イラスト/宝井さき(キャラ文庫)
フリーライターの巨摩はサラリーマンの芝とルームシェアをしていた。
穏やかな芝は巨摩にとって理想の相手。このまま心地よい共同生活を続けていきたい―そう思っていた。ところが芝に想いを寄せる同僚が現われ「芝を好きじゃないなら同居を解消しろ」と迫られてしまう。
敢えて封印していた欲望を自覚した巨摩は、ある晩思わず芝をきつく抱いてしまい…!?
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巨摩秋庭(こまあきば)×芝恭弘(しばやすひろ)
年齢は設定されていませんでしたが、巨摩の方が年上だそうです。
フリーライターとサラリーマン。
「ブラインドラブ」雑誌掲載
「最後の純愛」書き下ろし の二編収録されています。
突然住んでいたアパートを出なければならなくなった巨摩。
友人に同居人を探していた芝を紹介され、好感を持った巨摩と芝は一緒に住み始めます。芝との生活は巨摩にとって思いのほか居心地が良く、二人の同居はなんの問題もなく二年続きます。
そんなある日、酔った芝を送ってきた同僚・小久保がら敵意を向けられ、芝との関係を聞かれた上「芝のことが好きでないなら出て行ってほしい」と言われてしまいます。
小久保が芝に片思いしていることは明白でした。
小久保に改めて問われたことで、それまで友人として見ていた芝への自分の思いに惑い始める巨摩。
しかし巨摩は恋を失うむなしさに傷つき、本気の恋は二度としないと決めていました。けれど芝の言葉の端々から、巨摩は芝が自分に想いを寄せていることに気づいてしまいます。
芝を失いたくない。友人としてならずっと一緒にいられる。
だから自分の想いがなんなのか深く考えたくない。
仕事を理由に芝と物理的に距離を置き頭を冷やそうとする巨摩ですが、仕事から帰った日、玄関に迎えに出た芝の笑顔に思わず芝を抱きしめてしまいます。
うろたえて誤魔化そうとする巨摩に、芝は「僕はあなたが好きなんです」と告げます。それでもまだ「お前が好きだから恋愛したくない」としか言えない巨摩。
「時間を置く」といって芝は部屋を出て行きますが、その夜小久保から「近所で若い男がひき逃げにあったらしい」という電話がかかってきます。
芝が交通事故にあったかもしれない、とうろたえる巨摩は…。
と「ブラインドラブ」はこんなお話です。
視点は攻めの巨摩。一人称です。
過去に恵まれない恋をして、最後の恋が「恋人の死」という形で終わってしまったため、巨摩は恋に疲れてしまっています。
臆病になり、誰にも特別な感情を抱かないように、心を麻痺させてきたんでしょう。
けれど芝との生活に感じる居心地の良さや楽しさは恋人と過ごす幸せそのもので、自分で気づいていないだけで心はとっくに動かされてしまっているんですね。
なのに、それを「恋」という名で呼ぶことを巨摩は怖がっています。
それでいて、小久保は感じが悪いから芝の相手には駄目だとか、芝が小久保より自分に好意があるようなのが嬉しいとか。けれど、恋をして嫉妬したり燃え上がったり、相手の気持ちがわからなくて悩んだり、そういう恋につきものの感情を抱いて揺れることを怖がっている。
平穏がいい、と巨摩は言いますが、確かに恋をすれば平穏なだけではいられないですからね。芝に惹かれながらも、恋に臆病な巨摩の想いが、とてもよく伝わってきました。
対する芝ですが、芝は線の細い外見で穏やかな性格なのですが、非常に芯が強く、落ち着いていて、しっかりしています。
自分の気持ちに正直で迷いがない。
物言いは穏やかですが、その精神は鞭のようにしなやかで強い感じです。
恋に傷ついて臆病になってしまった巨摩は外見的にはワイルドでも中身は非常に繊細で弱いと思えますが、芝は正反対。
「傷ついても治癒する強さがある」と芝が自分で言ってますが、まさにそんな感じ。
年は巨摩の方が上の設定らしいですが、懐の深さや許容の大きさは芝の方がぜんぜん上ですね。
巨摩のグルグルヘタレ攻めに比べて、穏やかだけれど強い芝、正反対の二人の違いが際立っていて面白かったです。
これを読んで、つい芝には「オカン受け」と名づけたくなってしまったのでした(^^ゞ
