吾妻と伊万里はつきあい始めて三年目。
だが、あまりに過保護が過ぎる伊万里に、吾妻は反発を感じていた。
そんなある日、伊万里が原因で吾妻が暴力を受け、大怪我をしてしまう。責任を感じた伊万里は、吾妻に別れを告げて…。
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伊万里敦彦(いまりあつひこ)×吾妻太陽(あづまたいよう)

吾妻&伊万里の最終回。

仕事では伊万里の方が誰が見ても上なのに加え、愛するが故の伊万里の過保護が二人の仲をこじらせてしまいます。
仕事に関しては「自分にできることを精一杯やろう」という吾妻にしては、らしくないような気もしますが、そんな風に考えていたろころへ伊万里の過保護が重なって、伊万里の心配はわかっていても吾妻は面白くない。
「守られるだけじゃいやだ」という吾妻。
伊万里の方も初めて好きになった吾妻にそれはもう夢中で、その愛し方も「綺麗にラッピングして飾っておきたい」という種類のものなので、歩き始めの我子を見る親のような気持ちかもしれない。でも吾妻はその愛し方は合わないタイプですからね。
「誰かにあとをつけられている」という話を伊万里にしたとたん、伊万里は吾妻に内緒でボディーガードを雇ってしまい、それが吾妻にバレて二人の仲はますます微妙に。
そしてボディーガードを解雇したとたん、吾妻は暴漢に襲われて大怪我をしてしまいます。
その暴漢というのが伊万里に関係ある男だとわかったことで、伊万里は吾妻以上に傷つき「これ以上吾妻が傷つくことが怖くてたまらない」と別れを切り出します。

吾妻は伊万里が責任を感じているのはわかっていて、それを慰めたくて、そして二人で一緒に今回のことを解決しようと思っていたのに、伊万里は逃げてしまうなんて。
三冊目では伊万里はますますヘタレで弱々しく、吾妻は傷ついてもあくまで強く前向きです。
カラーイラストで「初めてキスを受ける少女のように頬をそめて」吾妻のキスを受けたという伊万里を見て、「ああ、とうとうそこまでヘタレに…」と感慨深かったです(^^ゞ

恋はひとりでするものではないし守りたいという気持ちはどちらにも共通のものだと思います。
傷つけないために吾妻に別れを切り出した伊万里も、ラスト近くで伊万里に向けられたナイフの前に身を挺した吾妻も。
恋をするのにどちらが上で、とかいうことはないんですよね。
おたがいに守り、そして相手からも守られたい、二人が自然にそう思えるようになってお話は終わっています。

今回もまた大活躍だった王子沢。
王子沢が吾妻に気があるんだろうことは、吾妻以外は読者も含めて誰もが気づいているところ。
今回やっとそれが表に出てきますが、王子沢はあまりにいい人過ぎました。吾妻にキスして触れてまでおきながら、吾妻の心に伊万里がいることがわかっていて途中でやめてしまう。吾妻に振られても、吾妻が申し訳なさそうな顔をすることさえ許しません。自分に一切気をつかわせないように、吾妻の負担にしないように。ホントに優しくていい男で報われなさは可哀相なくらいでしたね。
伊万里がヘタレて弱ってるあいだに、いつも王子沢が全部助けて支えになってくれたのにね。

吾妻一人称のテンポのいい文体で面白く読みやすく楽しませてくれたアヅマリシリーズ。
BLの王道的なお話でクセもないし、脇役も魅力的だし、好きなお話になりました。

可哀相な王子沢君には、続編「ワーク・デイズ」で幸せが待っているようです。
こちらは手元にないんですが、どこかで見つけたら読んでみたいと思っています。
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