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追憶のキスを君は奪う
鳩村 衣杏著
海王社 (2005.9)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/あさとえいり(ガッシュ文庫)

忘れられないあの人から結婚の報せを受けた夜。俺はどうしても抱かれたかった。彼とは似ても似つかない年下の男に。
そいつ…冽は望みどおりに俺の身体を満たしてくれたが「キスはしない、今夜一晩だけ」という約束を破り、一途に俺を求めてくる。恋愛に陥るのは怖くて、俺は冽を頑なに拒んだ。しかし不器用な情熱が次第に愛しく感じられ、俺は冽を愛するようになるのだが…。
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渡辺冽(わたなべれつ・24歳)×副島穂波(そえじまほなみ・28歳)
昨日に引き続き一途な年下攻め。

学生時代想いを告げることさえ出来なかった初恋の思い出に囚われたまま、副島はその後も恋人に初恋の男の面影を追い求めては恋に破れることを繰り返し、今では一夜限りの相手を求めるだけになっていました。
その初恋の男・森江(もりえ)から結婚するという話を聞いた夜、副島はバーで隣に座った冽を誘い「キスはしない、一晩だけ」という約束で冽に抱かれます。
ところが冽は約束を破り「また会ってくれませんか?」と言い出し、その場は頑なに拒否したものの、数日後冽が仕事場に現われます。
フリーのライターである副島はカメラマンの冽となりゆきから仕事を一緒にすることになります。
仕事をする間にも、一途な情熱で副島を求めてくる冽。
やがて副島は冽を愛するようになったことを認め、冽を受け入れ二人は恋人同士としての蜜月を過ごします。
そして森江の結婚パーティーの日、出席した副島は森生から弟を紹介され、それが冽だったことに絶句します。そしてやはり何も知らなかった冽は副島の初恋の相手が自分の兄だったことを知り、大きなショックを受けて…。


前半は初恋の相手・森江に囚われている副島が冽によって全てを過去のものとして吹っ切り冽を愛するようになるまで、そして二人が恋人となってからは、冽と兄の確執からくる冽の苦しみ…という感じの展開になっています。
副島はずっと森江への想いを胸の奥に秘め、学生時代罰ゲームで交わした森江とのキスが忘れられずにいました。一夜限りの相手とも決してキスはしないというのも、その思い出があるせいです。何人の恋人とつきあっても自分でも知らないうちに森江の影を追い求めていれば当然ですが、副島はいくつもの恋に破れ、恋に疲れてしまっています。
そんな副島の心を開くのが冽なんですが、副島の初恋やそれに対する想いも全て受け止め、真っ直ぐで一途で情熱的で、小さなことで嬉しそうに笑ったり時にはおずおずと戸惑ったり、ホントに年下らしい素敵っぷりで大変萌えでございました。
副島の初恋の相手が兄・森江だとしって冽は苦しむことになるんですが、この森江という人物は一言で言えば、冽が月なら森江は太陽、冽が闇なら森江は光、とその対極にあるような人物です。幼い頃から明るく優秀で何もかもに秀でた兄・森江に対して、冽はとても複雑な感情を抱いています。「大好きだけど大嫌い」「家族に神様はいらない」と冽は兄のことをそう評していますが、兄へのコンプレックスは根深く、そのために早くに家を出たものの、兄の光の前で影になってしまったことが性格にも影響しているようです。
冽は兄の存在から逃げ、関わらないところで生きていくことを選んだんだと思いますが、自分が真剣に愛する人の中の大切な「初恋」の相手が兄だったことが、冽にどれだけのショックを与えたかは想像がつきます。
視点は副島側ですので冽の心情そのものは語られていませんが、その言葉や行動でその苦しみが伝わってきました。
ただ副島は冽を愛してからは気持ちが一貫して揺るがず、冽が嫉妬に苦しんで揺れ、暴走しても今度は副島が冽の全てを受け入れようという立場に立っています。
冽の苦しさが伝わるだけに、副島がしっかりと受け止めようとしてくれるのは、読んでいても安心できるところでした。
最後には堂々と気持ちの中で兄を越えて、一回りもふた周りも大きくなったような冽はとっても良かったです。
「道の向うには何があるんだろう」
そんな幼い頃の気持ちも、ちゃんと活かされていましたね。

兄である森江が弟を羨ましいと言うのも、なるほどという感じです。
弟の持つ「情」が羨ましいと森江は言います。
何もかも完璧な森江がただひとつなかったものは「情」なんでしょうか。
全てが完璧で簡単に上手く行き過ぎると執着や情熱というものも希薄になるのかもしれません。
そういう意味でいえば、冽の方が確かに情は濃いですしね。
でもこのお兄さん、別に冷酷なわけではなくてホントに性格もいいんですよ。

鳩村さんは前回もとても好きだったので注目の作家さんでありましたが、今回もツボにハマって大変楽しめました。
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