「しっかり女房」とは芝のことですよ、絶対。
書き下ろしの「最後の純愛」。
二度と恋はしないと誓っていたのに芝と恋に落ちてしまった巨摩は、この恋を大切にし、芝のためにできることはなんでもしてやりたい、と思っています。
ですが、芝は自分よりずっとしっかりしていて、自分の足で立つことのできる男です。大切にしたくてもその方法さえ巨摩には考え付きません。
趣味も合わず、いつも穏やかで嫉妬さえしない芝に、芝は自分のどこを好きになったんだろうと悩みます。
芝を失うことが怖くて、押すことも出来ず、気づかって引いているつもりがそれによって煮詰まっていく巨摩。ここでもまたヘタレています。
巨摩の心理は、恋をしたことがあれば多少とも覚えがあるようなもので、だから余計に共感して伝わってきやすいんですね。
嫌われたくない、と自分を抑えてしまったりするのはよくあることですがそれは芝も例外ではありませんでした。
このお話では芝の感情の爆発が見られます。
とても穏やかで落ち着いて抑制の効いた男で、喋り方も優しいんですが、こういう人が怒ると怖いです。
淹れたての熱々のコーヒーが入った耐熱ガラス製のポットを投げつけちゃいけません。一歩間違ったら、巨摩、大火傷に大出血です。
芝は淡々としているように見えますが、自分の方から真っ直ぐに告白したときも、怒りを外に現したときも、内面にある情熱とか情の深さとかが、ものすごく強く感じられました。
芝は「受」ですが、「俺はあなたを逃がさない」と言い切るところなんかは気持ちいいくらい攻めですね。
このカップルは精神的には芝の方が攻めなんだと思う。
「芝は初めて巨摩に会ってすぐに気に入り、上手い具合に同居させ、自分を好きになってくれるように気を引きながらチャンスがくると告白して待つと言い、揺さぶりをかけてまんまとゲット」というあとがきもさもありなん。
巨摩掴まっちゃたんだなぁー。
こんなひとに掴まっちゃったら、巨摩は絶対に逃げられないと思います。
捨てられない限りは。あ、だから芝「ふられたことはない」って言ってたんだ!なるほど。言葉どおり逃がさないわけですね。
それでいて芝ってなんだか可愛い感じもするんですよね。
巨摩は尻に敷かれまくりでしょうね。
でもこういうカカア天下カップルって好きです。
とても楽しんで読めました。
巨摩秋庭(こまあきば)×芝恭弘(しばやすひろ)
年齢は設定されていませんでしたが、巨摩の方が年上だそうです。
フリーライターとサラリーマン。
「ブラインドラブ」雑誌掲載
「最後の純愛」書き下ろし の二編収録されています。
突然住んでいたアパートを出なければならなくなった巨摩。
友人に同居人を探していた芝を紹介され、好感を持った巨摩と芝は一緒に住み始めます。芝との生活は巨摩にとって思いのほか居心地が良く、二人の同居はなんの問題もなく二年続きます。
そんなある日、酔った芝を送ってきた同僚・小久保がら敵意を向けられ、芝との関係を聞かれた上「芝のことが好きでないなら出て行ってほしい」と言われてしまいます。
小久保が芝に片思いしていることは明白でした。
小久保に改めて問われたことで、それまで友人として見ていた芝への自分の思いに惑い始める巨摩。
しかし巨摩は恋を失うむなしさに傷つき、本気の恋は二度としないと決めていました。けれど芝の言葉の端々から、巨摩は芝が自分に想いを寄せていることに気づいてしまいます。
芝を失いたくない。友人としてならずっと一緒にいられる。
だから自分の想いがなんなのか深く考えたくない。
仕事を理由に芝と物理的に距離を置き頭を冷やそうとする巨摩ですが、仕事から帰った日、玄関に迎えに出た芝の笑顔に思わず芝を抱きしめてしまいます。
うろたえて誤魔化そうとする巨摩に、芝は「僕はあなたが好きなんです」と告げます。それでもまだ「お前が好きだから恋愛したくない」としか言えない巨摩。
「時間を置く」といって芝は部屋を出て行きますが、その夜小久保から「近所で若い男がひき逃げにあったらしい」という電話がかかってきます。
芝が交通事故にあったかもしれない、とうろたえる巨摩は…。
と「ブラインドラブ」はこんなお話です。
視点は攻めの巨摩。一人称です。
