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罪に濡れる夜に
中原一也著
笠倉出版社 (2005.8)
通常24時間以内に発送します。
イラスト/片岡ケイコ(クロスノベルス)

神学校を卒業し、司祭として郷里に派遣された十夜は
幼馴染で親友だった大地と再会する。旧交を温め穏やかな
友情を噛み締める十夜だったが、大地に好意をもつ女性との仲を取り持とうとして、憤った大地に半ば無理やりに抱かれてしまう。
手のひらを返したように強引になる大地と、司祭としての自分に板ばさみになる苦しみから、一度は別れを選ぶ十夜だったが…。
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大森大地(おおもりだいち)×芹沢十夜(せりざわとおや)
同級生、29歳。


神父さんと禁断の愛です。
お相手は親の経営する工務店の跡を継いだ同級生。
神父さんにガテン系というだけで何故かニンマリしてしまいます。

美人系の十夜は外見はいかにも禁欲的な神父という感じですが中身は普通の青年でした。
煙草を吸ったり冗談を言ったり口うるさい同僚の神父のお小言に「ヤバ」とつぶやいてみたり。
美形で見た目は儚そうな雰囲気ですが、中身はしっかりしてるし気丈で強い。
神父さんという言葉から連想するようなタイプとは違っていて「神父さんてこんなん?」とか「そうか、神父さんといっても普通の人であってもおかしくないよな~」と目から鱗(?)が落ちました。
「禁断の愛」ではあるんですが十夜は普通の青年だし、大地は野性的でセクシーですが、まわりの登場人物にもほのぼの系が多いせいかあまり淫靡で背徳的な雰囲気はありませんでした。
タイトルみたいに神父様がムリムリ毎夜罪に濡れてるわけではありません。
幼馴染で親友でずっと親密な思いを抱いていて、それが恋だと認めたときには片方は「神父」になっていた。
ずっと黙っていようと思っていた想いが、あるきっかけで溢れ出して…とそんなお話です。

お話の中盤くらいまでは十夜と大地の友情や、大地に好意を持つ女性が引き起こす事件の方が前面に出ています。
もちろん、その中にジワジワと大地や十夜の想いが感じられるようになってるんですけど。
教会の修復工事をする工務店の面々や優しい先輩神父とのやりとりなど、ほのぼのとした雰囲気も面白いんですが、あるきっかけで大地の感情が爆発し、そこからは情熱的な大地に戸惑う十夜…ということになり、司祭という立場と大地への想いの間で揺れる十夜…と切ない展開になっていきます。

十夜が切ないのはもちろんですが大地の方も切ない。
自分を拒む十夜に何度も想いを伝え続ける大地ですが、十夜の「もう許してくれ」というつぶやきに身を引こうと決心する大地にはちょっと泣けちゃいました。
そして十夜が大地の命の危険に触れたとき「大地が死んだら、神様、あなたを恨みます」とつぶやき大地への誤魔化すことのできない想いが溢れ出る瞬間も良かったですね。

十夜を見守ってくれる先輩神父・神谷の存在が、ホッとさせてくれます。
十夜が陥れられそうになった事件のときも、そしてラストでも暖かく包んでくれる。
読んでるこっちも安心させられます。
気持ちの整理をつけて全てを告白し司祭を辞めようとする十夜への神谷神父の言葉は、実際こういう行為が本当に許されるのかどうか知りませんが、本当の慈悲溢れる神父様やっぱりはこうでないとね、と思いました。
十夜が司祭を辞めることなく二人のことも暖かい目で理解してもらえる。
もしこんなこと現実的にはなかったとしても、そういう終わり方で嬉しかったですね。
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