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夜明けには好きと言って
砂原 糖子著
幻冬舎コミックス (2005.9)
この本は現在お取り扱いできません。
イラスト/金ひかる(ルチル文庫)

白坂一葉は交通事故に遭ったのをきっかけに顔を整形、名前も変え別の人間として生きることに。そしてホストクラブで働き始めた一葉は、同級生だった黒石篤成と再会。かつて一葉は黒石に告白され、夏の間つきあっていたのだ。同僚となった黒石は、一葉に好きだと告白する。
つらい過去を思い出しながらも再び黒石に惹かれていく一葉は…。
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黒石篤成(くろいしあつなり・26歳)×白坂一葉(しらさかかずは・26歳)


一葉は顔に対するコンプレックスがありました。
継母に「気持ちが悪い顔」と蔑まれ、自分の顔が醜いという事実は幼少の頃から心に根を張り巡らせることとなりました。人と目を合わせることが出来なくなり、いつも俯いておどおどとしていた一葉は、学生時代も同級生から陰口を言われ、からかいやイジメの対象になっていましたが、そんな中唯一自分を「好きだ」と言ってくれたのが黒石でした。
ところが黒石の突然の転校のあと、クラスメートが明かした事実は、あれは罰ゲームだった、というもの。
その後、大学を卒業し就職したものの、どう考えても自分の容姿が原因としか思えないリストラにあい失業。そして30件目の再就職の面接からの帰り道、一葉は交通事故を起こし大怪我をしてしまいます。
整形とリハビリを繰り返し社会復帰した自分は以前とは別人になっていました。一葉は名前を変え、過去を捨て新しい人生を生きようと決心します。そして紹介されたホストクラブの面接に行き、そこで現在はクラブのNO.1ホストとなった黒石と再会します。
黒石をNO.1の座から蹴落としてやる、と復讐心でホストとして勤める一葉。
ところが黒石から再び「好きだ」と告白され、一葉の気持ちは揺れ動きます。


再会したその瞬間から黒石が一葉に気づいているのは何となくわかります。整形した、という設定なのですが、やっぱり黒石の愛はホンモノで真摯な目にはわかるのかしら…などと夢のようなことを考えていたんですがそんなんじゃありませんでした。
結論から言ってしまえば、幼い頃に植えつけられた「自分は醜い」という概念は心にしみを作り一葉を蝕んで、表情さえも変えてしまったということなんですね。しかも継母の言葉は真実とは遠い、憎しみとやっかみのようなものだったのに。けれどもそれによって齎された暗く俯いて近寄りがたく陰気で口をへの字に曲げた仏頂面では、顔の造作が醜く見えてもしかたがなかったのかもしれません。怪我から回復して自分が変わったと思ったのは、それほど劇的な整形が施されていたからではなく、外見はほぼ元通りであったのに、これをきっかけに変わろうという思いがあったからなんでしょうね。

それはともかく、過去を隠そうとする一葉と気づいているような黒石。
どこで全てが明かされるのか、すごく先が気になる展開でした。
黒石はNO.1ホストとはいえ、無口で顔の表情もあまりないし、家では身なりに構うこともなく、言葉も上手そうじゃないしぶきっちょぽいし、ホストに向いているようなタイプではないなぁと思っていたら、やっぱり彼にもそれなりの背景がありました。
無骨ですが真っ直ぐで優しい男で、雨に打たれて泣く場面ではあまりに可哀相で、中学の時も一葉をからかう為に告白したとはとても思えないので、黒石の告白を聞いたときは、やっぱりな、と思いました。
でもそうなってくると黒石の方に感情移入してしまいまして、一葉がなかなか過去を断ち切れず心ならずも黒石に冷たく当たるので(笑)、一葉も切ないんだけど、もう黒石が可哀相で可哀相で。
ラストでちゃんと全てを伝え合えてホントにホッとすることができました。
遠慮がなくなってみると黒石はけっこうムッツリだったことが判明しましたが、なんだかそんなとこは凄く可愛かったです。

視点は一葉側からで、辛い思いをした彼の気持ちは手に取るようにわかります。でも黒石の想いもちゃんと伝わってきて、誤解して擦れ違う二人が切なかったですね。
黒石はすごく古い家に住んでいるんですが、それは一番楽しかった時を今も偲んでいて、その中にはきっと一葉と過ごした夏の記憶もあったんじゃないだろうか、とちょっと思いました。
過去を捨てたかった一葉と過去を慈しむ黒石。
恋愛以外のそんな二人に思いも書かれていて、それがあるからこそ、また一緒になれて良かったな~と思えるお話でした。
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