過去に恵まれない恋をして、最後の恋が「恋人の死」という形で終わってしまったため、巨摩は恋に疲れてしまっています。
臆病になり、誰にも特別な感情を抱かないように、心を麻痺させてきたんでしょう。
けれど芝との生活に感じる居心地の良さや楽しさは恋人と過ごす幸せそのもので、自分で気づいていないだけで心はとっくに動かされてしまっているんですね。
なのに、それを「恋」という名で呼ぶことを巨摩は怖がっています。
それでいて、小久保は感じが悪いから芝の相手には駄目だとか、芝が小久保より自分に好意があるようなのが嬉しいとか。けれど、恋をして嫉妬したり燃え上がったり、相手の気持ちがわからなくて悩んだり、そういう恋につきものの感情を抱いて揺れることを怖がっている。
平穏がいい、と巨摩は言いますが、確かに恋をすれば平穏なだけではいられないですからね。芝に惹かれながらも、恋に臆病な巨摩の想いが、とてもよく伝わってきました。
対する芝ですが、芝は線の細い外見で穏やかな性格なのですが、非常に芯が強く、落ち着いていて、しっかりしています。
自分の気持ちに正直で迷いがない。
物言いは穏やかですが、その精神は鞭のようにしなやかで強い感じです。
恋に傷ついて臆病になってしまった巨摩は外見的にはワイルドでも中身は非常に繊細で弱いと思えますが、芝は正反対。
「傷ついても治癒する強さがある」と芝が自分で言ってますが、まさにそんな感じ。
年は巨摩の方が上の設定らしいですが、懐の深さや許容の大きさは芝の方がぜんぜん上ですね。
巨摩のグルグルヘタレ攻めに比べて、穏やかだけれど強い芝、正反対の二人の違いが際立っていて面白かったです。
これを読んで、つい芝には「オカン受け」と名づけたくなってしまったのでした(^^ゞ
「しっかり女房」とは芝のことですよ、絶対。
書き下ろしの「最後の純愛」。
二度と恋はしないと誓っていたのに芝と恋に落ちてしまった巨摩は、この恋を大切にし、芝のためにできることはなんでもしてやりたい、と思っています。
ですが、芝は自分よりずっとしっかりしていて、自分の足で立つことのできる男です。大切にしたくてもその方法さえ巨摩には考え付きません。
趣味も合わず、いつも穏やかで嫉妬さえしない芝に、芝は自分のどこを好きになったんだろうと悩みます。
芝を失うことが怖くて、押すことも出来ず、気づかって引いているつもりがそれによって煮詰まっていく巨摩。ここでもまたヘタレています。
巨摩の心理は、恋をしたことがあれば多少とも覚えがあるようなもので、だから余計に共感して伝わってきやすいんですね。
嫌われたくない、と自分を抑えてしまったりするのはよくあることですがそれは芝も例外ではありませんでした。
このお話では芝の感情の爆発が見られます。
とても穏やかで落ち着いて抑制の効いた男で、喋り方も優しいんですが、こういう人が怒ると怖いです。
淹れたての熱々のコーヒーが入った耐熱ガラス製のポットを投げつけちゃいけません。一歩間違ったら、巨摩、大火傷に大出血です。
芝は淡々としているように見えますが、自分の方から真っ直ぐに告白したときも、怒りを外に現したときも、内面にある情熱とか情の深さとかが、ものすごく強く感じられました。
芝は「受」ですが、「俺はあなたを逃がさない」と言い切るところなんかは気持ちいいくらい攻めですね。
このカップルは精神的には芝の方が攻めなんだと思う。
「芝は初めて巨摩に会ってすぐに気に入り、上手い具合に同居させ、自分を好きになってくれるように気を引きながらチャンスがくると告白して待つと言い、揺さぶりをかけてまんまとゲット」というあとがきもさもありなん。
巨摩掴まっちゃたんだなぁー。
こんなひとに掴まっちゃったら、巨摩は絶対に逃げられないと思います。
捨てられない限りは。あ、だから芝「ふられたことはない」って言ってたんだ!なるほど。言葉どおり逃がさないわけですね。
それでいて芝ってなんだか可愛い感じもするんですよね。
巨摩は尻に敷かれまくりでしょうね。
でもこういうカカア天下カップルって好きです。
とても楽しんで読めました。
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