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純愛レシピ
しまだ 真己著 / 片岡ケイコイラスト
二見書房
シャレード文庫(2007.4)


三十年の歴史を持つ老舗バーのバーテンダー・霧野は、大学時代からの恋人で小説家の志賀と同棲中。腕はもちろん、その美貌のため霧野自身を目当てに訪れる客も少なくない。
そんな霧野に、オーナーである瀧澤の紹介で入った新人バーテンダー・三嶋が意味深な行動をとってきて…。初対面から火花を散らしあう志賀と三嶋に呆れる霧野だったが、瀧澤が突然引退することになり、店を託される。
しかしその夜、霧野は店を辞めて自分についてきて欲しいと志賀に切り出されて…。
「純愛レシピ」雑誌掲載
志賀暁寛(しがあきひろ・28歳)×霧野亘(きりのわたる・28歳))
小説家×バーテンダー

「ワガママな恋の代価」雑誌掲載
成澤晃一郎(なるさわこういちろう)×皆川郁生(みながわいくお・20歳)
会社社長×大学生 
成澤は30歳前後?

「ホーム・スウィート・ホーム」書き下ろし
志賀×霧野のショート

以上三編が収録されていますが、表題作と「ワガママな~」の間に互換性はありません。舞台も人物も全くリンクしない別作品です。
表題作だけ、雑誌で読んでいました。
できあがった恋人同士に訪れる、危機と転機に二人は?…という感じでしょうか。特に大きな波乱があるというわけではなく、長年つきあっていれば起きるちょっとした変化があるだけで、落ち着いた雰囲気のお話です。

ただ、そのちょっとした変化が大きな問題になったりするんですよね。10年付き合い、一緒に住み始めて3年、気持ちに変化はないけれど、周りの状況が変われば、そのままずっと一緒にいられるかどうか、選択を迫られる場合も出てきます。また、それぞれが魅力的な男なら、カップルの間に横から誰かが乱入してくることもあるわけで…。今回は霧野側にそれがあったわけですが、長い人生、いろんなものを越えていかないと一緒にはいられないですよね。
つきあいが長いだけに、言葉で伝えることや相手の気持ちを推し量ることを疎かにしたりしてしまうというのは、よくあることだと思います。
霧野が日本一になったカクテルの名前が「暁」で、志賀の受賞作の献辞が「霧野亘へ」で、毎日一緒にいるのに改めて伝えるのは恥ずかしくて、影でコッソリ…なんて可愛らしい似たもの同士でした。

「ワガママな恋の代価」は、世間知らずのオレ様社長と苦学生。
郁生がバイト帰りの雨の夜、暴漢に襲われ財布を取られたあげく額に怪我をして、びしょ濡れで道に迷っていた成澤を助けてアパートへ連れ帰ったのが知り合うきっかけです。
身なりが良く、男前の成澤でしたが、態度はことごとく傲慢で、しかも世間知らず。「変な拾い物をした…」と後悔する郁生でしたが、成澤は翌朝「お礼」と称して一千万の小切手を置いて去っていき、郁生を唖然とさせます。
後日、成澤の会社に、忘れていった名刺入れと小切手を返しにいくと、「お前が気に入った。俺の愛人にならないか?」と突然のキス。成澤を突き飛ばすと同時に、椅子を蹴倒して、郁生は「このバカ社長!」のセリフとともに部屋を辞去しますが、成澤には、ますます気に入られてしまいます。

成澤は社長としてはとても有能ですが、裕福な家庭で育ち子供の頃から将来社を背負って立つべく英才教育を施されてきたせいか、物の価値観や常識が一般的なところからは大きくズレていて、世間知らず。
成澤に媚を売る男や女は多く、恋愛も今までは後腐れなく「金」で買ってきましたが、初めて自分に反発する思い通りにならない郁生に出会って、惹かれてしまいます。

有能でカッコいいのにちょっと変な人…な成澤がいいですよー(笑) 
ちょっと駄目だったりヘタレだったりする完璧じゃない攻めに弱いんで、「純愛レシピ」の志賀も、「ワガママ」の成澤も、なかなか好み。攻めが駄目な分、どちらも受けがしっかりさんで、ちょっと苦労はしそうですけど、「全くしょうがないな」と言いながら、実は結構そんなところが可愛いと思ってたりする、そういうのがいいんです(笑)。
志賀のように、不器用で子供っぽい攻めの味方をしてあげたいんだけど、お話としては「ワガママな~」の方が面白かったかもしれません。こちらはもっとエピソードを足して1冊のお話で読んでみたかった気もします。
けれど、一冊に2カップルでありながら中途半端な感じもなく、浮かれていない落ち着いた雰囲気が好きでした。
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