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権力の花
権力の花
posted with 簡単リンクくん at 2005. 8. 6
榎田尤利著
大洋図書 (2005.7)
通常24時間以内に発送します。
イラスト:新田祐克(SHYノベルス)

次席検事を父に持つエリート検事・蔵持楓は類い稀な美貌と優れた頭脳の
持ち主であることから「思想部の宝石」と呼ばれている。
すべてに恵まれた順風満帆の人生。しかし内実は大きく異なっていた。
誰にも言えない持病。父の手駒としての男とのセックス。そして見知らぬ
誰かからの脅迫…。生来のプライドの高さゆえに弱音を洩らすことなく生きてきた
楓だが、ある日、取調べの対象である大学教授・陣内幸也からデートに
誘われる。奔放な魅力を持つ陣内。
彼は敵なのか、味方なのか、それとも…?!
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陣内幸也(じんないゆきや・32歳)×蔵持楓(くらもちかえで・28歳)


いろんなタイプのストーリーを書かれる榎田さん。
今回は硬派でビターな雰囲気です。
舞台は現代の日本ですが、楓の職業は「思想検事」というフィクションです。
新破防法が制定され、行動以前の計画、思想の段階から適用されるという世界。
「危険思想」というだけで罪に問われ有罪になれば矯正施設に送り込まれます。
その取調べの対象としてあがってきたのが大学教授・陣内です。

母親の浮気相手の子供として生まれ、父に疎まれ育ってきた楓は
父に認められたいがために父と同じ検事を目差し、父の言うがままに
父に通じる政治家・金森の前に身体を差し出している…というなんとも痛ましい状況。
金森が国会を通そうと目論む「思想教育法」を巡って、金森と父からは危険分子を
排除するように圧力をかけられるなかで、自分にも脅迫メールが送りつけられてきます。
ドロドロした権力への欲に、ちょっとミステリーっぽい味も加わって、
面白く読ませる展開でした。

楓の持病はI型糖尿病です。
糖尿病とはまた…と思ったんですが、この設定もちゃんと生かされていて、
楓を襲う恐怖感や切迫感を真実味のあるものにしています。
I型糖尿病というものについても、小さな知識をいただきました(笑)

楓にとってかなりキツイ状況もありますが、楓自身が弱々しいキャラではないので
悲壮感はありませんでした。
それに陣内という飄々とした人物が、この暗めでシリアスなストーリーの中で、
ユーモアと安心感を与えてくれて、楓だけじゃなく読み手にも拠り所になってくれている気がします。

楓と陣内の噛みあわない会話がすごく面白くて笑えました。
かみ合っていないようで、ツボを抑えた言葉のやりとりは
近くで聞いていたら吹き出してしまうでしょうね。
こういうユーモア溢れる頭の回転が速い会話は、読んでても気持ちいいです。
榎田さんが頭のいい方なんだろうな~とつくづく思います。

父と楓の関係や今後の金森と父の出方など、ちょっと気になる要素も残っています。
続きがあるかどうかはわかりませんが、とても興味を惹かれます。
楓はまだ陣内に「好きだ」と言ってませんしね。

新田さんの丁寧なイラストがとても色っぽくて素敵です。
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