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神官は王に愛される
吉田 珠姫著
海王社 (2005.9)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/高永ひなこ(ガッシュ文庫)

この想いは許されない―それを知りつつも、冴紗は今日も自分の住む神殿から遠く離れた王宮へ向かう。
王宮で待つのは冴紗の愛する人・羅剛王。男らしく猛々しい王は、自ら冴紗を神殿に追いやっておきながら、ことあるごとに呼びつけ、いつも辛くあたる。
嫌われてもずっとそばにいたかった。神官などになりたくなかったのに。
あるとき、羅剛王と他国の姫君との婚礼話を耳にし、冴紗の心は乱れる―。
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羅剛(らごう・23歳)×冴紗(さしゃ・19歳)

ファンタジー物です。

先日は「女王様」でしたが今度は「王様」です。
ただの「何様な男」ではありません。ホンモノです。
普段はリーマン物をこよなく愛し身近設定が好き!と言ったりしていて、それも本当なんですが、こういうファンタジーとか時代物とかアラブ物とかには、それだからこその良さがあると思うんです。
現代物では考えられない背景や設定があるから、自ずとその中だからこその感情とかもある。現代物で、受が切ない切ないと健気に泣いてばかりいたら、あまりの覇気のなさに私の方が泣きたくなってしまうんですが、こういうファンタジーならば、王と神官の禁断の恋にどっぷり浸かって切なくなれるんですよ。
というわけで心起きなく冴紗の切なさに浸らせていただきました。
こちらもかなり面白かったです。

虹色の髪と瞳を持つ冴紗は天帝である「聖虹使(せいこうし)」となるべく王宮から遠く離れた神殿に住んでいます。天帝とは王よりも上の神のような存在です。この国では王の色は太陽の金、王妃は月の銀、そしてその上に虹色の神、という位置づけがされていて、生まれながらに身体に虹の色を持つものは、「神の子」と定められています。
もともとは貧民の子供であった冴紗が初めて城にあがった幼いとき、やはり幼かった羅剛と出会い、冴紗は王のために近衛兵となり命を捧げることを誓います。羅剛の方も、このときすでに冴紗の美しさに目を奪われ一瞬で恋に堕ちていたんですね。ですが周りの冴紗を見る目は違っていました。髪もその瞳も神の色、「神の光臨」そのものだったわけです。
羅剛は冴紗のため「花の宮」を建て、しょっちゅうそこを訪れていたのですが、近隣との戦が起きた際、ある家臣の進言で「餓えた男供ばかりの戦にあの冴紗を連れていけばどんなことになるか」と忠告され、冴紗の出陣を止めさせ、神官として神殿へと追いやってしまいます。羅剛は一時的に預けるだけのつもりだったんですが、喜んだのは神殿の神官たちです。「神」がようやく神殿にやってきたわけですから、冴紗をすぐに返そうと思うわけがありません。
そして4年もの月日が過ぎ、羅剛に厭まれ遠ざけられたと考えた冴紗は、羅剛への切ない恋心と「神」になるよう定められた自分の運命に泣き、冴紗を奪われた羅剛は、激しく冴紗を求めるあまり、その狂気ともいえる荒々しさで人々を恐れさせます。

ちょっと先までネタばれしてしまいましたが、冴紗の気持ちはもちろんですが冴紗が「冷たくあたる」と誤解している羅剛の行動も、こちらには冴紗への想いが最初から見え見えですので、ストーリー的には影響ないと思います(^^ゞ
想い合ってるのに、王と神官という立場や様々な誤解、王の婚礼、「聖虹使」になるための儀式など、二人の間には簡単に越えられない障害がてんこもりです。こういう現代にはない設定の中での切なさ苦しさというのは、ここでないと味わえないんですよね。
クセになりそうなくらいハマってしまい、あっという間に読みきってしまいました。

冴紗の切なさはもちろん胸に迫ります。「神」になるということは人でなくなるということで、性別も失すためになんと「去勢」しなければならないんですね。そして「神」として二度と人とは会わず、神殿の奥で暮らさなければならないわけです。
愛する王に嫌われて(と思い込んでいる)、その王は王妃を娶り、自分は「神」という存在にならなければならず、身を切られるように苦しみますが、国の民全てが自分を崇めていて、裏切ることはできない。
切なくてたまらん、ですが、それ以上に心に残ったのは羅剛王の狂気の方でした。本当に気が狂ったわけではないですが、でも本当に冴紗への想いに狂ってしまっています。王様ですから、その我が儘、怒り、パワーは尋常じゃないですから。
そりゃ冴紗も脅えますって。
冴紗を取り戻した羅剛は優しいですが、冴紗が背こうものなら、それはそれはもう…冗談でなく国ひとつ壊してしまうでしょう。
冴紗を本当に手にしたとき、「荒ぶる黒獣」と呼ばれた羅剛は跪いて号泣します。そのシーンだけでも想いの強さが伝わってきました。
でもちょっと本音を言うと、ここまで全身で冴紗を欲しがってなりふりかまわない羅剛は、すごく可愛い・・・と思ったりしました。

お話の中で、冴紗、羅剛などの通常名乗る名前の他にこの国の人々は「真名(まな)」と呼ばれる名前をそれぞれがもっています。
親と配偶者にしか教えないというその名は、産まれたとき星予見の婆(占い師のことですね)がその子の運命を示した名をつけてくれるのです。
もちろんそれが羅剛にも冴紗にもあるんですが、それがお話に上手く絡めてあって、こういうのもファンタジーならでは、ですよね。

先日の女王様は可愛かったですが、こちらの王様は激しく熱かったです。
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