イラスト:宗真仁子(キャラ文庫)
イギリス帰りのガーデンデザイナー・森河は、自他共に認める実力派。
次の仕事は広い個人宅の庭園だ。
けれど冷たい美貌の依頼主・羽城の希望は「コンクリートで固めた庭」!?
天才的なプログラマーだという青年に緑の庭の良さをわからせたい!
生意気で無愛想な態度の羽城をなんとか説得し「彼のための庭」を作ろうとするけれど…。
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森河竹流(もりかわたける・30前)×羽城祐樹(うじょうゆうき・20代半ば)
造園の仕事を請けて羽城宅を訪れた森川は、そこで祖母の羽城フサエと
孫の祐樹に出会います。
綺麗な顔立ちと吸い込まれそうな瞳に不思議な気分を味わう森河でしたが、
冷ややかで見下した眼差しで自分を見る祐樹の印象はいいものではありませんでした。
しかも「祐樹のための庭」であるのに、
祐樹は「コンクリートで固めたら」と言い放ちます。
その情緒欠陥ぶりに呆れた森河は、からかいと嫌がらせを込めて
観葉植物の鉢を祐樹に押し付け、その困った顔を眺めて溜飲を下げるのですが
数日後、祐樹から「観葉植物が枯れそうだ」という電話をもらい再び訪れた祐樹の部屋で
途方にくれ心配そうに鉢を見つめる祐樹やアドバイスに安心する嬉しそうな顔を見て、
それまでのイメージがガラガラと崩れ、森河は妙な気持ちになってしまいます。
その帰り、祐樹の家の前で車に轢かれそうになった子供を助け怪我をした森河を
必死に手当てする祐樹から、自分も同乗していた車の事故で両親が亡くなったことを聞くうちに
祐樹は情緒欠陥なのではなく、むしろ感じすぎるために心に蓋をしているのだと森河は
気づきます。
その日から、森河の気持ちは止めようもなく祐樹に傾いていきます。
なんとか祐樹の心を癒し、「彼のための庭」を造り、
そして彼自身を自分のものにしたいと考えるのですが…。
仕事柄日に焼けて逞しい体躯を誇り、顔立ちも男らしくハンサムな森河は、
TVのガーデニング教室にも講師として出演したことがあり、
奥様はじめ女性にはモテまくり。
その腕も、いくつもの賞をもらうなどかなりのものです。
若いころから女性にもて恋愛で苦労したことがない森川は、今は仕事が一番大切。
恋愛は軽く楽しむ程度で、深みに嵌まらずにおく器用さも持ち合わせています。
自分の微笑みの効果も十分に知っている女タラシの森河が祐樹に出会い、
それはもう一生懸命「真摯に」祐樹をせっせと口説きます。
こういう一生懸命さを攻め視点で読むのが、なんだかツボに嵌まってしまって
とても面白く読みました。
相手を大切に想う気持ちを真っ直ぐに受けにぶつけていく攻めっていうのは
読んでて気持ちいいですね。
が、この祐樹が一筋縄ではいきません。
やっと自分のものになったと思ったとたん、何度も祐樹は森河の腕をすり抜けてしまいます。
それは自分の目の前で両親が亡くなった事故のトラウマが深い傷になっていて、
好きな人を二度と失いたくないという気持ちが大きな壁になっているからなんですが、
その思いがあまりにも強く、森河を好きになればなるほど離れていってしまうという
悪循環となっています。
なかなか前途多難で、祐樹が昔好きだった男・安藤(あんどう)が現われたことで
状況はさらに悪いほうに。
安藤に捨てられたことでも傷ついていた祐樹が、安藤が戻ってきたことで傷の一部が癒え、
元の鞘に戻ってしまうのではないかという疑心暗鬼が森河のなかに生まれます。
再び一緒に仕事をすることになった安藤と祐樹は祐樹の部屋に籠ったままで、
すぐ傍の庭で仕事をしている森河とは話す暇もありません。
話すことが出来てもそっけない祐樹の態度に、次第に森河の心に諦めがうまれます。
たとえ祐樹が自分のものにならなくても
自分がつくった庭で祐樹が幸せでいてくれればいいと思い始める森河。
そして庭が仕上がったとき「安藤が好きだ」という祐樹の言葉に
森河は別れを告げて去って行きます。
それは祐樹の本心ではないんですけれど…。
この別れは短いシーンなんですが、凄く好きでした。
森河がジタバタしないのが凄くカッコイイんですよね。
それだけに、感情を顕にせず微笑みさえ浮かべた森河の、
静かな胸の痛みが伝わってきます。
