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この手の先に…
火崎勇著/イラスト:佐々成美(f-LAPIS)

佐倉波人は毎朝エレベーターで挨拶を交わす名も知らぬ「彼」に密かな好意を抱いていた。
だが過去に、告白がもとで初恋の相手との時間を失った佐倉は、好きな相手であるほど深入りできない。そんなとき、後輩から告白をされたのを聞かれてしまったのをきっかけに、彼との距離が急速に縮まってしまう。
彼からも強引に告白された佐倉は、彼の名が初恋の相手と同じであることを知り…。
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ラピス文庫がf-LAPISとしてリニューアル、その第一弾です。
ボイスCD付き。

辛党さん(匿名希望・25歳)×佐倉波人(さくらなみと・25歳)
迷ったけど「攻」の名前は読んでない人のために伏せておきます。
「辛党さん」というのは文中でお互いの名前を知らない時、佐倉が彼をそう呼んでいるので。

「この手の先に…」
「ただひとつの手だから」 二編収録されています。
二編とも2000年エクリプスロマンス初出のものを修正。

火崎さんなので一人称。視点は佐倉。
中学生のころ夏休みのサマーキャンプで出会った同い年の少年と恋に落ちた佐倉。家が離れていた二人は来年のキャンプで再会することを楽しみに別れますが、翌年のキャンプに「彼」はきませんでした。手紙を出しても返事は来ず、翌々年になっても、さらに次の年も「彼」は現われず、佐倉は失恋したことを知ります。
それ以来(どうももともとの性格のような気もしますが)、恋や人との関わりに臆病になってしまった佐倉。
どんなに楽しいことがあっても、どんなに好きな人ができても、いつかは全て無くなってしまう。そんな浮き沈みよりは何も起きない決まりきった日常を淡々と過ごすことに平穏を見出しています。
傷つくことが怖いから…というわけですが、かなりの後ろ向き思考ですね。幼い頃の恋一回でこんなにネガティブになってどうすんだ、という感じもしないでもありません。

それはともかく、そんな佐倉の判で押したような日々の中に、毎朝エレベーターで会う、言葉を交わしたことのない男との時間が含まれています。
同じビルの佐倉は四階、彼は八階に勤め、エレベーターに乗り合わせるほんの少しの間に出会うことを楽しみにしている佐倉。
エレベーターのボタンを押す男らしい骨ばった手に、どことなく憧憬のようなものを感じているんですが、このわずかな時間が壊れるのは怖いから声をかけ親しくなることは望まない。
ところがあるきっかけで「彼」と言葉を交わすことになり、さらに佐倉の後輩・宇都宮が佐倉に告白したところを見られてしまい、「彼」からも告白されてしまいます。
そしてその時初めて知った「彼」の名前は、あのサマーキャンプの少年と同じ名前であり、その時のことを「彼」は知っていて。
「彼」があの少年だったことを知り、連絡ができなかった経緯を聞いて自分が裏切られたわけではなかったと、心の傷が癒されるのを佐倉は感じます。
「彼」の想いを受け入れる佐倉。
ところが、ある日「彼」の落したライターに別の名前が刻まれているのを佐倉は見てしまいます。そして思いがけず聞こえてしまった「賭け」の言葉。
さらに後輩の宇都宮から聞いた彼の名前はまったく別のもので。
「彼はいったい誰なのか」
そのへんがお話を引っ張っていきます。

謎はそんなに難しいものではなく想像の範囲でしたが、「賭け」なんぞ持ち出してちょっと目くらましもしてあります。
一人称で、佐倉がかなりのマイナー思考なのでちょっと暗い語り口になってる感じがしました。
たった一度の初めての恋でここまで悲観的にならなくても…とちょっとノれなかったことは確かです。
だけど「彼」のちゃんとした正体を知りたい、想像できるけど知りたい(笑)、という興味で引っ張る展開は面白いかな。

「ただひとつの手だから」は、再び何となく「彼」の態度がおかしい…と悩む佐倉。
ただこの場合「彼」がなんで変なのかはこちらにはすぐよめるので、ハラハラするようなことはなし。
「彼」だってそりゃ自信たっぷりというわけにはいかないし、拗ねもするしヤキモチも妬きます。
誰だって好きな人の一言、顔色ひとつが気になるのは当たり前…ということですね。

佐倉の後輩ワンコが活躍してますが、いいやつだけど恵まれない…最後までそんなキャラでした。
オバサンは好きだよ、君のこと。


おまけのボイスCDですが、こちらは小西克幸さんで、本書の一部を朗読しています。
攻めも受けも一人でやってます。
それと、小西さんからのメッセージ。
同時発売のf‐LAPIS他二冊と連動しての質問コーナーがあり、三枚聞かないと質問と答えが何が何だかわからないという仕掛けです。
商魂たくましいな(笑)
でも他は買いません(^^ゞ
全部で15分ほどのCDです。
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