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セカンド・セレナーデ
木原 音瀬著
ビブロス (2005.8)
通常2-3日以内に発送します。
イラスト/北畠あけ乃(ビーボーイノベルス)

一途に好きだった高校時代の先生に大失恋してしまった大学生の掛川。
しかも先生の秘密の恋人は自分の友人だった。
なかばやけっぱちに誘った年上の男・橋本は、顔は極上だが性格は最悪。カラダで失恋の痛みを慰めてもらうには、うってつけの相手だったが…。
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96年に発行された『セカンド・セレナーデ』、
「水のナイフ」
「セカンド・セレナーデ」
「その後のセカンド・セレナーデ」に
「ONE NIGHT」同人誌かより再録
「わがまま」同人誌より再録
「いじわる」書き下ろし を追加収録した復刻版ということです。

2カップル出てきます。
「水のナイフ」「ONE NIGHT」「いじわる」は明智(あけち)×砂原(すなはら)
「セカンド・セレナーデ」「その後のセカンド・セレナーデ」「わがまま」は
掛川(かけがわ)×橋本。
どちらも年下攻めで明智と掛川は高~大学生、砂原は教師、橋本はサラリーマンです。

一緒くたにしてしまったのは、二つのカップルは別のお話であるものの繋がりもあるのと、別々にすると話が長くなるなんてものじゃないからです(^^ゞ

端的に言えば、どちらのカップルも明智、掛川のエゴから繋がりは始まっています。
明智には好きな女の子がいるけれどその女の子の想い人はなんと、数学教師でチビで不細工で冴えない砂原でした。
二人が恋人同士になることなど許せない明智は、二人の接近を邪魔するべくある計画を思い立ちます。
それは彼女には味方をするふりをして自分は砂原に「好きだ」と嘘の告白をし、砂原を自分に振り向かせて彼女の告白を砂原に断らせ、失恋した彼女を慰めて自分のものにしよう…というもの。
彼女と上手くいったあとは、男同士でもあることだし「やっぱり諦めます」と告げればいい、と。
明智の計画は上手く行き過ぎるくらいに進みます。
ところが思い通りに上手くいっていたはずなのに、少しずつ気持ちが変化していく明智。そして彼女が砂原に失恋し望んだように明智を好きだと言ったとき、それまでしたことが自分に跳ね返ってきます。

掛川は砂原に真剣に恋していました。
気持ちを抑え続けていたものの思い切って告白しますが「好きなひとがいる」と言われ失恋。それでも納得していたつもりでしたが、砂原の「好きな人」が友人の明智だと知りショックを受けます。
そんなときやけになって酒を飲んでいたバーで、掛川は男同士のカップルの別れ話の場に遭遇します。
カップルの片方の男は聞こえてくる会話もから相当の性格の悪さが滲み出ており傍にいた掛川も唖然としますが、店を出た男のあとを掛川は追いかけてしまいます。
失恋した悔しさ哀しさを誰かに慰めてもらいたい。この性格の悪い男・橋本なら罪悪感を抱かなくてすむ。そう思ったからです。
「ただのダッチワイフ」橋本の性格の悪さは想像通りでしたが、従順なふりをして体だけの関係を続ける掛川。
けれども、橋本の存在は掛川の中で少しずつ大きくなり、掛川はやがて自分が橋本を好きになったことを自覚します。
ところが自分の気持ちに気づいた途端、掛川は橋本が結婚するという話を聞きます。
「結婚したって変わらないだろう。いい子にしていれば今までのようにつきあってやる」という橋本に掛川は…。

…と簡単にいうとこんなお話ですがこのあともいろいろごちゃごちゃしてます(笑)
初めは「嫌なやつ」もしくは「大嫌い」と想っていた男に次第に惹かれていく…と言ってしまえばよくあるパターンなんですが、木原さんが書くと「夢」も「萌え」もあったもんじゃありません(^^ゞ
「眠る兎」の時も思ったんですが、普通はあんまり人様には知らせたくないような負の感情を白日の下に曝け出してしまうからなんじゃないかと思います。
エゴ丸出しで、自分より下、もしくは軽蔑する人間を見る目はまるで虫けらでも見るようです。
明智にとって砂原はチビで不細工で何のとりえもない冴えない男。
掛川にとっての橋本は性格が悪く友人のいない、高飛車で嫌味な男。
そんな男だからちょっと利用してもいいだろう…ということです。
明智も掛川もどんな人でなしだ、という感じですが、彼らは普通の高校生、大学生です。
確かにちょっと頭がよく容姿にも恵まれていて傲慢で身勝手ですが決して血も涙もないわけではなく、優しくて、必死で、真剣で、弱くてそして子供でとても滑稽でした。

砂原はともかく、他三人はちょっと他ではあまり見られない性格の悪さですが、それだけだったら「なんだこりゃ」で終わってしまいます。
そうならないから木原さんは、特別に語られているのかな~と木原さん初心者なりに思ったりします。
このひとたちは特別変わったひとではなく、普通の人たちですよね。
小説である限り作って誇張してることは間違いないからそのまんまリアルとは言えないけれど、少なくともハイソでハンサムでクールで美人で中身も完璧な人たちに比べたらずっと普通。
真っ直ぐで真摯な瞳や、情熱や、キラキラした夢はここにはありませんでした。
でも私は、このお話すごく好きでした。
人を見下す気持ちも、自分勝手さも、意地悪さも、弱さも、情けなさも、
日常的にすぐそばで見かけることがあります。
だけど誰もそんなこと言わない。
私の中にもあるけれど、そんなもんない顔をしてる(笑)
綺麗な表面だけじゃない、裏の感情をぶつけるとこんなに傷つくけれど、心の深いところに届く。
上手く言えないけどそんな感じがしました。

これはコメディーでは全然ないんですが実は読みながら時々笑いが込みあげてきました。
ないですか?たとえば映画を見ていて楽しく笑ってたら実は毒が含まれてたとか、哀しいはずなのに滑稽だとか。
ここまでくると明智も掛川も橋本も…痛いんだか可笑しいんだかわかんなくなっちゃったんですね(^^ゞ
必死で哀れで情けなくて可笑しい。

それにしてもどう考えても初心者向きではないですね、木原さんは。
これは幸いかなり好きでしたけど…いや、ということはこれは初心者でもOKなのかな。
でも、普通はこんな人たち嫌いだよね…?
だけどもっとイタイのがあるって言いますもんね。

まだまだ油断しないようにしよう。
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