森河が祐樹のために造った庭の木の風に揺れる葉ずれの音が、二人の言葉にならない想いを
表現しているみたいに感じました。
とても楽しんで読めました。
勿論ちゃんとハッピーエンドですよ(^^)v
森河竹流(もりかわたける・30前)×羽城祐樹(うじょうゆうき・20代半ば)
造園の仕事を請けて羽城宅を訪れた森川は、そこで祖母の羽城フサエと
孫の祐樹に出会います。
綺麗な顔立ちと吸い込まれそうな瞳に不思議な気分を味わう森河でしたが、
冷ややかで見下した眼差しで自分を見る祐樹の印象はいいものではありませんでした。
しかも「祐樹のための庭」であるのに、
祐樹は「コンクリートで固めたら」と言い放ちます。
その情緒欠陥ぶりに呆れた森河は、からかいと嫌がらせを込めて
観葉植物の鉢を祐樹に押し付け、その困った顔を眺めて溜飲を下げるのですが
数日後、祐樹から「観葉植物が枯れそうだ」という電話をもらい再び訪れた祐樹の部屋で
途方にくれ心配そうに鉢を見つめる祐樹やアドバイスに安心する嬉しそうな顔を見て、
それまでのイメージがガラガラと崩れ、森河は妙な気持ちになってしまいます。
その帰り、祐樹の家の前で車に轢かれそうになった子供を助け怪我をした森河を
必死に手当てする祐樹から、自分も同乗していた車の事故で両親が亡くなったことを聞くうちに
祐樹は情緒欠陥なのではなく、むしろ感じすぎるために心に蓋をしているのだと森河は
気づきます。
その日から、森河の気持ちは止めようもなく祐樹に傾いていきます。
なんとか祐樹の心を癒し、「彼のための庭」を造り、
そして彼自身を自分のものにしたいと考えるのですが…。
仕事柄日に焼けて逞しい体躯を誇り、顔立ちも男らしくハンサムな森河は、
TVのガーデニング教室にも講師として出演したことがあり、
奥様はじめ女性にはモテまくり。
その腕も、いくつもの賞をもらうなどかなりのものです。
若いころから女性にもて恋愛で苦労したことがない森川は、今は仕事が一番大切。
恋愛は軽く楽しむ程度で、深みに嵌まらずにおく器用さも持ち合わせています。
自分の微笑みの効果も十分に知っている女タラシの森河が祐樹に出会い、
それはもう一生懸命「真摯に」祐樹をせっせと口説きます。
こういう一生懸命さを攻め視点で読むのが、なんだかツボに嵌まってしまって
とても面白く読みました。
相手を大切に想う気持ちを真っ直ぐに受けにぶつけていく攻めっていうのは
読んでて気持ちいいですね。
が、この祐樹が一筋縄ではいきません。
やっと自分のものになったと思ったとたん、何度も祐樹は森河の腕をすり抜けてしまいます。
それは自分の目の前で両親が亡くなった事故のトラウマが深い傷になっていて、
好きな人を二度と失いたくないという気持ちが大きな壁になっているからなんですが、
その思いがあまりにも強く、森河を好きになればなるほど離れていってしまうという
悪循環となっています。
なかなか前途多難で、祐樹が昔好きだった男・安藤(あんどう)が現われたことで
状況はさらに悪いほうに。
安藤に捨てられたことでも傷ついていた祐樹が、安藤が戻ってきたことで傷の一部が癒え、
元の鞘に戻ってしまうのではないかという疑心暗鬼が森河のなかに生まれます。
再び一緒に仕事をすることになった安藤と祐樹は祐樹の部屋に籠ったままで、
すぐ傍の庭で仕事をしている森河とは話す暇もありません。
話すことが出来てもそっけない祐樹の態度に、次第に森河の心に諦めがうまれます。
たとえ祐樹が自分のものにならなくても
自分がつくった庭で祐樹が幸せでいてくれればいいと思い始める森河。
そして庭が仕上がったとき「安藤が好きだ」という祐樹の言葉に
森河は別れを告げて去って行きます。
それは祐樹の本心ではないんですけれど…。
この別れは短いシーンなんですが、凄く好きでした。
森河がジタバタしないのが凄くカッコイイんですよね。
それだけに、感情を顕にせず微笑みさえ浮かべた森河の、
静かな胸の痛みが伝わってきます。
森河が祐樹のために造った庭の木の風に揺れる葉ずれの音が、二人の言葉にならない想いを
表現しているみたいに感じました。
とても楽しんで読めました。
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